2011年3月28日 23時22分
日本経団連の米倉弘昌会長は28日の定例会見で、11年度税制改正法案に盛り込まれた法人税5%引き下げについて、「迅速に復興してくれるなら、個人的に引き下げはやめてもらって結構」と述べ、東日本大震災の被災地復興を最優先するため、法人減税の実施見送りを容認する考えを明らかにした。
米倉会長は復興財源について、「高速道路無料化や子ども手当などを見直せばかなりの財源が出る」と指摘、民主党のマニフェストを修正して財源を捻出するよう促した。そのうえで、「それで足りなければ法人税などいろんな税について考えないといけない」と述べた。ただ、「震災対策で税財政・社会保障の一体改革を先延ばししてはいけない」と語り、持続可能な社会保障制度の構築や財政健全化の姿勢も堅持すべきだとの認識を示した。
法人税減税を見直して大震災の復興財源に充てることについて、五十嵐文彦副財務相は28日の会見で、「将来の引き下げを確定して、税率は当分の間維持する方向も考えられる」との考えを示すとともに、被災者に対して、住宅を失った場合の住宅ローン控除の継続適用や、相続税や贈与税の軽減など税制上の支援措置を示した。
民主党の岡田克也幹事長は27日、野田佳彦財務相も25日、それぞれ減税見直しを検討する考えを示しており、法人税減税の見直し機運が高まってきた。
一方、米倉会長は、東京電力の計画停電で夏場に大幅な電力不足が見込まれる問題について、「ピーク時の使用を抑える対策が必要」と述べ、産業界で総量規制についての対応を検討する姿勢を示した。そのうえで、米倉会長は使用制限について、フレックスタイムや自家発電、生産拠点の変更でも需要超過が避けられない場合、「最終的には導入はやむを得ない」との考えを示した。
東京電力管内の電力不足については、企業が自主的に電力使用量の上限を設け、工場の停止期間などを自分で選ぶ「総量規制」や、電気事業法に基づき需要を強制的に減らす「使用制限」などが需要抑制策として浮上している。【宮崎泰宏】