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このほど終わった世界選手権で表彰台に上った選手、逃した選手を改めて振り返りたい。
世界一になったパトリック・チャン(カナダ)。上質のスケートは滑った後の余韻が、またいい。一つ一つの要素を確実に余裕を持ってこなしながら、曲を演じ切るのも忘れない。テイク・ファイブの曲に乗り、SP世界最高の得点93・02点をたたき出した。4回転トーループ―3回転トーループのコンビネーションを難なく跳び、パーフェクトの演技で観衆をうならせた。凝ったステップは要素構成点に最も反映し、高得点をたたき出した。氷に吸いつくような、それでいて伸びのあるスケート。強く、深いエッジの使いに迫力がある。小塚と同じコンパルソリーの練習を繰り返しやり、基礎を築きあげたたまものだろう。
そしてステップの中に要素があり、それが良くなじんでの「オペラ座の怪人」は、プログラムの完成度が高い演技だ。序盤2回の4回転トーループを成功させ、トリプルアクセルのステップアウト以外は大人の味が出る演技で、ぶっち切り世界最高点での優勝。その演技を見ていたプルシェンコは、顔をゆがめたそうだ。五輪のために鍛えた強化は、モスクワで華となった。
小塚のSPの滑り出しは、やや硬かったように感じた。3回転ルッツ―3回転トーループは、いつもより遅めのテークオフ。回転がややゆっくり回っていたようにも思えた。続くトリプルアクセルでは手をつき、減点。後の要素は、らしくやれたが6位と最終グループにギリギリ残った。彼の良いところのスケーティングの上手さが、今一つ出なかった感は否めないが、ひるむことなく若さを武器にする強さでフリーに向ってやって欲しいと願った。
持ち前の基礎を叩き込まれたスケートは、フリーでよみがえった。ジャンプのキュッと回る回転も調子の良い時に戻った。すがすがしくて、気持ちの良いプログラムだった。序盤の4回転トーループをきれいに降り、続くトリプルアクセルも素晴らしかった。シャープで正確な技術は好感を呼ぶ。リストのピアノコンチェルトの名曲に引けを取らぬくらいのクリーンな完璧な演技だった。演技構成点でチャンを上回る出来は、震災の影響で開催地をモスクワに変更した間の時間が彼をなお一層、完成度の高い技術につなげたのだろう。フリー2位で、初めての銀メダルに輝いた。
アルトゥール・ガチンスキー(ロシア)は、アレクセイ・ウルマノフ、アレクセイ・ヤグディン、エフゲニー・プルシェンコなどの五輪王者を育てた、アレクセイ・ミシンコーチに育てられた。軽く4回転トーループ―トリプルアクセルのコンビネーションをやりこなす。才能を信じているミシンコーチはガチンスキーがかわいくてたまらない。ついついワガママを許してしまい、それが今一つ成長が遅れている原因でもあった。
プーチンが肩入れしているフィギュア男子。世界に追いつき、追い越せの特訓で、再びヤグディン&プルシェンコたちのように数々のISU大会を制覇して来た時代に戻りつつある。その筆頭のガチンスキーにいや応なしに期待がかかる。単独ジャンプの要素、3回転ループのミスを除き全体的なSPは合格点の4位。メダル圏内でフリーにつなげた。フリーではシャープで繊細なスケートと細かい軸で、ジャンプもスピンも形が良い。曲を演じるのも上手く4回転トーループもきれいに入り、余裕の演技で銅メダル。まるで“ミニ・プルシェンコ”だ。いや、やがて彼を超えるだろう。ミシンコーチのマジックにかかって、ソチ五輪に向け希望の星となる。(続く)
(2011年5月3日16時11分 スポーツ報知)
1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。
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