ウィキリークス機密公電:日本とロシア、対中懸念で07年に一時接近


内部告発サイト「ウィキリークス」に10日掲載された米公電によると、北方領土をめぐって長らく対立している日本とロシアは、中国の軍事力増大を受け2007年に一時的にそれまでより協力的な姿勢に転じていた。

東京の米大使館が国務省にあてた07年6月14日付の公電によると、当時外務省のロシア課長だった武藤顕氏は、ロシアを日本とその他の東アジア諸国に引き寄せる必要性について、「ロシア政府の(地域への)統合を促さなければ、同国政府と中国政府が戦略的パートナーとして接近し、非建設的な提案をしかねない」ことを大使館から米政府に伝えるよう要請した。「日本がロシアと中国の間にくさびを打ち込むよう望んでいると武藤氏は語っていた」という。

Associated Press
安倍晋三首相(当時)とプーチン大統領(同)(07年6月7日、ドイツ)

日本の外務省は11日、この掲載に対するコメントを拒否した。在日ロシア大使館からのコメントは得られていない。

同公電には、07年1月に物議をかもした中国による衛星破壊ミサイルの実験を受け、日本とロシアが開いた一連の高レベル会合に関しても書かれている。安倍晋三首相とロシアのミハイル・フラトコフ首相は1カ月後、原子力協力交渉の開始で合意したほか、両国の経済関係強化に向けた広範な協定に署名した。ロシアは中国のミサイル実験や環境問題、特にアムール川の化学汚染に懸念していたという。ロシアは、アムール川の汚染について、水源のある中国の責任だと考えている。

07年6月14日付の同公電は、「武藤氏によると、ロシアが日本との二国間関係を見直し始めたのは『昨年早く』、中国の成長に対するロシア政府の懸念が高まったときだ」としている。

武藤氏は、こうした見直しが、07年上半期に行われたクレムリンの高官との異例に友好的な会合につながったと推測している。ロシアは、少なくとも一時的に、北方領土問題についても新たな見解を持ったようだという。

同公電は、主要8カ国首脳会議(G8)に際してプーチン大統領と安倍首相が07年6月7日に行った会談について、「日本政府の当局者は、プーチン大統領が日ロ関係について否定的なことを言わないのを意外に思った」としている。武藤氏によると、プーチン大統領はこの会談で、(北方領土)交渉の加速を議員に指示すると約束した。

しかしその後、日本とロシアの関係は冷え切っている。メドベージェフ大統領が昨年11月、ロシア(旧ソ連時代も含む)首脳として初めて北方領土を訪れたことから、領土問題が再燃し、悪化している。ただ、3月11日の震災以降は緊張が緩和しているようだ。

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    • 現在ロシアの思惑があまり掴めない
      対特ア関係に終始するあまり対露関係をおざなりにしている民主政権へのある種のアプローチかとも思えるし、本気で取りに来てる感も否めない
      どちらにしろ自国のお国事情だか何だかしらんが外相をコロコロ変える国に
      信頼感が無いのは痛い話だが確かで迷惑な事ではある











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