出荷停止解除基準 魚介類の設定難航 カツオ・サンマ漁迫る
東京電力福島第1原発周辺で新たに放射性物質を含む高濃度の汚染水流出が確認され、水産物への影響が懸念されている。基準値を超える放射性物質が検出された魚介類には、農産物のような出荷停止の「解除基準」がない。間もなく、被災地沖でカツオやサンマなどの回遊魚が漁期を迎えるが、泳ぎ回る上、汚染された海水も動く。基準づくりはなかなか難しいのが実情だ。(長島雅子)
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魚介類から初めて高い数値の放射性物質の検出が明らかになったのは4月4日。茨城県北茨城市沖のコウナゴ(イカナゴの稚魚)から1キロ当たり4080ベクレルの放射性ヨウ素が出た。
「魚体内に入った放射性物質は体外に排出される」と説明してきた農林水産省の主張を覆す高い数値に政府は翌5日、急遽(きゅうきょ)、魚介類の放射性ヨウ素の基準値を1キロ当たり2千ベクレルと決めた。その後も基準値を超えるコウナゴが相次いで見つかり、政府は福島県産の出荷停止措置を発動した。
農産物の場合、1週間ごとの検査で3回続けて基準を下回れば、出荷停止措置は解除されるが、魚介類の解除ルールは「想定外」だったこともあり、まだつくられていない。
水産物の安全性確保について東京海洋大の石丸隆教授(海洋生物学)は「汚染水は海域にパッチワークのように不均一に分布している。海水の観測や魚介類の検査を細かく行い、広範囲に汚染水の分布を把握することが重要」と指摘する。
こうした中、水産庁は5月6日、放射性物質の魚介類への影響について調査拡充の方針を示した。これまではコウナゴのように沿岸部で取れるものが調査の中心で、魚種も各県の漁協任せだったが、カツオやサバ、サンマなどポピュラーな魚が漁期を迎えるため、対象を回遊魚にも広げた。
方針では回遊魚の調査で基準値を超えた場合、操業を自粛。その後は原則週1回の調査を実施し、野菜などと同様に3回連続で基準値を下回れば漁再開というルールも設けた。水産庁などはカツオが盛漁期を迎える夏までに、法律に基づく出荷停止措置が取られた場合の解除基準の策定を目指すが、動き回る魚の基準づくりは簡単ではない。
水産庁とともに基準策定に当たる厚生労働省の担当者は「規制や解除の範囲を自治体単位にするか、漁協単位にするのかなど線引きは難しい」と話しており、基準策定は難航しそうだ。
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