2011年3月28日 19時42分 更新:3月28日 23時30分
【カイロ大前仁】リビアの反体制派軍は28日、最高指導者カダフィ大佐の出身地、北中部シルトへ向け進軍し、攻略の準備を進めている模様だ。多国籍軍による空爆開始から10日目を迎え、劣勢だった反体制派は勢いを取り戻している。
シルトは、政府機関が置かれるなど政府の統治拠点の一つだ。ここから政府軍が撤退すれば、首都トリポリまでの間に政府側が掌握する主要都市はなくなる。
反体制派の報道官は28日朝、ロイター通信に対し、政府軍の大きな抵抗もなくシルトを占領したと説明した。これに対し、シルトに滞在しているロイター通信記者は「大きな戦闘は起きておらず、政府軍が掌握を続けている」と報じた。
中東の衛星放送アルジャジーラは28日午前、反体制派がシルト東方120キロにあるナファリアを掌握したと報道した。
AP通信などによると、多国籍軍は27日夜、作戦開始以来初めてシルトを空爆し、数回の爆音が確認された。この日は約20台の政府軍用車が首都トリポリの方角へ出発したという目撃情報も出ており、一部撤退を始めたとの観測も浮上している。
反体制派は26日に北東部要衝アジュダビア、27日に石油積み出し港のある北東部マルサエルブレガと北中部ラスラヌフを相次いで奪還した。19日に始まった多国籍軍の空爆が政府軍や軍施設に損傷を与えており、反体制派にとって追い風となっている。