2011年05月13日
ロバート・アラン・フェルドマン | モルガン・スタンレーMUFG証券 マネジング・ディレクター経済調査部長 | 経歴はこちら>> |
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高齢化だけではない
では、社会赤字が趨勢的に悪化したのは歳出によるものか、あるいは歳入によるものか。歳入は1980年以来、対GDP比で約6割(7.2%から11.7%まで)増加している(図2参照)から、問題が歳出にあることは明らかである。しかし、歳出増は高齢化によるものだけではない。1980年度から91年度までは、高齢人口の割合が9.1%から12.6%まで上がったのにもかかわらず、社会歳出は対GDP比で約12%前後の水準で推移した。その後、1990年度から02年度まで、高齢者比率と社会歳出比率はほぼ1対1で上昇した。02年度から06年度の間は、社会歳出の上昇はまた鈍くなったが、07年度以後はまた急増が始まった。この数字を見る限り、「社会歳出増は高齢化によるものだ」とはいえない。
図2.社会関連の歳出入の趨勢と高齢者人口の割合(%)