水俣病:不知火患者会が正式和解決定 未認定問題は決着へ

2011年3月21日 18時57分 更新:3月21日 21時30分

記者会見する大石原告団長(左)と園田弁護団長=熊本県芦北町のしろやまスカイドームで2011年3月21日午後4時21分、遠山和宏撮影
記者会見する大石原告団長(左)と園田弁護団長=熊本県芦北町のしろやまスカイドームで2011年3月21日午後4時21分、遠山和宏撮影

 水俣病集団訴訟のうち未認定患者でつくる「水俣病不知火(しらぬい)患者会」(熊本県水俣市)は21日、同県芦北町で原告団総会を開き、被告の国や熊本県、原因企業チッソ(東京)と正式な和解に応じることを決めた。決定に基づき今月24日に東京、25日に熊本、28日に大阪の3地裁で和解が成立する見込み。原告2993人を抱える患者会の和解に加え、訴訟派以外の患者3団体も今月23日にチッソと解決協定を結ぶ見通し。未認定患者の救済問題は決着に向かう。

 患者会は昨年3月、被告側が原告に一時金(1人210万円)や療養手当(月1万2900~1万7700円)、会に団体加算金34億5000万円を支払うことで国などと基本合意した。原告、被告双方でつくる第三者委員会が症状などに基づき支払い対象者の判定作業を進めていた。

 患者会によると、原告の92.6%にあたる2773人が一時金と療養手当の対象となった。一方、22人が医療費支給のみ、また198人が対象外だった。患者会は一時金の対象から漏れた原告にも同額を団体加算金の中から支給する。

 総会で大石利生会長(70)は「現時点の最善策として和解を受け入れ、一日も早い救済を図りたい」と和解の意義を訴えた。総会には2860人(委任状含む)が出席し、反対は1人だった。

 政府は、患者勝訴となった水俣病関西訴訟最高裁判決(04年)を受けて認定申請者が急増したことを背景に、09年に水俣病被害者救済特別措置法(特措法)を成立させ、裁判と二本柱での決着を図ってきた。特措法に基づく救済申請は熊本県だけで2万8762人(2月末現在)に上っている。

 一方、残る訴訟派団体「水俣病被害者互助会」(水俣市、原告数9人)は現行の水俣病認定基準見直しなどを求めて訴訟を続ける。【西貴晴、結城かほる】

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