福島第1原発事故で東京電力は19日、放射性物質で汚染された水を浄化する装置について、どのぐらい放射性物質を除去できたか、データを公表する方向で検討することを明らかにした。
浄化装置は、仏原子力大手アレバ社などと契約して設計。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は同日の記者会見で「契約上の理由で、放射性物質をどれくらい取れるかは非公開」としたが、同席した細野豪志首相補佐官が「当然知るべき情報だ」と発言すると、会見後には一転「公開する方向でアレバ社と話したい」と方針を変更した。
浄化装置は、汚染水を移送している集中廃棄物処理施設の1階に、タンクやポンプなどと一緒に設置。汚染水に薬品を入れて放射性物質を沈殿させ、上澄みを原子炉へ戻して冷却に使う。
処理能力は1日に1200トン。1〜6号機の原子炉建屋やタービン建屋などには10万トン以上の汚染水があるとみられ、仮に今ある分をすべて処理すると100日近くかかる計算だ。
東電はまた、原子炉などから新たに放射性物質が放出された場合の影響を正確に把握するため、敷地内の放射線を測定するモニタリングポストの周辺で、以前の水素爆発などの際に汚染された土壌やがれきを除去する計画を明らかにした。
比較的低濃度の汚染水の貯蔵先として使うため、19日に福島県いわき市の小名浜港を出港する予定だった人工の浮島「メガフロート」は、波が高いため出発を延期した。