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東京電力をどう処理するか? 多くの人が疑問に感じているようだ。「正解は何か?」と。
しかし、私がアドバイスするならば、そんなことを考えるのは、やめた方がいい。考えれば考えるほど、虚しくなるだろう。なぜか? 正解がわからないからではない。正解がわかるからだ。正解がわかっていながら、その正解とは別の案が実現するからだ。
それと同様のことは、何度もあった。
・ 原発の立地の危険性を私が指摘したのに、それは無視された。
・ 地震時の原発の危険性を私が指摘したのに、それは無視された。
・ 日本で地震が起こる危険性を私が指摘したのに、それは無視された。
・ スタティックミキサーを私が提案したのに、放射性物質はずっと垂れ流し。
・ 東電のデタラメさを私が指摘したのに、いまだ東電が主導権を握る。
いくら正解を指摘しても、その正解は実現しない。かわりに、下らない間違った案ばかりが実現する。これでは虚しくなるだけだ。
だから、東京電力をどう処理するかについても、考えない方がマシである。正解がわからないからではない。正解がわかるからだ。
それでも、「正解を知りたい」という人もいるだろう。「正解を知った上で、正解とは逆のひどい案が実現していく過程を見たい」というマゾヒスティックな人もいるだろう。
そこで、そういうマゾヒスティックな人々の要望に応えて、以下では正解を示そう。
他人の案
まずは、他人の案の紹介から始めよう。
(A) 平凡な案
一番平凡な案は、こうだ。
「東電の国有化。発電と送電の分離」
これは、誰でも思いつくような、平凡な案だ。たとえば、次の箇所で示されている。
→ アゴラ「東京電力をどうするか?」
これは、特に悪い案ではない。現状の東電がそのまま継続するよりは、ずっとマシであろう。
ただし、この案には、難点が二つある。
・ 私企業を国有化する方法が難しい。
・ 将来的に状況を最適化する方法がない。
まず、前者の「国有化」が問題だ。私企業を国有化するには、非常に手間がかかりそうだ。100%減資も、株主の同意を得にくい。(上記ページのコメント欄でも指摘されている。法的手続きに何年もかかるので、間に合わない。)
そもそも国営化というのは、責任の所在が曖昧になりがちだ。国民だって、「はいそうですか」と素直に受け入れるとは思えない。
というわけで、国営化というのは、悪い案ではないとしても、およそ実現性がない。
後者の「発電と送電の分離」はどうか? これにしたって、何かが劇的に改善するわけではない。東電を「東電発電」と「東電送電」の二つの会社に分割したからといって、それで状況が劇的に改善するわけでもない。たぶん、何も変わらないだろう。せいぜい、新規参入の発電会社が出る、ということぐらいだ。市場原理主義者ならば、「発電で市場原理が進む」と喜ぶだろうが、電力というものは、市場原理主義者を喜ばせるためにあるわけじゃない。
そもそも、「発電で市場原理が進む」ということが実現すれば、補償金の負担のある東電のシェアはどんどん落ちる。たぶん、東電発電は、最終的には倒産するだろう。その結果、すべては国民が負担することになる。つまり、「発電と送電の分離」というのは、「新規発電業者が伸びて、東電発電はつぶれる」ということなのだから、東電の尻ぬぐいはすべて国民がすることになる。馬鹿げている。
結局、この平凡な案は、結果的には、「国民がすべて尻ぬぐいする」という案に等しい。たいして意味はない。
(B) 政府案
政府案は、下記の通りだ。
→ 政府の管理下で 官民出資で新機構 政府原案
かなりごちゃごちゃしているが、要するに、次の二点だ。
・ 国による貸し付け
・ 他の電力会社による補償
前者は、税金による貸し付けを意味する。
後者は、日本中の電力の消費者の負担(料金値上げ)を意味する。
これはひどすぎる。「東電の負担も少なく、政府の負担もなく」ということだが、要するに、日本中の電力消費者が負担することになる。その一方で、自家発電をする大企業は、負担を免れる。あまりにも不公平だ。これだったらまだしも、「全額国庫負担」の方がマシである。
この案は、ほとんど「最悪」に近い。文系の役人が帳尻あわせのために、「自分が責められないように」という目的で作った案にすぎない。
