2011年3月25日 18時20分
学校行事で日の丸に向かって起立し、君が代を斉唱するよう義務付けた東京都教育委員会の通達や校長の職務命令に従わず、停職処分を受けた都内の公立学校教諭2人が、処分取り消しなどを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は25日、1審・東京地裁と同様、請求を棄却する判決を言い渡した。加藤新太郎裁判長は「職務命令は憲法が保障する思想・良心の自由を侵害せず、処分も裁量権の範囲内」と述べた。
加藤裁判長は「停職は重大な不利益処分」としつつ、2人が同趣旨の行為で繰り返し処分されていたことなどを踏まえて都の対応を適法とした。一方で「処分は極めて合理的とは評価できず、都の裁量権の範囲の上限だ」とも指摘した。
原告は根津公子さん(60)と河原井純子さん(61)=昨年3月に定年退職=で、06年3月に停職3カ月と1カ月の懲戒処分を受けた。河原井さんが04年に受けた戒告処分については、東京高裁の別の裁判長が処分を取り消す判決を言い渡しており、最高裁で改めて処分の適否が争われる見通し。【和田武士】