◇…スポーツ報知の購読申し込みは、フリーダイヤル 0120-16-4341(イロ ヨミヨイ) まで…◇
◇…過去の記事は、ご使用のプロバイダのデータベース・サービスをご利用ください。…◇
アリサ・シズニー(米国)が北京で夢の優勝!やはり、ベテラン海外勢のお姉さんは強かった。本質的なスケーティングの上手さ、間の取り方、音の使い方、ジャンプ、スピン、ステップ、つなぎの部分、どれをとっても隙間がないプログラム構成にしてある。彗星のごとく出てきたのは、確か2005~06年のシーズンだったと思う。GPスケートカナダで、初めて中野友加里が3位に入った年にシズニーの高速スピン、ポジションの変化やオリジナリティ、粘りのあるスケーティング。クオリティの高いさに「うぁー強敵!」と思った。
あれから5年、コーチをジェイソン・ダンジェンと佐藤有香夫妻に変更し、デトロイトに拠点を移した。今年のスケートカナダ(オンタリオ州キングストン)で再び、彼女の良さを再確認した。有香コーチ譲りのためのある滑り、ダンジェン・コーチの思い切りの良さを少しずつ学び、成長した大人のシズニーになりつつあるように感じられた。
2位のカロリーナ・コストナー(イタリア)。いつも素敵なエレガントさがあるプログラム構成だ。ISU(国際スケート連盟)の教科書にいつも出てくる常連で、彼女の良さは審判員たちの頭に叩き込まれている。ジャンプさえ決まれば、高得点が約束されているようなものだ。性格も良く、とてもシャイな人柄。空港で会っても、ひょいと頭を下げ、ほほ笑む。人が良すぎる点が競技会での失敗につながるのかと思ってしまうほど。
前は練習チャンピオンと言われた事もある。初めて彼女に会ったのは、ジュニアGP中国杯。猛烈なスピードで3回転ジャンプを次々跳び、「これを本番でやられたら到底勝ち目はない」と思ったほどスピード、高さ、飛距離は群を抜いていた。まだGPジュニアが始まったばかりだったように思う。今みたいに身長も大きくはなかった。イタリアにもすごい選手がいるんだなぁーと感心した思いがある。
そんな彼女が女性スケーターに成長し、どの要素を取って見てもきれいで良い技術を持っている。コーチを替え転々とした時期は成績も振るわなかった。それが元コーチに戻り、再生コストナーに戻りつつある。3回転―3回転ジャンプが常に入ってくれば、今後が楽しみになって来た。
3位に入り、日本中で「ポスト浅田」と騒がれ出している村上佳菜子。NHK杯のフリー前に「どうしょう、リンクに居りたくない…怖い」とポツリ。どこかで同じようなセリフを聞いた…。伊藤みどりが初めて世界選手権(カナダ・オタワ)に出場した時のこと。すり鉢型の満席のアリーナを目の当たりにしたみどりは「人が降って来る…怖い」とリンクから上がってしまった。なだめるのにひと苦労だった。
ジャンプの申し子、男子トップ選手たちが「みどりが男子でなくて良かった」と更衣室で話していたほど。男勝りの、高さ、飛距離、幅と大きな放物線を描くような特大のジャンプは、彼女の右に出るものはいない。そんなみどりでも怖がった大舞台。同じことを言う、佳菜子も大物スケーターになれるかもしれない。
彼女の場合は練習と努力との積み重ねが何より大切になるだろう。大会ごとに得点が伸び、スケートにもスピードが出て、ジャンプを跳ぶ前と降りての流れ、スピードが変わらなのは成長した証拠で、ダイナミックにさえ感じる。演技を華やかにする術も出てきて頼もしい。そして何より、日本人3人の中でトップに立ったのは著しい進歩。今後も力いっぱいの演技に期待がかかる。
安藤のフリーは、SPの遅れをどう取り戻すか? だった。強気で滑り抜けるしかない状況を受け、淡々と公式練習も自分のペースで、ジャンプの確認をした。モロゾフ・コーチも安藤に好きにジャンプを跳んで良いと言ってたほど「ジャンプの天才」を信頼しているし、技術、芸術面でも安藤ならではのジャンルがあり、ジャッジ、観客を魅了する面でも興味深い。
やはり、急きょ替えたSPのプログラムは緊張が大きかったらしい。5位と出遅れてはいたが、フリーの後半の5連続ジャンプでどう乗り切るかで、表彰台が見えてくるはずだった。つなぎのステップをおろそかにせず一つ、一つ、丁寧に滑っている。ジャンプの形、スケーティングの伸び、スケーターとしても一流。そして元世界チャンピオンは意地を見せフリー1位。しかし、表彰台には届かなかった。SP、フリーと2本そろえる事が、とても大事だということを痛感したフアイナルだったが、改めて美姫の存在を知らしめた大会でもある。彼女は有能で、才能豊かな逸材だから眠らせてはいけない。もう少し“点取り虫”になり、滑り続けてほしい。
遅咲きの鈴木明子は常に自分で持つ課題に取り組んでいて、前向きだ。曲想に合わせ、目で物を言わせながら氷上を踊る彼女には感心する。五輪の経験から得た自信は大きいし、それが今年のGPに反映されている。小柄な体を大きく見せるのも明子流、そして、出来不出来が余りないのも強みの一つではある。しかし、ファイナルのような、ラストグループの戦いになると、ほんの少しのミスも、表彰台を逃す事があるのを知って置くべきだろう。(続く)
(2010年12月14日17時39分 スポーツ報知)
1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。
国内最大規模の携帯ニュースサイト。スポーツニュース速報のほか、旬の社会、芸能ニュースも満載。月額84円(税込)
巨人軍公式サイト。待ち受け画像や注目の選手情報など、シーズンオフも必見。「NEWS読売・報知」の全コンテンツも利用できて月額210円(税込)!
翌日朝掲載の釣果情報を当日夜に配信。厳選した指定船宿と協力店からの正確な情報や、船宿の自慢料理・仕掛けなど、実用的なメニューもご用意。月額210円(税込)
携帯初の競輪予想情報。グランプリやダービーはもちろん、関東・南関東を中心に各レースを徹底予測。月額210円(税込)
転職
リクルートエージェント