史上1位タイの1430回出場の魁皇(左)は引っ掛けで日馬富士を下す=両国国技館で
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◇技量審査場所(11日目)
(18日・両国国技館)
6勝4敗の大関同士の一番で魁皇(38)=友綱=が日馬富士を引っ掛けで破り、高見山と並んで史上最多の幕内1430回出場を白星で飾った。横綱白鵬は関脇琴奨菊を厳しい攻めで寄り切り、11連勝で単独トップを守った。1敗の平幕栃ノ心と新入幕の魁聖は、ともに勝って10勝目を挙げた。
魁皇は、突進してきた日馬富士に対し、体を右へ開き、相手の右腕をたぐった。土俵際での危機一髪の脱出劇。決まり手は引っ掛けだった。
「相手は速いんでねえ。気がついたら押されていた。自分の軽さにびっくりしたよ」。132キロと軽量の日馬富士に一気に土俵際まで押し込まれたことを魁皇は自嘲。逆転を「狙っていたのか」と問われると「狙ってはできないでしょ。そんな余裕はないよ」と苦笑しながら答えた。
万全の相撲ではなかったが、この日の出場で高見山の持つ幕内出場回数史上1位の記録1430回に並んだ。「どうだと言われても、自分では全く知らなかったし、気にもしていない」。最初は素っ気なかったが、こう続けた。「長くやっているのは大きいよ。全部終わった時の楽しみにすればいい」。ハワイから来た高見山は丈夫で長持ちの代表格、97場所で達成したが、魁皇は106場所かかっている。
腰、膝、足首など満身創痍(そうい)の魁皇にはけがとの戦いが常について回る。治療に専念すれば稽古がおろそかになる。初場所が終わってから中止の春場所を含めて本格的な稽古は5日もないという。「腰、膝は場所中によくなるわけはない。これ以上悪くならないようにするだけだ」と言う。
大きな勲章を手にした魁皇の次の目標はいうまでもなく通算勝利。千代の富士(現九重親方)の持つ1045勝まで「3」。残り4日間だが、世間のボルテージは日増しに高くなっている。(近藤昭和)
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