そもそも、他の電力会社が負担するとしたら、「将来の危険性に対する補償」だけだ。「過去の危険性(事故)への補償」など、ありえない。どうせなら、すべて民間の保険会社に任せればいい。そうすれば、余計な負担(過去の事故への補償)なしに、未来の危険への補償を得られる。
そうしないで、両者をごちゃ混ぜにして、余計な負担(過去の事故への補償)をまぎれこませようとするのは、ゴマ化しのペテン案だ。詐欺的。
この案は、詐欺師の案に近く、ほとんど犯罪的である。
(C) 池田信夫の見解
東電の処理については、池田信夫がけっこう論陣を張って頑張っている。妥当だとは言えない面もあるが、それなりにたたき台を出しているのは、立派である。自説を出さずに、他人の批判ばかりをしている連中よりは、よほどまともだ。
彼の見解は、こうだ。
事故で退避した10万人に各300万円を払うとしても3000億円、農畜産物の被害を入れると1兆円を上回る。廃炉のコストも大きく、1基4000億円ともいわれるので、1〜4号機の合計で1兆6000億円。ざっくり考えてトータルで3兆円は下らないだろう。この最後の一文はいい。「誰が負担するべきか」という本質を見ることの大切さを訴えている。この発想があれば、政府案はダメだとすぐにわかる。
しかし東電の純資産は2兆5000億円で、地域独占で本業は健全なので今後も料金収入が見込め、時間をかければ処理可能だ。
では誰が負担するのかというと、第一義的には東電の株主である。最終的には資本金(6800億円)を減資するしかない。それでだめなら、国の支援が必要になろう。
いずれにしても数兆円の損害は誰かが負担しなければならないが、それが東電の株主か納税者か消費者(電気代)かで経済効果は大きく違う。
( → 池田信夫ブログ )
ま、池田信夫の見解は、「事故で退避した10万人に各300万円」というふうに、補償金があまりにも低すぎるという難点がある。また、廃炉のコストは、今回急に生じたわけではなく、もともと想定されている。今回は考慮する必要はない。いろいろと不備がある。
それでも、東電の払える金について、推算を示しているのは有益だ。特に、「資本金(6800億円)を減資」と示しているのは、興味深い。この資本金は、あまりにも額が少なすぎる。だから、資本金の減資だけではダメそうだ、とわかる。
ただし、である。「減資」というのは、資本金をなくすことを意味するだけではない。それにともなって会社の全資産をなくすということだ。これについては、次の話が興味深い。
(D) チッソ型の処理
zakzak に「チッソ型の処理」という案が紹介されている。
《 東電は政府出資を経て「チッソ型」処理か 》「チッソ」型の処理というのは、補償会社と事業会社とに分割する方式だ。
東電は、2010年3月期に9980億円のキャッシュフローを稼ぎ、総額7兆5240億円の有利子負債に対して、1530億円のネットキャッシュ(正味現金)がある。純資産は2兆5160億円を有する。一方、今年中に約5700億円の社債を償還しなければならないが、社債償還費を差し引いた後でも、最大3兆6900億円の追加費用を負担できると試算されている。
東電の処理がどうなるのか。早くも発電と通電の2部門に会社を分割する案も浮上しているが、かつて水俣病で揺れた「チッソ」型の処理も有力視される。折しもチッソは、この3月末に水俣病患者への補償を行う「チッソ株式会社」と、事業を行う「JNC株式会社」に分社化された。東電も補償と事業継続の2社に分離される可能性があろう。
( → zakzak 2011-04-13 )
この場合、補償する会社は、実質的に株式価値がなくなるので、100%減資と同じ効果が得られる。
一方、事業会社は健全化するので、発電という事業そのものは滞りなく実施される。
これは非常に良い案だ。これを基本にするといいだろう。
以上で、(A)〜(D)の案を示した。これらを踏まえて、私の案を提示しよう。
私の案
私の案は、以下の通りだ。
(1) 東電の事業部門を、子会社として分離する。
(現在の東電は、持株会社となる。)
(2) 事故の補償は、持株会社が全責任を負う。
(3) 事業会社は、発電部門と送電部門とに、分離する。
