放射性物質:「セシウム、現規制妥当」食品安全委

2011年3月29日 20時42分 更新:3月30日 3時25分

食品の暫定規制値
食品の暫定規制値
被ばく量と健康への影響の目安
被ばく量と健康への影響の目安

 野菜や飲料水に含まれる放射性物質の健康への影響を議論している内閣府の食品安全委員会は29日、放射性セシウムの基準は現在の暫定規制値の根拠となっている年5ミリシーベルトが妥当との見解をまとめ厚生労働省に通知した。暫定規制値は摂取量が年5ミリシーベルトを超えないよう食品ごとにベクレルで定められている。専門家や自治体から「諸外国より厳しすぎる」との声が相次ぎ、委員の間でも引き上げを認める意見が多かったが見直しの最終判断は厚労省に委ねられた。

 この日の審議は14人の専門家が「10ミリシーベルト以下での健康影響はない」との意見でほぼ一致したものの、事務局は現状を維持する姿勢に徹した。このため文言の表現で2度中断し、最終的には現状の5ミリシーベルトを妥当としながら、緊急時は10ミリシーベルトに引き上げることを認める余地も残した。

 食品衛生法には放射性物質の基準がない。厚労省は福島第1原発の事故後急きょ原子力安全委員会の「飲食物摂取制限に関する指標」を引用し、暫定値を定めた。食品安全委員会は20日に妥当性の審議を諮問され、28日には放射性ヨウ素も現状の年50ミリシーベルトで妥当との見解を示した。

 暫定規制値を巡っては、福島と関東の8都県知事が28日、政府に見直しを求めた。茨城県園芸流通課は「数値をわずかに超えただけで出荷停止になっている農産物もある。委員会が緩和の結論を出すことに期待していただけに、残念というしかない」と話す。【小島正美、中西拓司、田村佳子、五味香織】

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