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日本で一番権威のある、世界選手権などの代表を決める大会である。GPシリーズのファイナルは6選手のうち、日本は3選手を占めた。小塚、高橋、織田。実力派のお兄さんたちに、若手はどこまで迫れるのか? その代表格は羽生結弦、無良崇人、町田樹くらいだろう。ラスト2グループの最初のスケーターの羽生はアレンジされた「白鳥の湖」を今までになく、素晴らしく演じ切った。全身、鳥になったように羽ばたく流れの中のトリプルアクセルは圧巻だった。続く、3回転ルッツ―3回転トーループも良かった。3回転フリップで間違ったエッジの踏切があったもののそれを気にせずに済むほど、3つのスピンもポジション、回転の速度、軸とそろい、ステップも曲想を表現。ジョニー・ウエアー(米国)のデザインのコスチュームは更に演技力を増す道具として働いた。
昨年、ジュニアのタイトルを総なめにした高校生が輝きを増して、ベテランと共に戦う世界選手権枠の中に入るSP2位と発進。しかし、翌日のフリーでは最終グループ(6人)の5番目の滑走順も影響したのか、やはり相当な、プレッシャーだったようだ。冒頭の4回転トーループが3回転になり、トリプルアクセルで転倒、シニアの仲間入りで、世界の注目度が高い羽生だが、ミスが続くと、思うようには技術評価点が付かず、期待の星は4位。結果、総合4位で世界選手権初出場を逃してしまった。
ジャンプミスは許されないSPで織田は4回転トーループの転倒、トリプルルッツの間違ったエッジの踏切、ステップシークエンスの転倒と、彼に合った和風の曲と振り付けのなか、「織田家ならではの演技」が見ることが出来なかった。練習量を増やし、4回転ジャンプの成功率を上げてきたが、上手く作動しなかったように思えた。少し気負い過ぎかという感じも否めなかった。高橋の失敗に助けられ、3位スタート。フリーは一番苦手意識の強い最終グループの最終滑走。また、ハプニングが…と心配する中で演技が始まった、やはり、4回転トーループと単独のトリプルアクセルの転倒、以外では彼の独特のジャンプを披露、スピンも中々研究してきていて、昨シーズンより良くなってきていた。ただ、中盤から要素表とは違う構成に変え、ハラハラさせられた。無得点になるジャンプをやるのではと心配がよぎったが…。ジャンプ・コンビネーションを2つしかやらず、スピンの順番も変えて切り抜けた。しかし、彼のクラッシックの曲での演技はまだまだいただけず、心から出る表現力のトレーニングをして欲しいと感じる。もう一段、見せ場という階段を上がって欲しい。それでもフリー3位、総合2位で世界選手権代表を得た。
世界チャンピオンの大輔が、まさかのSP4位。3回転フリップ―3回転トーループは着氷がステップアウトで減点、続くトリプルアクセルも両足着氷で減点。3回転ルッツは不明確なエッジの開始でまたもや減点要素あり。最後のスピンも軸が流れ、トラベリングで減点…とミスが目立った。しかしステップへいくと、曲に乗りクネクネと緩急をつけ、ベテランの味を見せつけたが、出遅れ発進。これはまずいとフリーで大輔は意地を掛けて戦うしかなかった。4回転ジャンプをやらねば男ではないとばかりに、4回転フリップで勝負をかけて来た。しかし回転不足で減点、ジャンプ・コンビネーションの回転の足りなかったのもあった。ジャンプの調子が今一つだったが、ステップでは、高橋のラテンの世界を存分に見せてくれた。ジャッジ、観客の心をわしづかみにし、揺さぶられる演技力にはいつも感服するし、場内を興奮の渦に巻き込み、熱気に包まれる感じは大輔ならではだと思う。しかし、技術点が伸びず2位。総合3位で代表枠に滑りこみセーフ。上手に調整していけば、世界選手権連覇にも希望が出て来た。
SP、フリー共に1位で完全優勝の小塚。基本に乗っ取った、スケートの質の良さ、それがプログラムの中でさりげなく無抵抗で滑って行く。そこに難しいターン、ステップも難なく入り、品の良い演技に成っている。ノーミスの演技で技術点も加点が多く、総技術評価点が高かった。ジャンプの切れも良いし、スピンの軸、回転速度も教科書通りだ。上手くなったと感心。フリーでは、ほぼ確実なモノになっている4回転トーループを序盤に入れたが転倒。軸のある早い回転、成功すれば素晴らしいが…。3回転サルコーも転倒。しかし転倒がそれほど気にならないくらいに、彼のスケーティングのシャープなエッジワーク、伸びのあるワンストローク、これが曲に合って来たから、流れの中の全ての要素が生きてきて、小塚の魅力が増していく。そのことが、演技構成点にも反映してきている。見るたびに上手さが見えてくるのも成長した証拠だ。そして代表1番乗りになった。
その他の海外試合の代表が決まった。出る人、逃した人…。みんな一番厳しい全日本に向かって練習を重ねて来た。それぞれ目的は違うと思うが、みんな一生懸命やって来た気持ちは同じだと思う。全日本が終わって見て改めて思う。最終グループの6人、みんな違う個性、色の違う選手たちに育ってきている。これから自分の色を大事に成長してほしいと願っている。(次回は女子)
(2010年12月29日23時01分 スポーツ報知)
1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。
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