2011年3月25日 10時45分 更新:3月25日 12時40分
東日本大震災の被災地が県外からのボランティア志願者受け入れに苦慮している。甚大な被害によって移動手段が制約され、宿泊場所や食事の確保が困難など受け入れ態勢が整っていないためだ。各避難所では地域内のボランティアや避難住民の自治会組織、学生の自発的支援などでマンパワー不足を補っている。
「おばあちゃん、折り紙しよ」。約70人が避難している仙台市若林区の市立南小泉小の体育館で、南小泉中の卒業生が若林区五十人町、無職、白倉幸代子さん(76)らに声をかけた。「ほら、ここを折り返すの。そこを半分に折って」。ハートの作り方を教えてもらった白倉さんはでき上がった赤いハートを手に「ほら、上手でしょう」と笑顔を見せた。「楽しい時間を過ごせて助かってます」と話す。
震災の起きた11日に卒業式を終えた十数人は10日以上たった今も、同小での3食分の食事の準備やトイレの手助けをし、地域の高齢者の安否確認を続けたり、話し相手になったりしている。
11日は、帰宅していた卒業生を中心に自発的に学校に集まり、被災者の受け付けや食事の配膳を手助け。4日目までは40~50人が同中と向かいの同小で避難所支援に当たった。今も20人近くが午前9時から午後7時半まで支援に携わっている。
各地の避難所では自治会組織を設立した。仙台市災害ボランティアセンターは市内や周辺に居住するボランティアに限って登録してもらうなど、県外ボランティアには「遠慮」してもらっている状態だ。
だが、緊急支援の段階が過ぎ、次のステップに進む際には、さらに多くのマンパワーが必要となる。
阪神大震災を経てボランティア意識が醸成され、新潟県中越地震などにも多くのボランティアを送り込んだ兵庫県のボランタリープラザには志願者から多くの問い合わせがあるが「まだ現地では受け入れ態勢ができていない」と時期を待つよう説明しているという。
宮城県社会福祉課の横山生次郎課長補佐は「これだけ被害が甚大だと中央で統括して宮城、岩手、福島県に公平にボランティアを配置してもらいたい」と話している。【浅妻博之、高橋宗男】