2011年3月23日 20時0分 更新:3月24日 2時14分
東京都水道局は23日、金町浄水場(葛飾区)で22日に採取した水道水から、乳児(0歳児)の飲用に関する国の基準の約2倍に当たる1キログラム当たり210ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表した。23日採取分も190ベクレルだった。都は水道水で粉ミルクを溶かしたり、乳児に飲ませたりしないよう呼びかけているが、「長期間飲み続けなければ、健康への影響は直ちにはない。代替水が確保できなければ飲んでもよい」としている。
金町浄水場は利根川水系の江戸川から取水し、東京23区と武蔵野、町田、多摩、稲城、三鷹市に供給。都水道局によると、家庭に届く水道水は途中の給水所で複数の浄水場からの水が混じる場合があることなどから、家庭での濃度は浄水場より低くなる。
放射性ヨウ素については、食品衛生法に基づく基準で、乳児は水道水1キログラム当たり100ベクレル、それ以外は同300ベクレルを超える場合は飲まないよう定めている。都は国から乳児の水道水飲用に関する通知があったことや、21日未明に水源地域に降雨があったことから、22日午前9時に同水道局の11浄水場のうち、水系が異なる3浄水場を選んで検査した。
その結果、朝霞浄水場(埼玉県朝霞市、荒川水系)からは検出せず、小作浄水場(東京都羽村市、多摩川水系)は32ベクレルだった。23日の検査では金町以外は検出されなかった。都は「福島第1原発の事故の影響であることは間違いない。雨の影響が考えられるが、詳しいことは分からない」としている。
都は緊急に水550ミリリットル入りペットボトル24万本を用意し、関係区市を通じて乳児1人につき3本を提供する。都民向け臨時窓口(03・5320・4657、午前9時~午後6時)で相談に応じる。
これを受け、厚生労働省は、原子力災害対策特別措置法に基づく水道水の「緊急時モニタリング検査」の対象を、従来の福島県内などから関東地方などにも広げることを検討する。同省水道課は、事故現場で放射性物質の放出が抑えられれば、基準値を超える地点は減るとみている。
また、千葉県水道局は、県内にある利根川水系の3取水場で21日に採取した水を調べた結果、全てで放射性ヨウ素を検出し、1カ所は放射性セシウムも検出したと発表した。金町浄水場の下流約2キロの矢切取水場(松戸市)の原水からは放射性ヨウ素を41ベクレル検出。いずれも基準以下だが、県内の水道の水源はほぼ全域が金町浄水場と同じ利根川水系であることから「念のため」として、「乳児に飲ませるのは控えて」と注意を呼びかけた。
一方、茨城県常陸太田市は23日、水府地区北部浄水場(同市天下野町(けがのちょう))で22日に採取した水道水から、1キログラム当たり245ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表した。市内の他の浄水場3カ所からは、基準を超える放射性物質は検出されていない。また茨城県は東海村の水道水からも188.7ベクレルが検出されたと発表した。【渡辺暖、野倉恵、森有正、黒川晋史、大久保陽一】