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■特命調査班 〜マル調〜「激安ネットオークションの“闇”」 2011/03/09 放送

 インターネット内で最近はやりのオークションが開催されているとのことですが・・

 42型の液晶テレビが9円で落札。

 最新型の冷蔵庫が1,000円で落札。

 なかなか落とせそうで落とせない。

 しかし、気づけば手数料はとられてしまうというのです。

 今回の「マル調」、激安価格で客を引き付けるオークションの闇の実態に迫ります。




 石川県加賀市のとある倉庫。

 フォークリフトを使って作業員が取り出したのは、液晶テレビに電子レンジ。

 別の作業員は、DVDやおもちゃを取り出す。

 手には、何やらリストが・・・。

 <配送担当者>
 「オークションで落とされた商品がリストになって出てくるので、その商品をピッキングしています」

 倉庫にならぶ500種類の商品は全てネットオークションに出品されるものだ。

 こちらの会社が行っているのは、「ペニーオークション」と呼ばれる新しいタイプのネットオークション。

 サイトの落札価格を見てみると、42インチの液晶テレビが9円。

 人気のゲーム機が12円と信じられない安さだ。

 <DMM.COMラボ オークション事業部 小川豊さん>
 「弊社のオークションでは入札する金額が1円、5円、15円の3タイプに固定されていて、例えば1円のオークションであれば1円ずつしか入札金額が上がらない」

 「ペニーオークション」の仕組みはこうだ。

 入札は、1回1円など決められた単位でしか価格を上げることができない。

 入札するたびに終了時間が数十秒ほど延長され、その間に入札がなければ最後の入札者が落札となる。

 ただし、入札するたびに1回50〜80円ほどの手数料がとられるのだ。

 手数料は、サイトごとにポイントやコインという名目で事前に購入する。

 例えば、手数料60円で、1円ずつ金額があがる「ペニーオークション」で、液晶テレビを1,000円で落札したとすると、落札者は商品の代金1,000円と入札した回数に手数料60円をかけた代金をサイトの運営者に支払うことになる。

 ただし、落札できなかった人も手数料を払わなければならないため、運営者は商品代金1,000円と1,000回分の手数料をあわせた61,000円が入ってくるわけだ。

 <DMM.COMラボ オークション事業部 小川豊さん>
 「メリットといえば安い金額で落札できる可能性が高いということ。デメリットとしては最終落札者以外は手数料をそのまま支払うので、手数料を損することがあります」

 こうした「ペニーオークションサイト」は、現在およそ200ほどあるという。


 ところが、一部の業者でトラブルが起きていた。

 兵庫県伊丹市に住む児島さん(仮名)。

 去年6月から、「ペニーオークション」に参加するようになった。

 <マル調>
 「最終的に落札はできたんですか?」
 <児島さん・仮名>
 「いや無しです」
 <マル調>
 「金額はどれくらい使われたんですか?」
 <児島さん>
 「一番多いサイトで6万円です」

 いくつかのサイトであわせて9万円ほど使ったものの、一向に落札できない状態が続いた児島さん。

 そもそも落札できない仕組みになっているのではないかと思い、警察に相談した。

 それを業者に伝えると、どのサイトも突然閉鎖し事前に支払った手数料の返金もなかったという。

 落札できないという疑惑について、インターネット問題に詳しい専門家はこう指摘する。

 <進取法律事務所 小林寛治弁護士>
 「『ペニーオークション』については出品者とサイトの運営者が同一だということが、非常に大きな特徴だと思います。サイトの運営者からすると、商品を調達して非常に安い金額で落札されてしまうと何の儲けにもならないので、あまりに安い金額で入札がとまりそうになったら、サクラを使ったりプログラム上のボットを使って、入札を繰り返させる」

 <マル調>
 「価格を操作した場合、違法性はないんですか?」
 <進取法律事務所 小林寛治弁護士>
 「直接的には刑法上の『詐欺』になるというのが十分考えられます」


 そこで、「マル調は」オークションの実態を確かめるべく、児島さんが利用した3つの業者を訪ねた。

 まず向かったのは、この日サイトを閉鎖する予定になっている業者。

 東京の新宿が本社となっている、住所地のマンションを訪ねると…。

 <マル調>
 「全然違う会社の名前ですね。私書箱になってます」

 どうやら民間の私書箱業者の事務所を住所地にしているようだ。

 「マル調」が業者に電話をかけると・・・。

 <業者・電話>
 「はい、●●です」
 <マル調・電話>
 「オークションサイトとして適切に稼働しているか、お聞きしたい?」
 <業者)
 「そっちで確認していないんですか?」
 <マル調・電話>
 「こっちでですか? 事務所は新宿の方でやっているんですか?」
 <業者・電話>
 「用件はなんですか?」
 <マル調・電話>
 「事務所はどちらの方でやってるんですか?」
 <業者・電話>
 「用件は何でしょうか。もう(サイトの)終了時間ですのでまたかけて下さい」

