福島第1原発:困惑の現場、硬い表情…作業員3人被ばく

2011年3月24日 20時18分 更新:3月24日 21時48分

 東京電力福島第1原子力発電所3号機の復旧にあたっていた作業員3人が被ばくした問題について、現地に社員を派遣する協力会社の役員は「現場の安全管理を徹底してほしい」と東電側に厳しく注文を付けた。現場の同僚作業員らは「状況がよく分からない」と困惑しつつ「みんな全力でやっている」と硬い表情で語った。【袴田貴行、市川明代、町田徳丈、森禎行】

 復旧作業に社員2人を送る予定という福島県双葉町の協力会社の男性社長(74)=さいたま市に避難中=は「放射性物質を含んだ水につからないよう足場を組んだり、ゴム製の長ズボンをはいて作業をするのが普通で、通常なら考えられない事故だ」と指摘する。「暗闇で足元が見えなかったのかもしれないが、これから社員を送る身としては『命懸けで行け』とも言えないので、現場の安全管理を徹底してほしい」と東電側に強く求めた。

 原発の近くから福島県内に避難中で、親会社から号令がかかり次第、作業にあたるという3次下請け企業の50代の男性役員は「誰かがやらなきゃいけない仕事をやるだけ。時間との闘いだ。現場に水がたまっているのも、この不測の事態では仕方がない。安全を確保するため、各人が被ばく線量の計測器を付けて作業をしている。あまり(不安を)あおらないでほしい」と話した。

 福島第1原発でこの日の作業を終え、同県いわき市の小名浜港に停泊している休憩・宿泊用船舶「海王丸」に乗船した作業員らは一様に重い口ぶり。50代の男性作業員は「(被ばくは)テレビで聞いた。非常に大変な状況なので、注意しながらやっているが、改めて作業をしっかり確認しながら安全作業に努めたい」と語った。

 別の男性作業員は「さっき人づてに聞いただけなので(被ばくの)状況は分からない。全力を尽くして復旧に努めるだけ」と淡々。20代の男性作業員も「ニュースを見ているひまもないので(被ばくについては)ちょっと分からない」としつつ「とりあえずみんな全力でやっている」と言葉少なに語った。

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