東京中日スポーツ 55周年企画
55周年イヤーの記念事業や紙面企画をご紹介します
トップ > 中日スポーツ > 大相撲 > 紙面から一覧 > 記事
【大相撲】白鵬V7 朝青龍に並んだ2011年5月23日 紙面から
◇技量審査場所<千秋楽>横綱白鵬(26)=宮城野=が7場所連続19度目の優勝を果たした。結びで大関魁皇(38)=友綱=に寄り切られて13勝2敗としたが、星一つの差で追っていた敢闘賞の栃ノ心が大関日馬富士に敗れた時点で、朝青龍と並ぶ史上1位の7連覇が決まった。9勝目を挙げた魁皇は通算1044勝とし、史上1位の千代の富士の記録にあと1勝と迫った。琴奨菊(27)=佐渡ケ嶽=は10勝目で2場所連続の2桁勝利。関脇稀勢の里は勝ち越しを決めた。新入幕で敢闘賞に輝いた魁聖は4連敗で10勝5敗だった。 ◆「疲れたね」勝って優勝を飾ることはできなかった。それでも、長い長い15日間を1人横綱として支え、元横綱朝青龍と並ぶ史上最多の7連覇を達成した白鵬に、9140人のファンは惜しみない拍手を送った。 色白の顔には吹き出物ができていた。「疲れたね」と漏らす。場所中はそんなことはひと言も口にせず土俵に立ち続けた。栃ノ心が敗れたことで優勝が決定。それで「ホッとしたのかもしれない。勝つことがすべてじゃない」。正直な心境。魁皇に敗れたが、誰も横綱を責めることはできないだろう。 2月2日に発覚した八百長問題で25人の処分者を出した。5月は本場所ではなく5月技量審査場所として開催されることになった。震災にも心を痛めた。周囲には「休場しようかな」と冗談とも本音とも取れる言葉を漏らしたこともあった。場所前の会見でも、「優勝しなくてもいいんじゃない」「記録はどうでもいいや」と弱気な発言が続いた。 ◆来場所8連覇へ立ち直るきっかけは原点でもある稽古にあった。「募金活動をやって、炊き出しをして、何より稽古で。稽古しかないですから。同じ釜の飯を食った力士たちが急にいなくなってさみしいと思いました。けど、強い者は強いんだというのを見せたかった」 支援活動に追われる中でも、おそらく最も稽古をしたのが横綱だった。土俵で失った信頼を取り戻せたか? と聞かれると「少し取り戻せたという実感があります」と話した。 23日にモンゴルへ帰国する。母国では63連勝をたたえる「チンギス・ハン勲章」が授与される。つかの間の休息を得た後は、来場所に向かっていく。7月に本場所再開となれば名古屋で史上初の8連覇に挑む。賜杯のない場所だったが、疲労がにじむ顔は賜杯より重い何かをつかんだように見えた。 (岸本隆) PR情報
おすすめサイトads by adingo
|