(4) 発電部門は、原発部門と火力部門とに、分離する。
(5) 水力発電は、半分ぐらいに案分して、原発部門と火力部門に割り当てる。
(揚水発電のための分)
(6) 電力料金は、事業会社の経営のみで決める。(補償金は上乗せしない。)
以下、順に説明しよう。
(1) 東電の事業部門を、子会社として分離する。
(2) 事故の補償は、持株会社が全責任を負う。
東電の事業部門を、子会社として分離して、現在の東電は持株会社となる。この持株会社が、事故の補償について全責任を負う。
これは、チッソ型の処理である。この場合、
事業会社の価値 − 事故の補償金 = 持株会社の株式価値
となる。これがプラスになれば、東電の株主は、株式に価値があることになる。これがマイナスになれば、実質的に、100%減資になる。(株式に価値がなくなる。売っても値が付かないから。)
このようにした場合、「100%減資」という法的手続きは不要だ。単に「株式がただの紙切れになるかどうか」という問題が起こるにすぎない。そしてそれは、株式市場が決めることだ。
要するに、「100%減資」という法的手続きなしに、「持株会社と事業会社の二つに分割」という手続きだけで、「100%減資」と同等の効果が得られる。
(3) 事業会社は、発電部門と送電部門とに、分離する。
(4) 発電部門は、原発部門と火力部門とに、分離する。
(5) 水力発電は、半分ぐらいに案分して、原発部門と火力部門に割り当てる。
事業会社は、発電部門と送電部門を、分離する。ただし、それだけでは、平凡すぎて詰まらない。さらに、発電部門は、原発部門と火力部門に分離する。
この場合、火力部門は、健全な会社として、価値をもつ。このまま新会社として健全な経営ができる。当然、その株式価値は、かなり大きくなるだろう。その株式価値は、持株会社のものとなり、事故の補償金のために使われる。(持株会社は、この株を市場で売却するわけだ。)
一方、原発部門もある。ここが大切だ。この原発部門は、日本中の原発会社がそろって同じ部門を分離したあとで、「日本全国原子力発電(株)」というものに統合すればいい。統合しなくてもいいが、統合した方が、いろいろと有利なので、自然に統合することになるだろう。
以上を整理すると、次のように書ける。(カッコ内は、分類項目だけがあって、実態がない。)
現実に存在するのは、「持株会社」、「送電部門」会社、「火力部門」会社、「原発部門」会社の四つである。
- 持株会社
- (事業会社)
…… 下記の二つからなる
- 送電部門
- (発電部門) …… 下記の二つからなる
- 火力部門
- 原発部門
他の二つ(カッコ内)は、分類項目だけがある。
《 保険の義務づけ 》
さて。ここで大事なことがある。こうしてできた原発部門は、どういう形であっても、「事故が起こったときの保険」をかけることを義務づける。現在では、民間保険会社に引き受け能力がないので、国が引き受ける形になっているが、今後は、民間保険会社には引き受けさせる。(保険なしでは、発電所の稼働を禁止する。)
ただし、である。そのときの保険は、必ず、「発電所ごと」にする。浜岡ならば浜岡、柏崎ならば柏崎。それぞれの発電所ごとにする。
すると、どうなるか? 当然、次のようになる。
- 浜岡のように危険度の高い原発は、保険料がものすごく高くなり、事実上、稼働できなくなる。
- 十分な安全対策をした原発は、保険料が安くなり、事業を継続する。
- 安全対策がどうなのか不明な原発は、当面、停止する。その後、十分なチェックを受けたあとで、安全の度合いにより、稼働するか廃止するかを決める。あるいは、安全対策を加えた上で、再度、チェックし直してもらう。
ここでは、政府がいちいち「浜岡は危険だから止めろ」と命じる必要はない。「浜岡が危険だ」となれば、保険会社が嫌がって保険を引き受けたがらないし、どうしても保険を引き受けるなら、ものすごく巨額になる。たとえば「毎年2兆円の保険料」というふうな。これではとうてい、事業が成立しない。というわけで、自動的に浜岡は稼働停止となる。
こうして、市場原理によって、状況は最適化していくわけだ。
結果的にはどうなるかというと、たぶん、今の原発はすべて「廃止」または「一時停止」になるだろう。その後、十分なチェックを経て、安全性が確認されたら、一部は稼働するようになる。それ以外の分は、自動的に稼働停止となる。
