岩手のニュース

シー・シェパード再び活動 漁船など撮影 岩手・大槌

シー・シェパードのメンバーが撮影していた岩手県大槌町内の魚市場=19日

 反捕鯨団体「シー・シェパード」のメンバーがイルカ漁の監視活動のため入った岩手県大槌町で東日本大震災に遭い、住民の善意に助けられた後、今月再び町を訪れて漁業施設などを撮影していたことが分かった。漁業関係者は「生活の見通しも立たない時に、いざこざを起こしてほしくない」と心配している。
 漁業関係者によると、2月下旬以降、複数のシー・シェパードのメンバーが大槌町に滞在。大槌漁港でイルカ漁にかかわる漁業者や漁船、魚市場などをビデオやカメラで撮影した。その様子の一部は同団体の公式ホームページ(HP)に掲載した。「イルカの虐殺を暴き、やめさせる」ためだとしている。
 HPなどによると、メンバー6人は3月11日、警察車両に監視されながら大槌漁港を乗用車2台で走行中、地震に見舞われた。津波は大槌湾南方の裏山に登ってやり過ごした。翌12日、遠野市を目指して徒歩で移動する途中、近くの住民の車に乗せてもらった。メンバーの1人は5月上旬に大槌町を再訪し、被災を免れた漁船などを撮影していったという。
 関係者によると、同団体は、大槌町と姉妹都市の米西部カリフォルニア州フォートブラッグ市にも連絡を取り、町との友好関係を絶つように伝えたという。
 大槌町や北隣の山田町はイルカなど海産哺乳類の漁が盛ん。岩手県の統計によると、2007年の漁獲量は県全体が933トンで、うち大槌町が263トン、山田町が389トン。09年の農林水産省の統計では、全国の漁獲量1404トンのうち、岩手県が最多の866トンを占める。
 大槌町の60代漁業男性は「震災前、船上で作業中にいつの間にか撮影されていた。イルカ漁とは関係のないカジキ用のもりまで撮影していた。今は、いざこざはやめてほしい」と戸惑う。県水産振興課は「イルカ漁を許可した船は多くが被災し、加工工場も壊滅状態。漁自体が存続の危機で、撮影するようなものは残っていないだろう」と話す。(菊間深哉)


2011年05月20日金曜日


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