2011年3月25日 20時13分 更新:3月26日 0時24分
大規模なシステム障害を起こしたみずほ銀行は25日、未決済取引の解消を受けて西堀利(さとる)頭取が会見し、「給与振り込みや企業決済など大事な部分は復旧のめどがついた」と述べた。ただ、公共料金の口座振替の遅れが明らかになるなど混乱が完全に収束するには時間がかかりそうだ。
西堀頭取は会見で「日本が困難な状況にある中、多大なご迷惑をかけ、おわび申し上げる」と陳謝。システム障害のきっかけが、東日本大震災の義援金口座への振り込み集中だったことを初めて認めた。ただ、義援金口座を設けた他行では障害は発生しておらず、西堀頭取は近く外部専門家によるチームを設置し、原因究明に取り組む方針を表明した。
みずほの未決済取引は一時116万件に上り、送金漏れが発生するなどトラブルが相次いだ。25日に大量の給与振り込みを完了し、大半の業務は通常通りに戻ったが、公共料金の口座振替やインターネット取引などで決済に遅れが生じている。
東京ガスでは、15日に料金徴収の期日を迎えた口座振替のうち3000件の入金が完了していない。中部電力も16日徴収の電気料金約4000件の口座振替が終わっていない。一部のカード会社も入金を確認できず、カードが一時的に利用できない人が出る可能性があるという。完全復旧は「いつとは言えない」(西堀頭取)状況だ。
西堀頭取は自身の進退について「原因解明や顧客対応をやり遂げるのが私の責任」と語り、現時点で辞任の考えがないことを強調した。ただ、自見庄三郎金融担当相は25日の閣議後会見で「震災の時期に公共性、公益性を求められる銀行がシステムダウンしたことは大変遺憾。厳正に対処したい」と述べ、業務改善命令の発動は避けられない見通し。今後、頭取らの経営責任の明確化が焦点となる。
一方、みずほはATM停止中の窓口での臨時支払い(上限10万円)が計23万件(196億円)に上ったことを明らかにした。オンラインシステムが止まっていたため、顧客の預金残高が確認できず、複数店舗を回って、残高を超えて引き出す不正もあったという。みずほは「総額は確認できていない」としているが、今後返還を求めていく考えだ。【大久保渉】