稼働停止だって、別に、どうってことはない。一年のうち、どうしても原発が必要になりそうなのは、夏の時期だけだ。夏の時期だって、節電すれば、原発なしで済むことが多いだろう。
これで特に問題はないはずだ。
──
さて。国庫資金の投入について論じよう。
(i) 株主責任
国庫資金を投入するとしたら、「持株会社から株主への配当がゼロであること」が条件となる。当り前だ。配当に回す金があったら、事故の補償金に回すべきだ。当然、配当に回す金がある間は、国庫資金の投入はない。
実際には、国庫資金の投入は必要となるだろう。その場合、「国庫資金への返済が済むまでは配当は禁止」となる。
当然、持株会社の株は、(配当なしの)無価値な株となる。このことで、株主は、「100%減資」と同等の処置を受けたことになる。(何十年間も配当がなくて、固有資産も残っていない株は、無価値な株である。)
こうして、株主は、実質的に「100%減資」(無配当)という形で、株主責任を果たしたことになる。
( ※ 「年金資金が大変になる」という声もあるが、無視していい。株式投資の失敗を、国が補填する必要はない。当り前だ。)
(ii)社債
社債はどうか? 社債は、5兆円ぐらいあるそうだ。これも当然、事故の補償金に回る。
「そんなことをしたらかわいそうだ」
という声が出そうだが、無視していい。資本主義の世界では、社債もまた紙切れになる可能性があるのだ。それがイヤなら、最初から国債を買えばいい。なのに、「ちょっと利子が高いから」という理屈で、社債を買ったのだ。当然、そのリスクを負担してもらう。
マイカルだって、倒産したら、社債は価値が大幅に減じたのだ。(ゼロにはならず、少しは残ったが。)
→ Wikipedia 「マイカル 社債問題」
東電の場合も、同様にするべきだろう。5兆円のうち、1兆円ぐらいを返済すれば、十分だ。あとの4兆円は、事故の補償金に回す。
(iii)事業会社の社債
社債が紙屑みたいになってしまうとしたら、会社の信用がなくなり、以後は社債を発行できなくなる。
その難点を防ぐためにも、事業会社を分離するべきだ。火力部門と送電部門は、健全な会社として、社債を発行できるはずだ。
一方、原発部門は、問題だ。リスクがあまりにも高く、社債を発行できなくなるかもしれない。それはそれで、仕方ない。その場合には、原発部門は安楽死に向かうことになる。
当面、「一時停止」という措置は必要になりそうだ。その後、どうなるかは、原発の安全状態をチェックしてからの話になるだろう。安全性が不足するなら、全廃となる。安全性が足りていれば、事業継続となる。
安全性がどの程度かを知るには、「安全対策の国際機関」の診断に従えばいい。
なお、当面は、銀行や政府が一時的に資金を融通してもいいだろう。あくまで短期的な措置だが。
──
以上をもって、私の提案とする。もう一度、要点を再掲すれば、次の通り。
(1) 東電の事業部門を、子会社として分離する。
(現在の東電は、持株会社となる。)
(2) 事故の補償は、持株会社が全責任を負う。
(3) 事業会社は、発電部門と送電部門とに、分離する。
(4) 発電部門は、原発部門と火力部門とに、分離する。
(5) 水力発電は、半分ぐらいに案分して、原発部門と火力部門に割り当てる。
(揚水発電のための分)
(6) 電力料金は、事業会社の経営のみで決める。(補償金は上乗せしない。)
その他、株主や社債の負担の話もあった。
これらによって、電力の消費者の負担は免れる。また、国の負担は、最小化する。一方で、株主と社債購入者の負担は、最大化する。(当り前だ。資本主義の原理に従う。)
私の予想では、株主は価値をすべて失うだろう。社債購入者は、どのくらい戻るか不明だが、大半を失うのは間違いあるまい。国庫による負担は、うまく行けばゼロで済むが、事故の補償金がふくらむと、いくらかは国庫の負担も必要になりそうだ。電力の消費者の負担は、ゼロで済む。(払うとしたら、税金経由だ。)
[ 付記1 ]
本項の処理案は、過去の処理をするという後ろ向きの対策だけでなく、将来の原発の管理をどうするかという前向きの案も含めている。
