NZ地震:日本人6人、依然不明 余震なお続く

2011年3月22日 10時19分 更新:3月22日 10時24分

地震から1カ月を迎えた市中心部では、大きな損傷を受けたビルの取り壊し作業が行われていた=クライストチャーチ市で2011年3月22日、矢野純一撮影
地震から1カ月を迎えた市中心部では、大きな損傷を受けたビルの取り壊し作業が行われていた=クライストチャーチ市で2011年3月22日、矢野純一撮影

 【クライストチャーチ矢野純一】ニュージーランド・クライストチャーチ付近で2月に起きた地震は22日、発生から1カ月を迎えた。市中心部の倒壊したCTVビルに入居していた語学学校「キングス・エデュケーション」に通っていた日本人のうち、6人が依然、安否不明となっている。余震も約270回を記録し、20日にもマグニチュード(M)5.1の地震が起きている。

 これまでに死者のうち日本人22人を含む、146人の身元が確認され、氏名が公表されている。警察当局は死者・行方不明者総数は約200人としている。6階建てのCTVビルは完全に倒壊したうえ、火災が発生。警察当局は、DNAなどで身元の確認を進めているが、遺体の損傷が激しく、最終的に身元が確認できない遺体が出る可能性も示唆している。

 約120人の犠牲者を出したCTVビルなどの倒壊原因について、ニュージーランド政府が設置した最高調査機関「王立委員会」が究明を進める。同市によると、昨年9月のM7.0の地震の際は、建築基準法の耐震基準の30%程度の揺れだったため、外観的には、大きな損傷はなかった。しかし、2月の地震では、耐震基準の1.5倍の揺れで、想定をはるかに上回った。ニュージーランド地質・核科学研究所(GNS)の観測でも、横揺れの強さを表す最大加速度が940ガルと、阪神大震災(最高800ガル)を上回る強い揺れが襲った。

 そのため、王立委員会の調査でも、想定以上の揺れだったとして、ビル所有者の責任などを問えない可能性もある。一方、地元メディアは、CTVビルは耐震対策を盛り込んだ建築基準法が施行された76年の前年の75年に建設され、その後も、十分な補強工事が行われていなかった可能性を指摘する。昨年9月の地震後、市の外観調査で、使用可能を意味する「緑」の判定を出しており、市の判定に疑問を投げかける声もある。

 カンタベリー大学のグレゴリー・マクレイ助教授(地震構造学専門)は「適切な補強工事が行われていなかった可能性が高いが、地震の揺れが想像以上に大きかったのも事実だ。古いビルの所有者には、耐震補強工事の費用が大きな負担になっており、安全とコストのジレンマに陥っていた結果だ」と話した。

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷

PR情報

スポンサーサイト検索

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド