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R18です。
苦手な方はお気をつけ下さい。
屋上にて※
 
 「あれ、もう行くの?」
 
 朝、普段より1時間も早い時間に部屋をでたアサヒに慌てて部屋から出てきたミコトが尋ねた。
 彼は制服こそ着ているものの、髪がねぐせで立っている上に顔もまだぼんやりとしている。

 「ああ、目が覚めたから」
 「俺も行く」

 そういうと一旦ミコトの部屋のドアが閉まった――が、すぐに出てくる。
 頭から水を被ったのだろう、髪がびしょびしょだ。

 


 スポーツタオルで髪を拭きながらも、ミコトはアサヒについて来た。

 「うおっ、本当に花が落ちてる」

 そういったのはミコトだ。校舎の玄関に椿の花が沢山落ちていた。
 その殆どは花びらがちぎられ、バラバラになっている。
 アサヒは無言のまま、その場を通り過ぎ靴を履き替えて校舎に入った。

 
 勿論学校にはまだ誰もいない。
 アサヒは何も言わず階段を登る。教室があるはずの階より更に上の階に足をかけたとき、大人しくついてきたミコトがようやく声をかけた。

 「どこまで行くの?」
 「・・・・・・屋上」
 「はあ、それはまた何故?」
 「・・・・・・さあ」

 実はアサヒにもよく分かっていなかった。
 実際、ミコトに何処に行くのか聞かれて答えるまで自分が屋上に行くなんて考えてもいなかったのだ。

 「・・・・・・行ったことないなと思って。この学校の屋上」
 「まあ、普段は鍵がかかってるからねぇ」

 ミコトはそういうと、ポケットから針金のようなものを取り出し、屋上へ続くドアの南京錠を開けた。寮のバルコニーといい、彼は鍵空けが得意なようだ。

 屋上に上がると、冷たい風が頬に当たった。
 学校内の建物の中では校舎が一番高いので周りがよく見渡せる。
 畑だらけの周りの風景は草が枯れて、物寂しい冬景色を映し出していた。
 
 (もう、こんな季節なんだな・・・・・・)

 アサヒが潜入したのは夏も終わるという頃だった。帝国より南に位置するこの学校ではめったに雪は降らない。それでも風は確かに冬を感じさせるほど冷たかった。

 
 玄関に撒かれた椿は、間違いなくアサヒ達潜入者に対する報せだ。
 散らばった花は指令の終了を意味する。
 そう、もう潜入は終わるのだ。

 (潜入して一日目、早く終わりたいって思ってたよな)

 それが今はどうだろう。いつか自分に迎えが来ることすら忘れてはいなかったか。



 「寒くないか? アサヒ」

 ぼんやりと屋上の景色を眺めているアサヒの頭をミコトが軽く撫でた。
 
 「ああ・・・・・・」

 アサヒはそう呟くと、ミコトを振り返った。
 ミコトは何も聞いてこない。
 ただ、心配そうな顔をして立っていた。
 アサヒは自分より少し高い所にあるその唇に自らの口を押し当てた。

 「アサヒ・・・?」
 
 驚くように呟くミコトに返事もせずにもう一度。
 少し離れてはまた重ねる。
 何度も触れるように繰り返している内に、ミコトの腕がアサヒを包み込んできた。

 「どうしたんだ? アサヒ・・・・・・」
 「・・・・・・何でも、ないよ」

 アサヒはミコトに覆われるようにして入り口の壁を背に立っていた。
 何度もキスを繰り返しながらミコトの手がアサヒの服の中へ入ってくる。
 
 「んっ・・・・・・」

 ミコトの大きな手のひらが冷たくて、アサヒが思わず声を漏らす。
 ゆっくりと制服のボタンを外され、胸をまさぐられながらアサヒはひたすらミコトに抱きついていた。
 ミコトの唇がアサヒの首筋に触れる。同時にその手はアサヒの下半身を刺激しだす。

 「あっ・・・はぁっ・・・・・・」

 アサヒはこえできるだけ堪えつつも漏れてしまう微かな喘ぎ声を発しながら、ひたすらミコトを見つめていた。
 明日からもう、ミコトと会うことはないのだ。
 次会うときは敵になっているだろう。
 ソアラも、ランもついでにリクも。
 アサヒがいなくなればミコトは悲しむだろうか。それともすぐ、忘れて楽しい学校生活に戻るのだろうか。
 

