福島第1原発:外資系企業 不安感から社員や拠点を移動

2011年3月21日 17時56分

 外資系企業の間で、東日本大震災で被災した福島第1原発への不安感から拠点を西日本に移転したり、社員を東京から退避させる動きが広がっている。海外メディアで事故が大きく報じられ、自国で懸念する声が強まっていることも背景にあるようだ。

 独自動車大手フォルクスワーゲンの日本法人は「欧米で原発事故の影響を心配する声が強い」と、約40人の外国人社員の大半を家族とともに帰国させた。ギリシャ人社長は東京事務所から豊橋本社(愛知県豊橋市)に移動し業務を続けている。メルセデス・ベンツ日本、英オランダ系のユニリーバ・ジャパンも外国人社員の家族を国外に退避させた。

 スウェーデンの家具大手イケアは、地震直後から関東の3店を閉店。16日に本部機能を船橋店(千葉県船橋市)から神戸店に移したほか、18日からは社長以外の外国人社員を香港へ移動させた。スウェーデンのカジュアル衣料大手、H&Mも15日から関東地区の9店を閉店。本社機能を一時的に大阪市内のホテルに移した。

 米系たばこ会社のフィリップモリスは、本社機能の半分程度を東京から大阪に移転。独ソフトウェア大手のSAPジャパンも、外国人社員の大半を出国させたほか、事務部門を東京本社から大阪支社に移した。

 本国が東京からの退避を勧告した仏金融大手、BNPパリバは、営業は続けているものの日本で業務ができなくなった時に備え、社員約10人を香港とシンガポールに移した。

 一方、シティグループ・ジャパン・ホールディングス(米)、ゴールドマン・サックス証券(米)、ドイツ証券などは「東京で通常通り業務を行っている」と話す。ただ「在宅勤務を申請する社員は増えている」(シティ)という動きはあるようだ。【小倉祥徳、太田圭介、谷多由】

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