拡散予測データ報告されず 福島原発事故の翌日未明福島第1原発事故による放射性物質の拡散状況を予測した緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)のデータが、東日本大震災発生翌日の3月12日未明に首相官邸へ届けられたが、情報を集約する危機管理センター幹部に報告されていなかったことが20日、分かった。枝野幸男官房長官が記者会見で明らかにした。 枝野氏は担当者の判断に問題があったとの認識を示した上で「官邸に届いた全ての資料を、いずれ検証する必要がある」と指摘。震災発生直後からの危機管理センターへの情報集約が適切だったかどうか検証する考えを示した。 拡散予測データは危機管理センターに派遣された経済産業省原子力安全・保安院の担当者の手元にとどまり、別室にいた枝野氏や寺坂信昭院長らに報告はなかった。菅直人首相が3月12日朝に第1原発を視察した時点では、首相にも枝野氏にもデータの内容は伝わっていなかったという。 報告漏れの理由について枝野氏は「重要でないと判断したとしか考えられない。その時点で報告があれば避難指示の参考になった」と指摘。また枝野氏が震災発生の数日後に拡散予測データの有無を担当者に確認したところ「データはない」との回答だったことを明らかにした。 【共同通信】
|