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風船で浮く未来の風力発電 東京農工大・長坂准教授が研究

2011/05/17

ジェット気流で発電する風船型風車のイメージ図

ジェット気流で風力発電--。東京農工大学の長坂研准教授は未来の風車として、ジェット気流に風車を浮かせて発電する「風船型風車」の開発を進めている。風車と送電線ワイヤー内にヘリウムガスを入れ、風船の様に浮かせる仕組み。地上300~1千メートルでは毎秒約50メートルの風が安定して吹いており、出力変動の少ない電力を年間を通して安定して得られるという。今年度中に出力1キロワットの風車を地上20~30メートルに浮かせて実験し、3~5年後をめどに100キロワット規模の風車をジェット気流まで浮かせる計画。将来的には数百キロワット規模の風船型風車の実現を目指す。

地上に立地する従来の風車は、風況の関係で立地場所が限られるほか、風況変化に応じて出力が大きく変動するため、電力系統への影響が大きい。このため山の上や洋上に風車を設置する動きが出ているが、出力変動は一定のレベルまでしか下がらないうえ、建設コストがかさむのが課題となっている。

地上付近では風速で毎秒5~7メートル程度の風が不定期に吹いているが、地上300メートル以上のジェット気流の中では毎秒50メートル程度の風が安定して吹き続けている。

長坂准教授はこの点に着目。09年頃からジェット気流で発電できる風船型風車の研究に着手した。送電線を内包したワイヤー2本でつないだ風船型風車を空に浮かせて発電し、ワイヤーを通じて電力を地面まで送る構想だ。地上ではわずかなスペースしか取らず、設置場所も選ばない。

設置コストも従来の風車と比べて抑えられる。出力0.5キロワット級の従来風車は設置に30万円程度かかるのに対し、風船型だと出力1キロワット級を20万円以下で製造できるという。

実現のカギを握るのは、風車の重量を極限まで軽くした上で構造体の強度や耐久性を高めることと、ジェット気流の中で安定性を保つこと。

重量については構造物にファイバーグラス(高強度のプラスチック素材)など軽量で耐久性の高い素材の使用を検討しており、今後も改善の余地は大いにあるという。

ジェット気流の中での安定性については、室内実験において検証を行った。この結果、一定の気流の中に置かれた円形構造物が回転する場合に垂直方向の力が働く「マグヌス効果」という現象が発生して、一定の揚力が得られることが確認された。

風船型風車が実現すれば、メガソーラーのように複数の風船を浮かせて出力を高めることや、個人が野外で気軽に風船をあげて電気を使うことも考えられるといい、その可能性は未知数。飛行機の航路を避けなければならないなどの問題はあるが、空には広大な設置スペースが広がっている。長坂准教授は、国内やドイツ・デンマークなどのメーカーにアイデアを売り込みたい考えで、ジェット気流を生かした未来の風車の実現に意欲を示している。(森 静香) (本紙5面より)

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