2011年05月13日
ロバート・アラン・フェルドマン | モルガン・スタンレーMUFG証券 マネジング・ディレクター経済調査部長 | 経歴はこちら>> |
---|
社会赤字は避けられない、という考え方に私は賛成だ。ただ、いくらでも赤字を出していいというわけではない。1980年代の社会赤字は対GDP比で約4%の水準で推移していたが、高齢化もあるので、これは若干上昇してもいいだろう。この「若干」を数値化することが重要だ。目安として、日本経済の持続性がポイントになる。個人の意見に過ぎないが、社会赤字をGDPの5%以内にしないと、教育、研究開発など、将来の生活につながる歳出が痛むと思われる。
社会赤字削減の数値目標を
そこで、必要な歳出削減幅が逆算できる。不況の影響を除くため、2007年度をベースにすると、同年度の社会赤字は対GDP比で8.6%となる。目標の5%以内に抑制するには、GDP対比で3.6%ポイントの削減が必要となる。社会歳出総額は対GDP比で19.6%であったが、これを3.6%ポイント削減することになる。すなわち、約18%の歳出削減になる。
つまり、約2割の社会歳出削減を実現するには、技術革新による生産性向上および自己負担増から生まれる効率化の組み合わせが有効であろう。これが財政問題を直す際の宿題である。