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舞鶴高1殺害あす判決 状況証拠どう判断

 京都府舞鶴市で平成20年5月、府立高校1年の小杉美穂さん=当時(15)=が殺害された事件で、殺人と強制わいせつ致死の罪に問われた無職、中勝美被告(62)の判決が18日、京都地裁(笹野明義裁判長)で言い渡される。凶器や指紋などの直接証拠がない中、検察側は状況証拠を積み重ねて死刑を求刑。中被告は捜査段階から無罪を主張している。最近の刑事裁判では直接的証拠がないケースのハードルの高さが浮き彫りになっており、地裁の判断が注目される。

目撃証言 防犯カメラ画像 秘密の暴露

 起訴状によると、中被告は20年5月、舞鶴市の朝来川付近で小杉さんに乱暴しようとして抵抗されたことに激高し、頭部や顔を鈍器で殴り殺害したとされる。裁判員裁判の施行直前、21年4月に起訴されたため、裁判官3人による審理が昨年12月から始まった。

 公判で検察側は、目撃証言、防犯カメラの画像、犯人しか知り得ない「秘密の暴露」の3点を柱に有罪の立証を目指した。トラック運転手の男性は「事件直前、遺体発見現場近くで中被告に似た男と若い女性を見た」と証言。防犯カメラに写っていた男女について、画像鑑定した大学教授は「男性は中被告と判断できる」とし、小杉さんの母親(40)も女性について「娘です」と証言した。

 さらに、小杉さんの遺留品のピンク色の化粧ポーチを、中被告が捜査段階で「ベージュ色」と供述したことについては、色彩工学の専門家が「暗闇ではピンク色はベージュ色に見える」と証言し、検察側は「秘密の暴露にあたる」と指摘した。

 一方弁護側は、「柱」とされる3点について、運転手の証言については「目撃者の話に変遷がある」▽防犯カメラの画像は「鑑定に科学的根拠がない」▽化粧ポーチについては「捜査機関が前もって繰り返して質問しており、誘導があった」―とそれぞれ反論。最終弁論で「中被告を犯人とする合理的な説明が可能な事実関係がない」などと主張した。

 地検幹部は「立証は予定通り進んだ」と自信を見せるが、大阪市の母子殺害事件をめぐる公判で最高裁が昨年4月、状況証拠による事実認定について「被告が犯人でなければ説明がつかない事実が含まれていることを要する」との基準を示し、同年12月の鹿児島地裁での裁判員裁判でも、強盗殺人などの罪に問われ死刑が求刑された男性に無罪判決が言い渡されている。

 元裁判官で、新潟大の西野喜一教授(司法過程論)は「検察側が今回積み上げた証拠は、有罪を確実に立証できるほどの強い要素はなく、検察側にとって厳しい結果も予想される」と指摘する一方、「被告の公判での供述などが、裁判官の犯人性を判断する心証に影響を与える可能性もある」としている。

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