◇技量審査場所<12日目>
大関把瑠都(26)=尾上=は魁皇を寄り切って2敗を堅持。横綱白鵬(26)=宮城野=は阿覧をじっくり攻めて土つかずの12連勝。栃ノ心と新入幕の魁聖は2敗に後退した。大関を狙う琴奨菊(27)=佐渡ケ嶽=は日馬富士の立ち合いの変化に敗れ4敗。東前頭筆頭の豪栄道が勝ち越した。
大関同士の力勝負。把瑠都は立ち合いで左に変化した魁皇に先に上手を取られたが、慌てない。じっくりと勝機を待って相手が投げを打ってきたところで両まわしを引き、体勢を逆転。最後は若さと勢いで勝る把瑠都が、12歳年上のベテラン大関をパワーでねじ伏せた。
満足そうに笑みを浮かべながら支度部屋に戻ってきた把瑠都。しかし取り囲む報道陣にはかたくなに無言。3日目の豪栄道戦で敗れて「遊びの場所みたい」「気合が入ると思う?」と問題発言し放駒理事長(元大関魁傑)に厳重注意を受けて以降、この姿勢を貫いている。まるで「オレの気持ちは相撲を見て判断してくれ!」と言わんばかりに。
闘志満々の内容に放駒理事長は「いい相撲だったね」と褒めたたえた。この日は1敗の栃ノ心、魁聖の2人が敗れ、もし2敗の把瑠都まで敗れていたら優勝争いの興味は一気に薄れるところだった。13日目の栃ノ心に勝てば14日目の横綱との直接対決まで逆転Vの可能性は残る。
所属する尾上部屋は、場所前に八百長関与で3力士が引退し、尾上親方(元小結浜ノ嶋)が飲酒運転で書類送検と暗い話題が続いた。しかし、ここへきて南(東幕下6枚目)が勝ち越して十両昇進が有力になり、そして把瑠都の奮戦と明るい話題を提供しつつある。
エレナ夫人が運転する迎えの車に向かう駐車場への通路。言葉こそ発しなかったが、何度か穏やかな表情を見せて充実感を表現した。やはり白鵬を追撃できるのは、初優勝を目指すこの男しかいない。
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