あらゆる部門を総合的に見て、最適案を提示しているつもりだ。これ以上の案は、まずありえないだろう。
・ 責任の明確化
・ 株主負担の最大化
・ 国民負担の最小化
・ 将来の電力の安定性
・ 将来の原発の危険を下げる
というすべての条件を、この案は満たしている。これ以上の案があるとは思えない。あるとしたら、せいぜい、部分的な修正案だろう。
[ 付記2 ]
この案は、実現するか? 実現しないだろう。なぜなら、最善案だからだ。
予想としては、政府は「国民の金を食いつぶす」という案を採るはずだ。おそらくは、「電気料金値上げ」という形で、国民の金を吸い上げるだろう。
実現するのは、常に最悪の案である。これまでもそうだったし、これからもそうだろう。
だから、正解を知っても、虚しくなるだけだ。これからの日本は、「最悪の道」を選んで進むことになりそうだ。それをマゾヒスティックに見るぐらいしか、国民のできる道はない。
[ 付記3 ]
昔の日本は、負ける戦争に向かって、まっしぐらに進んでいった。賢明な人々は、「これで日本は破滅するだろう」とわかっていたが、黙って見ていることしかできなかった。
今年以降の日本が進む道も、同様である。東電を救済するために、日本国民全体が巨額の金を負担するハメになる。しかも、原発は危険な状態のまま、維持される。
それを止めたくても、止める人がいない。民主党はダメだし、自民党もダメだ。小沢は何をやっているかというと、「高速道路を無料化しろ、そのために菅直人を引きずり下ろせ」と騒いでいるだけだ。(そんな小沢に期待する人もいる。 (^^); )
「原発は危険だ、津波で暴走しかねない」と指摘していたのは、共産党だけだが、共産党は相手にもされていない。みんなの党や、社民党は、「原発停止」という方針を示しているが、「民主党と手を組むのはまっぴら御免」と拒んで、影響力を駆使したがらない。
今の日本の政界は、阿呆と狂人ばかりだ。そのなかで、菅直人は、無能であるだけ、まだマシだ。彼が首相を辞めて、阿呆と狂人が日本を運営したら、破滅が避けられるのではなく、破滅が早まるだけだ。
かろうじて希望がもてるとしたら、浜岡を止めようとする河野太郎ぐらいだろうか。とはいえ、この人も「再生可能エネルギー100%を目指す」なんて言っているんだから、まったく頼りにならない。(孫正義と大同小異だ。)
やはり日本は、破滅に向かっているようだ。なすすべもなし。……最終的には、3発目の原爆が爆発しないと、止まらないだろう。広島、長崎、その次は、静岡か。
[ 付記4 ]
東電の株価は、400円ぐらいで、ずっと落ち着いている。これはどういうことかというと、
「国庫資金が投入されるので、株式価値がなくなることはない」
と株式市場が見なしている、ということだ。要するに、
「政府はおめでたい馬鹿だから、東電をつぶすことはない。だから東電には価値がある」
と見なしているわけだ。その分、国民は愚弄されていることになる。
しかしまあ、その判断は、当たるだろう。私も同感だ。日本は最悪の道を選びつつある。それは修正されない。……それは、私もそう思うし、株式市場もそう思う。どちらの見通しも、同様である。
私は本項で、ただのイヤミを言っているわけじゃない。株式市場もそう思っているのだ。
仮に、戦前に、「日本は破滅に向かうか否か」で賭けるとしたら、賢明な人は「破滅に向かう」に賭けただろう。それと同様のことが、株式市場で起こっている。
[ 付記5 ]
東電は資産の売却を進める方針だ。
→ 東電、4月中にも合理化計画 資産売却など柱
これは、止めた方がいい。投げ売りの形になり、資産を安く売って、国民の損が増えてしまう。
むしろ、東電の全資産は、事業会社に渡した方がいい。その上で、事業会社の株式を、将来的に上場して売却すればいい。そうすれば、事業会社の株式の売却代金として、数兆円の金を得ることができる。
今の時点で資産を売却するのは、最悪だ。(しかし、最悪であるがゆえに、実現しそうだ。)
[ 付記6 ]
上記記事では、「社員の賃金の2割削減」という案があるが、甘い。原則として、全員を解雇するべきだ。同時に、退職金もゼロにする。
その後、ほぼ全員を、事業会社で再雇用する。賃金は大幅減。
なお、役員は再雇用しない。役員は全員がクビ。賃金2割減なんて、甘過ぎ。
