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【プロ野球】天国の先輩に白星届けられず 由規、8イニング2失点完投も「悔しい」2011年5月21日 紙面から
◆楽天2−1ヤクルト敵地なのに起こった由規コール。杜(もり)の都が生んだ日本最速投手の凱旋(がいせん)を、仙台のファンは待っていた。ヤクルト・由規は「ここのマウンドに上がると、いつも温かい声をかけていただけるのがうれしい」。だからこそ、結果で声援にこたえたかった。被安打7で2失点完投。内容的には悪くなかったが、敗戦。「どうしても勝ちたかった。悔しい」と唇をかんだ。 初回に先制してもらいながら、その裏、2四球などでピンチをつくり犠飛で同点にされた。年一度の地元登板。しかも今年は東日本大震災後初の帰郷。「試合前から意識するだろうと思っていたが、力んでしまった」と気持ちが空回りした。 2回からは冷静さを取り戻し、田中との投手戦を繰り広げた。だが「7回がすべて」。1死二塁、鉄平への2球目は「失投。シュートして内に入ってしまった」。決勝の左越え二塁打となった1球を悔やんだ。 スタンドには仙台育英高時代にバッテリーを組んでいた先輩で、震災のため22歳で命を落とした斎藤泉さんの家族を招待していた。斎藤さんの父・匡さん(64)は、「泉に“由規君に頑張ってもらって、1点でも2点でも点が入るよう、違う世界から応援してやってくれ”と声をかけてきました」と言いながら、遺影とともに声援をおくった。しかし、勝利にはあと一歩届かなかった。 「勝利をプレゼントしたかったが…、残念」と由規。東京に帰る前に墓参りに行く予定だ。斎藤さんの遺体が見つかった4月27日に勝ったウイニングボールをそなえ、先輩の分まで力強く生きることを誓ってくる。 (竹村和佳子) PR情報
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