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スポーツ報知>コラム>城田憲子の「フィギュアの世界」

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世界選手権 男子総評(下)

高橋大輔(写真提供・今永百合子)

 前回王者の高橋大輔は、ラテンの曲ならば任せておけとステップと振りで会場を沸かせながらの演技。ジャンプの要素はこなしたが、着地がやや詰まった感じに見えた。スピンもゆっくりとした回転のように感じ、今一つスケートの伸びやかさが必要かと思われた。もう少し流れがあっても良かったように思った。SPの曲は「エル・マンボ」。シェリー・ボーン振り付けのダンスカテゴリーという良さは出ていたが、シングルの選手がラテンの特徴とフィギュアスケートとの対決は同調出来るのか?という疑問は残った。

 フリーはSPと同じラテンの曲「ブエノスアイレスの冬」。バンクーバー五輪で銅メダルに輝いた「道」と言う、彼自身のけがからの立ち直りを描いたストーリーと同じく振付師はパスカーレ・カメレンゴ。音楽を的確につかみ、情感あふれる演技を持ち味とする。氷上のアーティストと呼ばれ、ここロシアでタチアナ・タラソアに学んだスケートが生きて…と期待したが、靴のビスが数本取れるまさかの演技中断。減点1点。再滑走したが、いつもの高橋とはいかなかった。トリプルアクセルのステップアウト、得意の3回転サルコウで転倒と、独特の味が出ずに終わってしまった。得点が伸びずメダルを逃した。総合5位。事前に靴の点検など行っていなかったのか? 試合と言うものは寸分のすきも与えてはならないのだ。

織田信成(写真提供・今永百合子)

 織田信成のSPは「Storm」。演奏・吉田兄弟、振り付けはセバスチャン・ブリテン。フリーの曲は「ピアノ協奏曲イ単調」。振り付け同じ。実はデビット・ウィルソンにしてもらいたかったのだが、デビットのスケジュールが調整できず、その弟子のセバスチャンになった。

 SPは織田苦手の最終滑走。4回転ジャンプに望みを掛けたが、ステップアウトで減点。回転は足りて、コンビネーション・ジャンプに成らずに諦めたが、3回転ルッツに3回転トーループを付け上手くジャンプコンビネーションの要素をクリア。織田には珍しいリカバーだ。ストレートステップでもつまずきを見せたが、さほどの減点にはならなかった。吉田兄弟による三味線での演奏に乗り、得意の分野での演技は、彼をひと回り大きく見せた。思いのほか点数が伸びなかったが、2位と好発進。しかし、パトリック・チャン(カナダ)には10点以上差を付けられた。

 フリーは縁起の良いラストグループの最初の方で演技した。滑走順もパトリックの後で、カナダで練習しているもの同士の戦いになった。余り得意でないオーケストラの名曲、それも「ピアノ協奏曲イ単調」。正統派の曲選び。技術構成点で高得点の確保がメダルに繋がると期待したが…。織田、またしても“ポカ”をした。最初の4回転が3回転トーループ―3回転トーループになったことまでは良かったが、次のトリプルアクセルの後の連続ジャンプが3回転トーループとなった。3回転トーループが3つ目となる要素違反で無得点。大きなダメージとして技術構成点に出てしまい、総合6位。欲を出すことなく平常心で戦うことの大事さ、大きな舞台で大きなミスをするのはそろそろ“卒業”しても良い頃だろう。

 当初より1か月遅れのモスクワでの世界選手権大会。どの選手も調整には苦労したろう。1位のパトリックと2位の小塚の差は20点以上となった。今季のパトリックの完成度は、「フィギュア王」として君臨していると言っても過言ではない。スケートの上手さは言うまでもないが、要素の前後に入る工夫されたステップ、誰でもまね出来るものでもない。コンパルソリーと言う基礎を築きあげてきた、たまものだろう。曲を演じ切る姿はこれぞフィギュア!と納得してしまう。クリーンなプログラムを滑った小塚は、各要素で加点はもらったが、味と言う点ではいまだ一歩二歩足りないと思ってしまう。銅メダルのガチンスキー(ロシア)はこれからミシンコーチの特訓がきつくなるだろう。団結力の良いロシア、これで勢いが付いてくるだろう。

 最終グループに3人入る史上初の男子日本勢。この事だけでも、日本の時代へ突入―とうれしい限りだ。しかし、3人とも表彰台が見えていただけに、悔しい。うかつにも、手の間から表彰台がこぼれ落ちてしまった。最終グループに入らないと基礎点が上がらなくて勝てない。そんな悔しい思いを何度したことか!その時代の初心に戻ってみるべきだろう。何度も同じ間違いは、いい加減にやめよう。こんなに強くなった男子陣。来シーズンはしっかり、自分のやらなければならない事を氷上で納得しながら実戦で表してほしい。(次回は女子)

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(2011年5月10日11時12分  スポーツ報知)

著者略歴 城田 憲子(しろた・のりこ)

 1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。

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