2011年3月24日 14時59分 更新:3月24日 17時24分
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人罪などに問われた元派遣社員、加藤智大(ともひろ)被告(28)に対し、東京地裁(村山浩昭裁判長)は24日、求刑通り死刑を言い渡した。
被告は捜査段階から一貫して起訴内容を認めており、責任能力の有無が主な争点となった。検察側は起訴前の精神鑑定をもとに「完全責任能力が認められる」と指摘。「犯罪史上まれに見る凶悪事件で、人間性のかけらもない悪魔の所業」として死刑を求刑した。
これに対し、弁護側は「被告は事件当時の記憶がほとんどなく、何らかの精神疾患があった可能性がある」として心神喪失か心神耗弱だったと主張。弁護側申請の精神科医が「雪の中で裸足で外に出されるなど、母親の虐待があった」と証言したことから「不適切な教育を受けて感情をまひさせてしまい、掲示板に依存したことも考慮すべきだ」などと死刑回避を求めた。
加藤被告は法廷で「携帯サイトの掲示板で嫌がらせをした人にやめてほしいと伝えたかった」と説明。容姿の劣等感や派遣社員で不安定だったことに悩んでいたとの検察側指摘を否定していた。
起訴状によると、加藤被告は08年6月8日午後0時半ごろ、東京都千代田区外神田の歩行者天国の交差点にトラックで突入し5人をはねて3人を死亡させ、さらに12人を刺し、うち4人を死亡させたとされる。【伊藤直孝】