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スポーツ報知>コラム>城田憲子の「フィギュアの世界」

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アイス・ショーの行きつくところ(上)

スイス・チューリヒで行われた「アート・オン・アイス」※写真提供・菅原政治氏(Japan Sports)

 世界最高峰と言われている、「アート・オン・アイス」が、今年2月で16回目を迎えた。今回、初めてスイス・チューリヒでの興行を見に行って、とても魅せられてしまった。

 このショーの成り立ちに触れてみると、「アート・オン・アイス」が設立されたのは1995年だった。まだ、1500席の小さなアリーナでのスタートだった。アート・オン・アイス社長のオリバー・ヘーナー氏は、元々11回ものスイス・ナショナルチャンピオンに輝いたスケーターだが、世界タイトルを持っていない分、他の考え方を豊富に持っていたのかもしれない。選手生活を終える時、ライブミュージックに関するモノをやりたいと考え、そして、アイス・ショーを作ろうと思い立ったという。

 スイスで行われる幾つかのショーはみな小規模で、退屈だった。そこで彼は国際的に通用する大規模なショーを企画したいと考えた。最初の公演の参加者はデニス・ビールマン(スイス)、ウーソワ&ズーリン(ロシア)、ウォーツォル&シュトイヤー(ドイツ)、ペトル・バルナ、ジョゼフ・サボフチェク(ともにチェコ)などの選手たち。暖房もない普通のアイス・スケート場は満席にはなったものの、寒さの中での興行には無理があった。

アート・オン・アイス社長のオリバー・ヘーナー氏。※写真提供・菅原政治氏(Japan Sports)

 翌年に「ゴールド・オン・アイス」から、現在の「アート・オン・アイス」と興行名を変更し、フィギュアスケートとライブミュージックとを融合させ、初心の発想に立ち戻ることにした。1万1000席の大規模な会場を観客で埋め尽くすためにスケートだけではなく、音楽にも目を向けることにしたのだった。しかし当初は、スケート業界に詳しくても音楽業界には接点が何もなく、ミュージシャンを招く為には、音楽業界とのコネクションを築くことから始めなければならなかったが、自分のショーに誰が合うかを自分自身で見極めたかった。

 有名であり、スケジュールが合い、かつ高額でないアーティスト。音楽業界はスケート界よりももっと複雑で、契約書にサインが入るまで何が起きるかわからなかった。契約が成立すればアーティストたちは確実にショーに出演してくれる。ヘーナー氏は、音楽に関して何の実績もなかったから、音楽関係者の信頼を得るのが第一に大変なことだった。それでも招へいするアーティストは簡単には決まらないし、折り合いを付けていくのは大変なことだった。

 この頃は、1~2名のアーティストとスケーターたちでショーを敢行した。優秀な成績を収めたスケーターであることも大事だが、ショーに協力してくれて、その年に選んだ音楽にピッタリと合ったスタイルとユニークさを持つスケーターでもあることも大切で、世界チャンピオンという肩書よりもショーのスタイルに合うか、優れたショー・パフォーマーであり得るかと言うことにも注目していていなければならないことだった。

「アート・オン・アイス」に出演した荒川静香※写真提供・菅原政治氏(Japan Sports)

 また、滑りに独自性があるかが大切なポイントとして人選し、探すことかが大事だった。ヘーナー氏がやるべきことの一つには、事前に彼らにショーの説明をすることだった。スケーターと音楽家との対話が必要だと言う事を理解してもらうために、彼は説明を怠らなかった。常に音楽をコンセプトの中心に置き、ユニークで今まで経験した事のないショーに仕上げて行く事、そして出演者も共に楽しんでくれるプロデュースがこのショーを続けられる秘訣だと考えている。

 そしてプロデュースが良いと、スケーターたちは魅力的な演技が出来る。観客はじかに伝わる演技に反応し、感銘を受ける。自分がその場に居合わせないと経験できない実際のパフォーマンスと実体感。1回、足を運べばその魅力に引き込まれ、毎年会場に友を誘ってやってきてくれる。これがヘーナー氏考案のアイスショー、「アート・オン・アイス」の規模を大きくしてきた由来である。(続く)

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(2011年3月8日15時08分  スポーツ報知)

著者略歴 城田 憲子(しろた・のりこ)

 1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。

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