2011年3月29日 19時43分 更新:3月29日 23時44分
【カイロ大前仁】リビア政府軍と反体制派軍は28日から29日にかけて、最高指導者カダフィ大佐の出身地である北中部シルト東方で衝突し、反体制派が敗走した。多国籍軍の政府軍への空爆を受け反体制派が劣勢を盛り返してきたが、政府側は北中部の拠点シルトを死守する構えで、同地をめぐる攻防が激化している。
反体制派はシルトへ向けて進軍したが、政府軍の反撃を受け、29日朝までに東方150キロのビンジャワドへ撤退。政府空軍は同地への空爆を始めた。反体制派は28日にシルト東方120キロのナファリアに到達し、シルト攻略に着手したばかりだった。
反体制派が西部で唯一、掌握するミスラタでも激しい戦闘が続いている。政府軍は28日夕方に一方的な停戦を宣言しながらも攻撃を再開した模様で、29日までに市民8人が死亡した。ミスラタはシルトと首都トリポリの間に位置する唯一の主要都市であり、政府側は奪還に力を注ぐ。
一方、多国籍軍は27日夜に続き28日朝にシルトを空爆。またリビア国営放送によると、トリポリ南方のガリアンとミズダ、西方のスルマンも多国籍軍が爆撃した。
アラブ諸国から多国籍軍に参加するカタールが28日に暫定政府を正式承認したことに対して、リビア政府は「著しい内政干渉」と非難した。また、AP通信によると、米政府は近日中に暫定政府の本拠地ベンガジへ使節を送る見通し。