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【浜岡原発停止】

海水流入、原因不明の「軽症」 識者「圧力容器の腐食心配」

2011年5月18日

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 中部電力浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)で「冷温停止」作業中の14日に、原子炉の冷却水に海水400トンが流れ込んだとみられるトラブル。放射性物質は漏れておらず、中電は軽症を強調するが、トラブルの詳細も原因も分かっていない。公表したのも発生から丸1日近くがたってからで、「特別な状況なのでもっと早く公表すべきだった」との指摘もある。

 中電によると、トラブルが確認されたのは14日午後4時半ごろ。復水器内には、海水が流れている配管が通り、蒸気を冷やす仕組みだが、この配管が破損し、海水400トンが復水器内に流れた可能性が高い。流入経路が逆で、復水器から海水の管に水が流れ込めば、放射線物質に汚染された水が、外部に流れ出すことになる。

 中電は、その可能性を否定する。復水器内は真空状態で、配管内の圧力が高いため、復水器内との圧力差で「配管側に流入する可能性はない」という。海水の放水口で計測している放射性物質の濃度にも「変化はない」と話す。

 配管には直前まで異常は確認されていないといい、トラブルの原因や配管の現状は「これから詳しく調査する段階」と述べる。

 山口彰・大阪大教授(原子炉工学)は「復水器内は、構造的に腐食や亀裂は起こり得る」と指摘する。師岡慎一・早稲田大特任教授(原子炉熱流動)は「海水の流入で圧力容器の腐食が心配される。これまで400トンもの流入は事例が無く、あってはいけないトラブル」と問題視する。

 中電は、政府の要請を受け入れ、全国が注視する中、すべての原子炉を止めた14日ではなく、翌15日昼に公表した。

 「放射性物質の漏えいはない。安全面の問題はなく、法律に基づき国に報告する対象には該当しない。本来なら、営業日の16日に公表すればよい中身」と対応の速さを強調する。

 NPO法人原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「電力会社の公表は常に遅いが、今回は特別な状況下。すぐに出すべきだった」と批判。「緊急停止ならともかく、通常の停止作業で400トンもの海水がいきなり流れ出る穴が開くか。もっと前から漏れ出ていたのではないか」と推測する。

 

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