2011年3月29日 21時48分 更新:3月29日 22時6分
東日本大震災の復興支援に向けた日本代表とJリーグ選抜の慈善試合が29日、大阪・長居スタジアムであった。今月下旬に予定していた国際親善試合2試合が中止になり、国際Aマッチではなくなったため海外組の招集に強制力はなくなったが、日本代表は招集された欧州組12人が全員参加。Jリーグ選抜も2010年ワールドカップ日本代表が8人選出された。
○日本代表2-1J選抜●
▽得点者【日】遠藤(前半15分)、岡崎(前半19分)【J】三浦(後半37分)
▽観衆4万613人
日本代表が追い上げるJリーグ選抜を振り切った。前半15分、本田圭が得たFKを遠藤が直接決めて先制し、4分後には岡崎が2点目を挙げた。Jリーグ選抜は、両チームとも大幅に入れ替わった後半37分、途中出場の三浦がシュートを決めて1点を返したが、日本代表が逃げ切った。
前半15分。遠藤のFKが直接ゴールに吸い込まれると、日本代表は控えメンバーも加わり、腕に巻いていた喪章を高々と天に掲げた。満員の観客席からは万雷の拍手。サッカーを通して未曽有の大災害に苦しむ人たちを支えたいとの願いがスタンドとピッチ上で一つに重なった。
11日の震災後、サッカーでは国内最初の大規模スポーツイベント。日本協会の小倉純二会長には「『まだ早すぎる』と(観客が)来てくれないんじゃないか」との懸念もあった。だが23日に発売したチケット約3万8000枚は1時間足らずで完売。一般公開された練習には3日間で計3万3000人が訪れ、会場で行った募金では約1500万円が集まった。サッカーを通じて被災地支援に貢献したいというファンの思いの強さの表れだろう。
「あの日」以来、多くの選手がプレーで被災者らを勇気づけたいと願う一方、「こんな時に試合をしていいのか」と自問を続けている。阪神大震災(95年)や新潟県中越地震(04年)の慈善試合に出場した経験のある三浦すら「自分がプレーすることで何を伝えられるか不安」と明かしていた。そんな中で「動くことが大事だと思う。自分たちが間違っていないと思いたい」と話していた本田圭は、代表の2点目をアシスト。J選抜でも、所属クラブでの活動すらままならない中で出場した梁勇基や小笠原をはじめ、誰もが「懸命な姿を見てもらうことで被災者を勇気づけたい」と懸命にボールを追った。その思いの一端でも、被災地に届くことを信じて。【野村和史】
○…会場では元日本代表のラモス瑠偉さん、柱谷哲二・水戸監督らJリーグOB選手に、日本代表の岡田武史前監督やセレッソ大阪の選手らも参加して募金を呼びかけた。柱谷監督は「グラウンドもボコボコだが、下を向いていないで一歩一歩進んでいきたい」。ラモスさんは「我々は頑張れとはいえないが希望だけは捨てないで。いつか晴れる日が来るから」と呼びかけた。