( ※ 賃金については、コメント欄[2011年04月27日 19:43]を参照。上司は大幅賃下げだが、下っ端はあまり賃下げしない。)
[ 付記7 ]
この案が実行され、株価がゼロになったら、株主は、「国の監督責任の欠落」を理由に、国家に賠償を求めることができる。それはやむを得ない。安全委と保安院がサボっていたのだから、国家に責任はある。「株券が紙切れになったのを補償してくれ」と言われたら、国としても責任を認める必要がある。ま、株式の額面の5%ぐらいの価値は、補償してもいいだろう。ただし、それだけだ。
としたら、その前に国家が東電の株を TOB で全株取得しても良さそうだ。最初から額面の5%の価格で買うわけだ。
(もしその価格にならなければ、無配のまま、放置する。その後、補償金の額が増えたところで、持株会社を倒産させて、すべての株を紙屑にする。持株会社が消えても、事業会社は残るから、別に問題はない。)
[ 付記8 ]
大事なことを書き忘れていた。
社債の減額をすることは、是非とも必要である。なぜか? そのことで、他の電力会社に波及するからだ。
たとえば、中電だ。「中電が浜岡原発を稼働させていると、中電の社債は将来、原発事故の際、返済されなくなるかもしれない」という想定が成立すれば、誰も中電の社債を買わなくなる。このことで、中電は事業停止に追い込まれる。
逆に言えば、中電は事業を継続するためには、(社債を調達できるように)浜岡原発を停止する必要がある。
こうして、市場原理を通じて、危険な原発の稼働が自動的に停止される。
この意味でも、社債の減額をすることは、是非とも必要だ。だいたい、資本主義の原則からして、それが当然なのだ。なのに、そうなっていないとしたら、「政府が面倒を見てくれる」「政府が中電や株主などを救ってくれる」という甘えが蔓延しているせいだろう。そういう甘えの蔓延を断ち切るためにも、株価や社債の価値を大幅に減じることが必要だ。資本主義というものは、もともとそういう厳しさをもつのだ。
(日本流の甘ったれは通用しない。甘ったれは、うどん だけでたくさんだ。)
【 関連項目 】
→ 続・東京電力をどう処理するか
※ 本項の続編
>発電部門の東京発電会社を「事業所単位で分割し、持ち株会社の下に子会社として直接配置する」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2449?page=2
興味深いが、実現は不可能だろう。あちこちの発電会社がバラバラなら、そのバラバラの発電所を統一的に運用することは困難だからだ。
それは一種のスマートグリッドだが、スマートグリッドは現時点では技術的に完成していない。同じ会社内でなら、統一システムがあるから大丈夫だが、別会社のものを統一的に処理する枠組みはできていない。
技術的にできていないのに、組織を分割したら、滅茶苦茶になりそうだ。
スマートグリッドの技術を確立することが先決で、組織分割はそのあとだ。順序を間違えてはいけない。
社債の減額で、浜岡原発の事故の予防になる、という話。
タイムスタンプは 下記 ↓
政府は「国民の金を食いつぶす」という案を採るはずだ。おそらくは、「電気料金値上げ」という形で、国民の金を吸い上げるだろう。
実現するのは、常に最悪の案である。これまでもそうだったし、これからもそうだろう。
は実際そういう方向に進んでますね。
補償ではなく原油価格高騰を理由にしてますが。。
政府や管首相を批判している人も結局実現可能な解決策が見出せていない。まさに日本破滅に向かって進んでいる感じがします。
日本が三流国に成り下がるかどうかのまさに国難なので日本人全体で「諦めるのでなく『変革』『行動』していく」ことが必要だと思います。
でないと中前忠の「三つの未来」の最悪シナリオ=やる気のある裕福な層が日本から脱出して海外で活躍し、日本国内は老人と職のない若者だけになり荒廃していく=が起こりそうな。。。
(1)株主が、「持ち株会社と子会社の設立」に同意するか
(2)東京電力が存続している状態で、社債の払いを減額できるか
が気になります。「(1)」は既存株主に対して、優先株発行の手法が思い付きますが、「(2)」は良くわかりません。
原発部門へ渇水発電を割りつける目的は、夜間の余剰電力の回収と配電切り替え用ですね?
