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避難所の被災世帯に各3万円 配布は西日本の社長

 宮城県石巻市の避難所で4月、「西日本小売業協会」などと名乗って東日本大震災の被災者世帯に現金を配ったのは、西日本に本社がある小売業者だったことが分かった。社長の男性は社名を明らかにしないことなどを条件に河北新報の取材に応じ、「少額だが被災者に早く渡したかった。少しでも役に立てばと思った」と配布の趣旨を説明した。
 一部報道で「暴力団絡みの現金」と指摘されたが、社長個人のお金だという。社長は「心配せず、未来に向けて使ってほしい」と語る。
 震災で苦しむ被災者の姿をテレビで見て「わずかでも手元に現金があれば役に立つはずだ」と考えた社長。被災地の企業が被害に遭いながらも義援金を寄付していることを知ったことに加え、東北出身の社員が複数在籍することも後押しした。
 社内で議論となったのは、避難所で直接現金を渡すことの是非。親類宅などに身を寄せている被災者も多く、「もらえなかった人が不公平に感じるのではないか」などの意見が出た。社長は「いろいろ考慮していては何も進まない。国や他の団体ができないことをやろう」と決断したという。
 社長と社員十数人が4月21、22の両日、封筒に入れた現金を携えて石巻、気仙沼、陸前高田の3市と宮城県女川、南三陸両町の避難所を訪れ、1世帯当たり3万円を配った。
 売名行為と取られるのを避けるため、社名は出さないことを徹底した。身元を尋ねられた場合は「西日本小売業協会」「西日本小売業有志の会」などと名乗った。自治体や福祉団体に渡した分も含めると、計約2億7000万円を配ったという。
 一部で現金の出どころは暴力団関係者と報じられた。社長は「暴力団とは一切関係ない。受け取った人は生きるために遠慮なく使ってほしい」と強調。「1人でも喜んでくれる人がいれば、配ったかいがある」と語る。宮城県警は現金の配布に暴力団がかかわっていないことを確認している。
 社長は今後も被災地支援を続けるつもりだ。「東北の1日も早い復興を願っている」と話した。
 現金配布をめぐっては、受け取れなかった他の避難所住民から「不公平だ」などの不満が石巻市などに寄せられた。


2011年05月23日月曜日


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