2011年3月21日 20時11分 更新:3月22日 1時27分
【カイロ和田浩明】シリアでアサド大統領の独裁に抗議するデモが拡大してきた。20日には、18日以降デモが続く南部ダルアーで1万人規模のデモが発生。与党バース党の事務所などを放火した。治安部隊との衝突で1人が死亡、150人以上が負傷した。21日は軍がダルアーに部隊を展開する中、数百人がデモ行進した。これまでに、小規模デモは国内各地で散発しており、40年以上に及ぶアサド体制は、大きな危機に直面している。
ダルアーでは18、19日のデモで治安部隊がそれぞれ数千人のデモ隊に発砲。少なくとも計4人が死亡した模様だ。政府は20日、閣僚を現地に派遣し、犠牲者の遺族に面会。事件の捜査を約束するなどして事態の沈静化を図ったが、デモは20日も発生した。
国営通信は一連のデモで死者が出たことを否定。デモについて「厄介者の一群が民間・公共施設に放火、住民を脅迫し警官に発砲した」と報じた。
国営通信は一方で、18日の発砲に関しては「治安機関幹部をかたる者が、集会に発砲するよう命じた」と報じ、武力弾圧からは距離を置く姿勢も見せた。
政治的自由が制限され、報道統制も厳しいシリアでは、国営メディアが反体制活動の動きや政府の対応を報じること自体が異例で、現状への当局の危機感を示した格好だ。
首都の南方100キロのダルアーでの一連のデモは、反体制的な内容の落書きをした少年15人が逮捕され、釈放を求める女性活動家2人も拘束されたことがきっかけとみられる。