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火力、水力、夏場の供給余力なし 関電、県内原発の再起動見通せず

(2011年5月20日午前8時00分)

 福島第1原発事故を受け、定期検査中の福井県内原発の再起動時期が見通せない中、関西電力は電力需給が窮迫する場合には火力や水力発電所を最大限活用するとしているものの、実際には余力がほとんどない状況が浮き彫りになってきた。各原発で行われた緊急安全対策の妥当性や中部電力浜岡原発の全面停止をめぐり国などに対する県や立地市町の姿勢は厳しく、需要がピークを迎える夏場に関西圏で電力不足に陥る事態も現実味を帯びてきた。

 関電の8月の需給計画で需要は最大2956万キロワット、供給力は3290万キロワットを見込んでおり、余力は334万キロワット。関電の原発11基のうち美浜1、3号機、大飯3号機、高浜1号機は現在、定検で停止しており、4基が運転再開できない状態が続けば317・2万キロワットの供給力が失われ、余力はゼロに近づく計算だ。

 一方、関電の火力発電所は33基あり、このうち5基は長期計画停止中で、再稼働には設備対策などが必要なため2、3年はかかる。稼働中の火力の合計出力は1450・7万キロワットで原発を上回るが、8月の供給計画では当初から全28基の運転が盛り込まれており、これ以上供給力は増やせないという。水力発電所での出力増加も15万キロワット程度にとどまる見通し。

 関電は「7月以降の需要水準により、定検中のプラントの起動がどの程度影響するか一概には言えない」とする一方、4基の停止が長引き、大飯4号機や高浜4号機が新たに定検入りすれば「東京電力や中電への応援融通が難しくなるだけでなく、当社の状況はさらに厳しくなる」と説明。応援するどころか他社から電力融通を受ける立場になりかねない状況で、場合によっては企業や家庭に使用電力量を減らすよう求める需給対策も必要になりそうだ。

 福島の事故をめぐっては、地震による圧力容器や配管の損傷、緊急時の炉心冷却に用いる非常用復水器を運転員が手動停止させた可能性が次々と明らかになっている。津波被害を想定して各原発で実施された緊急安全対策が、政府の判断通りに「適切」なのか、全国の立地自治体は厳しい目を向けている。

 14道県でつくる原子力発電関係団体協議会は16日、暫定的な安全基準の明示などを求めている本県の方針に同調。政府に対して厳しい姿勢を示した。また、合理的な説明のないまま浜岡原発だけを停止させた点に立地市町は不信感を募らせており、美浜町会では運転中の原発の停止を求める強硬論さえ出たほど。国が期待するように地元の理解を得て原発を再起動できるかは不透明となっている。

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