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スポーツ報知>コラム>城田憲子の「フィギュアの世界」

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四大陸選手権男子総論

 日本の3選手は、それぞれの目標到達を目指し迎えた大会だった。一番若い羽生は、この大会に今シーズン最後の大会として、小塚、高橋はデトロイトなどで振り付けの手直しをし、世界選手権でいかに戦うかの調整大会としての舞台だった。

 ◆高橋大輔 ベテランはジャンプ要素も危なげなく、ラテンのリズムのツボをよく心得、体にためた思いを吐き出しながらの演技。大輔ならではのノリの滑りで締めくくった。世界王者の意地を見せ、シーズンベストでの1位。今季初めてのパーフェクトの演技、ミスの許されないSPに少しは自信が付いただろう。フリーは4回転トーループで転倒したが、その他のジャンプを無難にこなしながら、ラテンのリズムに身を任せ、自在に魅力を氷上に描いた。だか、どことなく体の軸の太さが気になり、いつものシャープさが息をひそめてようにも思えた。体力のいる演技だったのだろう。幾つもの山を越えて来た彼はやはり貫録と言うか、存在感があり意地を見せ優勝した。

 ◆羽生結弦 新鋭のSPの要素自体は無難にこなしたが、欲を言えばスピードが感じられず、曲に乗りきれずの感あり。あともう一つのピッタリ感が欲しかった。しかし初めての四大陸デビュー。世界選手権以上のメンバーがそろう、戦いがいのある大会で3位発進は立派だった。フリーはスピードの中で、きれいに4回転トーループを跳んだ。加点で2点も付いたほど素晴らしいいジャンプ。続くトリプルアクセルも、流れも飛距離もあり会心のジャンプだった。次々に成功はしたものの、曲想を表現するには若すぎるのか、効果音に体を合わせるのが精一杯という感じは否めなかった。しかし、初出場の2位は胸を張ってよいだろう。16歳の新星は、来季に期待される選手としての世界のトップのリストに入った。

 ◆小塚崇彦 SPはジャンプミスが響いて6位と出遅れた。全日本選手権後に手直ししたプログラムをこなすことに気を取られ、1発目のコンビネーションジャンプの失敗を後半にもカバー出来なかった。トリプルアクセルは両手をつき、さらにフリップもランディングがつまり、全体的にジャンプに頭が回っていなかったように思われる。スピード感もなく、スピンもいつものようにクリアではなかった。しかしファイブ・コンポーネンツ(5つの要素)の面ではより良くなりそうで、世界選手権は心配はないだろう。一方、フリーでは、振り付けを手直しした成果があり、指の先にピアノ曲が感じられるほど、手のさばきに緩急が付き上手くなっていた。更に持ち前のリレードがかった、素早く回る小気味の良いジャンプに巧みさが備わり圧巻だ。クラッシックのピアノ曲を鍵盤の上を指で奏でるように滑る技術、しっかりした基礎を作り上げたたまものだろう。フリー2位と健闘したが、メダルには届かなかった。

 ◆ジェレミー・アボット(米国) SPはジャンプ、スピンで一つずつの軽いミスはあったが質感のあるスケートでプログラムを通した。タンゴの曲を巧みに手の動きに表し、大人の演技で演技構成を評価され2位でスタート。フリーは冒頭の4回転トーループで転倒、トリプルアクセル+2回転トーループと、3回転ルッツ+2回転トーループ+2回転トーループのコンビネーションジャンプで多少の減点があったが、ジャンプの軸とスピンの軸の良さがあった。更につなぎのステップを上手く使いながら長身なスタイルを生かし、体全体に神経を行き届かせ曲想に身を移してポジショニングしていく姿は、プログラムをなお一層シャープにさせ、彼の独創的な演技を見ることが出来た。フリー4位、総合3位。全米選手権で4位に終わり世界選手権の切符を逃した雪辱を彼は返した。来季も、素敵な滑りと自信を付けて氷上に現れることに期待しよう。

 高橋と小塚にとって世界選手権の前哨戦としての大会は、勝つための課題も見つかり、良い勉強になったと言えるだろう。上手く調整していくことが大事で、2本(SPとフリー)そろえた時、少なくとも日本勢は表彰台を2つは確保出来そうな気がする。

 (次回は女子編)

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(2011年2月24日16時35分  スポーツ報知)

著者略歴 城田 憲子(しろた・のりこ)

 1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。

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