無視した主体は?その主体が見てくれるような正規の手順の提言はしてるんですか?
個人的には管理人さんの提言はあまたあるネットの提言の中でも異彩を放っていると思うので、個人ブログにとどまらずにPVを増やすことに力をいれたらどうですか?
アゴラやblogosに出稿してみては?
私は嫌われているみたい。 (^^);
私のサイトの提言はレベルが低すぎて掲載基準に達しない、ということなのでしょう。
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20110425/p1
あと、賠償のための親会社と、事業継続のための子会社に分離するのなら、子会社は健全運営できるはずなので、社員の給与を下げる必要はないものと思います。
→ http://openblog.meblog.biz/article/4519770.html#comment
> 賠償のための親会社と、事業継続のための子会社に分離するのなら、子会社は健全運営できるはずなので、社員の給与を下げる必要はないものと思います。
なるほど。そうですね。
それでは、子会社にも借金をたっぷりと押しつければいいでしょう。借金のたっぷりある会社は、借金を返済するために、人件費を切り下げる必要があります。さもないと、倒産するので。
これでまた、国民負担を減らす方策が見つかった。 しめしめ。 (^^);
>それでは、子会社にも借金をたっぷりと押しつければいいでしょう。
それだと、子会社の株を現金化するときに安くなるので、賠償の原資はトータルで増えないと思いますが。
そもそも現在の東電の株主に賠償の有限責任があるのは明らかですが、東電の従業員に責任はあるのでしょうか?原発に直接かかわった人とそうでない人に分けて論評をおねがいします、
そうです。言われると思った。 (^^);
ただし、あとで子会社売却代金をもらうのでなく、最初に負債を押しつけることができるから、先取りのメリットがある。
あと、赤字会社だと、従業員が否応なく賃下げに応じざるを得ない。ストで対抗すると、会社がつぶれる。
一方、負債を押しつけないと、社員がストをして、高給を取るでしょうね。
> 東電の従業員に責任はあるのでしょうか?
責任はないので、賠償金を払わされることはありません。ただし、東電の従業員としてのメリットは、大幅に失うことになります。マイナスにはならないが、プラスが最小化する。
基本的に言うと、下っ端は世間標準と同じ賃金でしょう。それより下がると、他社に逃げる。
一方、上役は、世間標準よりも大幅に下がるでしょう。課長や部長も平社員並みになるでしょう。いやなら他社に逃げてもいい。その分リストラになる。
──
「まずは政府が国有化して「東電ホールディングス」みたいな物を作って、発電会社と送電会社を分ける。それで「分けても大丈夫でしょ?」ということをやってみせて、発電会社から順番に売却していくことをやって、最後に送電会社を売却をする。」
→ http://news.livedoor.com/article/detail/5537912/?p=11
──
池田信夫が「資産売却」と提案したのに対し、河野太郎は「事業倍車の売却」を唱える。私が本項を教えてあげたので、ちゃんと正しく理解している。池田信夫よりも頭のいい河野太郎が正解を示す。