'11/5/20
不信任案カード切ったものの…
自民党の谷垣禎一総裁が、内閣不信任決議案の提出時機に頭を悩ませている。17日に提出意向を表明したが、可決に必要な民主党議員の大量造反を誘発する工作が進んでいない。失敗すれば菅直人首相は信任されたことになり、逆に自らの責任が問われる。ベテラン議員が、否決前提で、フランスで開かれる主要国首脳会議(サミット)に首相が出発する24日前の提出を主張し始めたのも窮状の裏返しだ。
「菅首相が日本を代表してサミットに出るなんてとんでもない。早く退陣させなければいけない」。古賀誠元幹事長は、19日の派閥総会で強調した。不信任案採決をきっかけに小沢一郎民主党元代表を支持する議員が離党、追い詰められた首相が、大連立を持ち掛けてくるとの希望的な読みだ。派閥
しかし首相出発前となると、時間的な余裕がない。さらに大連立に慎重な議員が多い中堅、若手からは、マスコミの世論調査で即時退陣を求める声が少ない上、「サミットに向かう直前の首相への不信任案は出席国からあきれられる。国民の理解も得られない」と強い反発が上がる。
23日から始まる東日本大震災復興対策に関する衆院特別委員会など今後の国会審議や、サミット後の6月1日に予定する党首討論で、首相の東日本大震災や福島第1原発事故対応を徹底追及。世論を味方に付けることで民主党内の造反を誘因するための環境作りを目指す作戦だ。
派閥領袖の働き掛けを受ける谷垣氏も早期提出には消極的とされるが、サミット後の提出時機に見通しを持てているわけではない。19日の記者会見でも「視野を広くし、いろんなことを考えている」と述べるにとどめた。