東京電力福島第一原子力発電所の1号機で、地震発生の翌日に水素爆発が起きたあと、原子炉を冷やすために海水を入れる際に、政府と東京電力が情報の共有を図れず、海水の注入を1時間近く中断していたことが分かりました。
これは、21日に行われた、政府と東京電力で作る統合対策室の記者会見で明らかにされたものです。それによりますと、福島第一原発の1号機では、地震が起きた翌日の3月12日午後3時半すぎに水素爆発が起きたあと、午後7時すぎから東京電力が原子炉を冷やすために海水を入れる作業を始めました。ところが、東京電力はおよそ20分後の午後7時25分に海水の注入作業を止めたということです。その理由について、東京電力は「総理大臣官邸で『海水を入れると核燃料が再臨界を起こす危険性がある』という議論をしていると聞いたためだ」としています。1号機ではその後、菅総理大臣の指示などを受けて、午後8時20分から東京電力が海水の注入を再開し、臨界を防ぐための「ホウ酸」を原子炉に入れる作業も始めたということです。この間、海水の注水作業は55分間中断されましたが、この情報は総理大臣官邸に伝わっておらず、政府と東京電力が、原子炉の冷却という重要な作業で情報の共有を図れていなかったことになります。これについて東京電力は「1号機では前日夜から核燃料のメルトダウンが始まっていたとみられ、また水素爆発が起きたあとなので、作業の中断によって事故が悪化するといった影響はない」と話しています。