1票の格差:09年衆院選、最高裁「違憲状態」判断

2011年3月23日 18時50分 更新:3月23日 22時57分

09年衆院選の違憲状態判決を受け、会見する山口邦明弁護士(中央)ら=東京・霞が関の司法記者クラブで2011年3月23日午後4時54分、尾籠章裕撮影
09年衆院選の違憲状態判決を受け、会見する山口邦明弁護士(中央)ら=東京・霞が関の司法記者クラブで2011年3月23日午後4時54分、尾籠章裕撮影

 議員1人当たりの有権者数を比較した小選挙区間の「1票の格差」が最大2.30倍だった09年8月の衆院選を巡り、全国の有権者が「法の下の平等を保障した憲法に反する」として選挙無効を求めた9件の訴訟の判決で、最高裁大法廷は23日、小選挙区の区割りを「違憲状態」と判断した。一方、選挙は有効として原告側の請求を棄却した。格差3倍未満の衆院選を違憲状態とした最高裁判決は初めて。国会は大幅な区割りの見直しを求められる。

 最高裁は中選挙区制時代に2回の違憲判決と2回の違憲状態判決を言い渡したが、格差3倍未満の選挙については合憲判断をしてきた。94年の小選挙区比例代表並立制導入後の3回の判決でも、格差2.17~2.47倍の選挙を合憲としている。

 23日の大法廷は区割り基準の「1人別枠方式」について「小選挙区制導入時は激変緩和措置として合理性があったが、新制度初の衆院選から10年が経過しており、合理性は失われた」と判断。「2.30倍の格差の主要因は1人別枠方式にある」と述べ「1人別枠方式と、これに基づく区割りは投票価値の平等に反する状態に至っていた」と指摘した。

 一方で、07年大法廷判決が1人別枠方式を合憲としたことなどから「合理的期間内に是正されなかったとは言えず、違憲とまでは言えない」と述べて選挙を有効と結論付け、1人別枠方式廃止などの立法措置を講じるよう国会に求めた。

 判決は15人の裁判官中12人の多数意見。1人は合憲、2人は違憲との反対意見だった。【伊藤一郎】

 ◇1人別枠方式◇

 94年に衆院選に小選挙区制が導入された際、衆院議員選挙区画定審議会設置法に規定された区割り基準。小選挙区の定数300のうち47をあらかじめ全都道府県に1ずつ割り振り、残る253を人口比例で配分する。人口の少ない県に多めに定数が配分されることになるため、小選挙区制の格差を初めて合憲とした99年の大法廷判決でも、5人の裁判官が「正当性を認めることができない」などと反対意見を述べていた。

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷

PR情報

スポンサーサイト検索

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド