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「強盗認めれば覚醒剤不問」 大阪府警が捜査取引の疑い

2011年5月14日

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 大阪府柏原市のパチンコ店で2008年9月、現金約1千万円が奪われた強盗事件で、大阪府警が別の窃盗容疑で逮捕し、覚醒剤事件への関与の疑いも浮上した男に「強盗を自白すれば覚醒剤を立件しない」と取引を持ちかけた疑いがあることがわかった。男は強盗を認めて起訴されたが、大阪地裁の遠藤邦彦裁判長は昨年9月の公判で自白の任意性を否定し、自供書などを証拠採用しない異例の措置をとったという。

 男は無職の石田利晃被告(40)。弁護人の山本了宣(りょうせん)弁護士によると、被告は09年6月に窃盗容疑で逮捕された際、覚醒剤も押収された。その後の取り調べで強盗に関与したとする自供書などが作成され、同9月に強盗容疑で再逮捕された。公判でも起訴内容を認めたが、同12月の覚醒剤取締法違反(使用など)罪での追起訴後に否認。「強盗を認めれば覚醒剤事件は立件しないという約束だった」と主張していた。

 被告の公判に証人出廷した府警の捜査員は取引を否定したが、遠藤裁判長は昨年9月の決定で、「覚醒剤事件の証拠が当初からあったのに、立件が遅すぎる」と指摘。自供書や自白調書について「強盗を認めれば覚醒剤事件を立件しないとの約束で作成された疑いが否定できない。偽りの約束の可能性があり、違法性が高い」と述べ、証拠採用しないと判断した。

 一方で、約2カ月後の判決では、共犯者(強盗罪で実刑判決確定)の公判証言などから強盗と覚醒剤事件への関与を認定し、懲役10年を言い渡した。

 被告側は判決を不服として控訴中。控訴審から弁護についた山本弁護士は「被告は強盗事件には関与していない。改めて取り調べの違法性を指摘し、無罪を主張していきたい」としている。(岡本玄)

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