 ミコトの指がアサヒの後ろを弄り、中に入ってきた。

 「んっ・・・!」
 「だいぶ解れてるな。昨日たくさん触ったから」
 「うるさいっ・・・・・・言うな・・・」

 耳元でいやらしく囁かれ、アサヒは目に涙を溜めながら憎まれ口を叩いた。
 それでもミコトの手は止まらず中を刺激してくる。

 「あっ・・・っつ・・・・・・はぁっ」

 外だというのに体が熱くなり、アサヒが息を荒げ始めるとミコトはアサヒの中から指を抜いた。そのまま崩れるようにアサヒは座り込んでしまう。もう立っていられない。
 少し考えた後、ミコトはさっきまで髪を拭いていたスポーツタオルをアサヒの下に敷いて尋ねた。

 「・・・冷たくない? 下」
 「へ・・・いき・・・・・・」

 すべてのボタンが外れたシャツを肩に掛けた以外は全く何も身につけていないアサヒだったが、寒さなど感じていなかった。ミコトは服を着たままズボンの前だけをくつろげる。
 アサヒは膝裏をつかまれ、両足をミコトの肩にかけるような格好になった。
 ミコトに頬を触られ、優しくキスをされながらミコトの雄が入り込んでくるのを感じる。

 「んっ・・・んんっ!」
 「あっ・・・きっつ・・・・・・中、すげぇ」

 苦しい体勢で受け入れているからか、アサヒはあまりの圧迫感に目を閉じた。思わず涙が零れ落ちる。ギリギリとめり込むように少しずつ入るミコトの雄が途中で止まった。

 「・・・力抜いて」

 キツイのだろう、そういうミコトの声もかなり苦しそうだ。
 アサヒはゆっくりと目を開けて震える口で深呼吸をした。
 その瞬間、ミコトの腰が叩きつけられ一気に奥まで入った。

 「うあっ・・・ああああっ!」

 あまりの衝撃に、アサヒの体が仰け反る。と、同時にアサヒは果ててしまった。
 ミコトは気にせずにそのまま何度も腰を打ち付ける。

 「くっ・・・アサヒ・・・アサヒ」
 「あっ・・・ああっ」
 「だっ・・・好きだ・・・」
 「んっ・・・ミ・・・コト・・・・・・ミコトっ・・・」

 激しく打ち付けられながら、アサヒは必死にミコトの名を呼んでいた。
 それでも、ミコトが何度も繰り返し叫んでいるその言葉だけは口に出さない。

 (言えない・・・俺には)

 ――好きだということ。
 その言葉だけは、アサヒは口には出さなかった。
 その代わりかのようにただひたすらミコトの名を呼んで。
 アサヒの中でミコトのモノが一層大きさを増したかと思うと、中で大量の熱が放出される感覚がした。
 
 「あっ・・・すご・・・い・・・・こんなに・・・」

 思わずアサヒは掠れた声で呟く。ミコトの放出した熱は今までとは比べられないほど多く、アサヒの中を満たした。そのすべてをアサヒに受け止めてもらいたいかのようにミコトは2,3度アサヒの中で出し入れを繰り返す。

 「んんっ・・・」

 満足したようにアサヒは力を抜いた。その体をすぐにミコトが抱きしめる。
 
 「せっかく早く来たのに、遅刻しちゃうな」
 「ああ・・・・・・」

 ミコトの台詞に、思わず笑みがもれた。
 ぐったりしているアサヒの代わりに、ミコトは優しくアサヒのシャツを着せる。



 ――その時、激しいベルの音が響いた。

 「何だ!?」

 ミコトが立ち上がって辺りを見回す。
 耳が破れそうにけたたましい、警告の音。
 
 火事だ、と校舎内から悲鳴が上がる。

 「ちょっと様子みてくる、待ってろ」

 ミコトはそう言うと、ドアを開け階段を降りていった。

 
 (始まったんだ・・・・・・)

 アサヒは服を直して、ぼうっと前を見つめた。見えるのはいつもと変わらない景色。
 けれどどれだけ耳を塞ごうと聞こえてしまう。破滅の音。

 「ごめんな・・・・・・ミコト・・・」

 誰もいない屋上で呟くと、アサヒは今しがたミコトが出て行ったドアに向かってゆっくりと歩き出した。
 

 


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