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'11/5/17

雨漏りで古文書管理に疑問


 広島市立中央図書館(中区)の古文書が雨漏りでぬれる被害が出た問題で、老朽化が進む同館は雨漏りが度々起きるために、屋上の修繕を2009年に実施していたにもかかわらず、その後は定期的な雨漏り防止に向けた調査や点検をしていなかったことが分かった。専門家からは管理態勢の甘さとともに、最上階の3階での保管を疑問視する声も出ている。

 雨漏りは12日朝に職員が発見した。3階西側にある古文書「浅野文庫」を収める収蔵庫の天井や壁がぬれた。古文書や絵図など約200点の接着部分ののりがはがれたり、湿ったりした。

 1974年に完成した同館は数年前まで、2〜3階の事務室や階段で雨漏りが度々起きていたことから、09年に屋上の防水工事に着手。約1600万円をかけ屋上のほぼ全面でコンクリート舗装をやり直し、その下の防水シートを張り替えた。

 ただ、その後は雨漏り防止に向けた点検は実施せず、今月初めに3年に1度の老朽検査をした際も雨漏りのチェックは項目に入れていなかった。同館によると、今回の原因は調査中で判明していないという。

 今回の事態について広島大文書館(東広島市)の小池聖一館長は、収蔵庫が屋上に接した3階にある構造を問題視。「雨漏りの危険性が高い階で保管するのは疑問。下の階に移せないなら、環境の整った別の施設で保管することも考えるべきではないか」と管理の甘さを指摘している。

【写真説明】雨漏りでぬれた浅野文庫の古文書を乾かす職員




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