 その後、業者は「落札できないというのは、言いがかりだ」と話した。

 「マル調」が次に向かったのは、今年1月末にサイトを閉鎖した業者。

 「東京スカイツリー」近くの、東京都江東区の1軒家が住所地となっているのだが、看板はおろか表札すら出ていない。

 <マル調>
 「『ペニーオークション』のことでお話聞きたくて来たんですけども」
 <業者>
 「担当、多分いないと思うんで」

 「ペニーオークション」の担当者は不在だという。

 そこで、担当者の名前を聞くと・・・。

 <マル調>
 「担当はどなたですか?」
 <業者>
 「ちょっと、それも分かんないですね」
 <マル調>
 「今、いらっしゃらないということでしたが、担当が今、いないということでしたけど、(オークションの)担当の方は誰ですか?」
 <業者>
 「いや聞いてないんで」

 業者は後日、「担当者が退職したので、どのように運営していたかわからない」と回答した。


 最後は去年10月に「ペニーオークションサイト」を立ち上げ、わずか3か月でサイトを閉鎖した業者。

 「マル調」が向かった先は、大阪市生野区。

 業者の本社とされる住所には、一軒家が。

 会社の看板などはないものの、業者の社長と同じ名前の表札がかけられている。

 インターホンを鳴らすと…。

 若い男性が出てきた。

 ところが・・・。

 <男性>
 「別会社なんですよ」
 <マル調>
 「別会社なんですか?」
 <男性>
 「私はね。すみません、僕もちょっと(オークション業者のこと)よくわからないんで」

 男性は、オークション業者とは関係なくこの住宅を間借りしているだけだという。

 では、この業者は一体どこにあるのか。

 業者の連絡先に電話をかけてみると・・・。

 <業者・電話>
 「お電話ありがとうございます」
 <マル調・電話>
 「御社の方にお伺いしたいんですけども、事務所はどちらの方にあるんですか?」

 <業者>
 「生野区生野西・・・」

 この場所だ。

 <マル調>
 「今私はその(住所の)建物の前にいるのですが・・・」
 <業者>
 「少々お待ちくださいませ」

 そして、別の男性が電話に出た。

 <マル調>
 「御社の事務所の住所はどちらなんですか?」
 <業者>
 「先ほど伝えさせて頂いたんじゃないんですか」
 <マル調>
 「先ほど伝えていた、生野区生野西の住所なんですが、今私はその建物の前にいるんですけれど」
 <業者>
 「そうなんですか。でも担当者が不在してまして対応できませんので、申し訳ございませんが」
 <マル調>
 「対応できないとかいう話ではなくて、住所がぜんぜん違うでしょ」
 <業者>
 「違わないですよ」
 <マル調>
 「今からインターホン鳴らしますけれど、よろしいですか?」
 <業者>
 「意味が分からないんですけども」
 <マル調>
 「わたし、建物の前にいますので」
 <業者>
 「だから、どういったご用件なんですか? 担当者がいないので対応できないですけども。申し訳ありませんが、すみません」

 実態のみえない「ペニーオークション」業者。

 しかし「マル調」は、この業者の手がかりをつかんだ。

 社長の名前をインターネットで検索してみると・・・。

 <マル調>
 「市内で別の会社をやってるようですね」

 その会社があるのは、大阪ミナミ。

 <マル調>
 「ここにありますね。例の(ペニーオークションの)会社が」

 郵便受けには、例の「ペニーオークション」業者の会社名が。

 はたして、落札できないという疑惑に答えるのだろうか?


 落札できないオークションがある。

 <児島さん>
 「一番多いサイトで6万円」

 <マル調>
 「落札は?」
 <児島さん>
 「無しです」

 そんな利用者の相談を受け、「ペニーオークション」業者の実態を追う「マル調」。

 <マル調>
 「ここにあります。例の会社が」

 業者の事務所を割り出し、受付で例の「ペニーオークション」業者の社長に取り次ぐようお願いした。

 すると・・・。

 <マル調>
 「毎日放送ですが、社長はいらっしゃいますか」
 <業者>
 「いないんでどうぞお引き取り下さい。撮ってるんですか、これ」

 いきなり、カメラにつかみかかってきた。

 <マル調>
 「社長はいらっしゃいますか?」
 <業者>
 「いないと言ってるんです。帰ってください」
 <マル調>
 「オークションのことでお聞きしたい」
 <業者>
 「うちは関係ない」
 <マル調>
 「こちらに事務所ありますよね」
 <業者>
 「ここはオークション会社ではないので」
 <マル調>
 「下の郵便ボックスに・・・」
 <業者>
 「どうぞお引き取りください」

 その後も業者に取材をしたが、「担当者がいない」と答えるだけで、3月9日現在、一切回答はない。

 本当に安く落札できるのなら、非常にお得な「ペニーオークション」。

 すべてが悪質なサイトかどうかわからないが、それを見分けるのは至難の業だ。




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