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[27648] 遭遇編2話更新【ネタ】混ぜるな危険! 束さんに劇物を投入してみた(IS×狂乱家族[一部])
Name: 九十欠◆82f89e93 ID:a6979411
Date: 2011/05/15 04:30
小さい頃、宇宙の構造とか、生物図鑑などを眺めてわくわくした事はありませんか?
不可能を可能にしようとする科学者が大好きです。

しかし、新しい発見は時として世界を大きく書き換えてしまったりします。

ノーベルやアインシュタインはその事に苦悩したそうですが、一方未知への探求に対する飽くなき衝動で、そんな事一切考えない人達。


それを狂科学者マッドサイエンティストと人々は言います



フィクションの世界であるからこそ魅力ある彼ら。
Dr.ワイリー
Dr.ウェスト
ジェイル・スカリエッティ
Dr.ゲボック
Dr.エッグマン
キース・ホワイト
葉月の雫
峰島祐次郎
百目鬼女史
篠ノ乃束
とかとか大好きですね
などなどまだまだ居ますね〜

まぁ、そんな中二つ程チョイスしてクロスしてしまいました
リアルで超忙しいのに何してんだ俺・・・
拙作は公開処女作となります。激しく未熟です
原作は持ってますが、考察不足で独自設定を知らず出してしまうかもしれませんし
辻褄合わせの為に独自設定をだすかもしれません。というか出しますね・・・俺なら
そもそも、遅筆で更新不定期です

クロス当初編と本編編を交互に出して行きたいと思います
・・・次回に出るのいつだろう・・・

そんな未熟作ですが、もし好奇心があったらご一読ください



[27648] 遭遇編 第 1話  邂逅———割とありがちな爆発移動
Name: 九十欠◆82f89e93 ID:a6979411
Date: 2011/05/08 14:09
 とある田舎の小さな村。
 そこにはよくある怪談が流れていた。

―――曰く、村の片隅にある廃工場、そこには悪魔が住んでいると

 よくある怪談だった。
 危険な場所に子供を行かせないため言い聞かせる『子供部屋の邪妖精』のようなものである。

 不穏な事件など何も起こらなかったし、肝試ししようとする活動的な若者も居なかった。
 子供達はただ一人を除いてそれを信じて近付かず、大人の真意に気付いていた聡明な少女も、まだ好奇心はそちらに向いていなかった。



―――ただ
 ある意味において、ある者達に取ってはそれは噂通りの存在であった。

 それは本来ならば彼らこそが、人々が恐れ、忌み嫌う闇夜に生きる人外共。
 その彼らが、そこの廃工場に『悪魔』が居る、と恐れるものが生み出されつつあったのだ。
 もしも、それが完成したのならば、その圧倒的な悪意によって彼らに暴虐が降り注ぐ事であろう事は間違いなかった。

 そこが廃工場である事も、生み出そうとしている者たちの意図によって偽装されたものだった。

 だから、その情報を得た彼らは家族を、大切な者を守るため、廃工場で生まれつつあるモノを破壊しに来たのである。



「ぎゃあ!」
 それは、どの人外の悲鳴だったか。
 彼らの屈強な肉体さえものともせぬ凶悪な弾丸が、留弾が、次々と彼らに襲いかかる。
 全身鎧にも似た装甲服を着た、化け物狩りのスペシャリスト達がそこには待ち伏せしていたのだ。



 廃工場の情報は真実だった。
 だが、その情報の漏洩そのものが彼らの罠だったのだ。
 だが、一方的にやられるわけにはいかない。
 彼らにも守るべき者は存在し、彼らは人には無い異能がある。

 尤も―――
 彼らとて限界はある。
 だが、自分の命などよりも大切な者があった。

 しかし、現実は厳しいものだ。
 とある人外が、吹き飛ばされ、一瞬だけ意識をとぎらせたと思えば、足が動かない。
 気付けば胸から下が爆弾で破裂したのか無くなっていた。
 どうりで、力が入らない筈だ。
 たとえ人間とは比べ物にならない生命力があろうが、これでは助かる筈も無い。
 
 痛みは無い。
 眠くなって来た。
 仲間はどれぐらい生き残っているのだろうか。
 逃げられた者は居たのだろうか。
 いや。
 自分と同じ志願した者達だ。
 何もなせず逃げる事は無いだろう。

 力を絞り出す。
 流れ出る血液とともに。命さえ加速させて。
 どうせ助からないなら出し惜しみするようなものでもないのだし。
 彼に気付いたのか、あちこちから、自らを省みない仲間達の力を感じた。
 それにすまない、と胸の内だけでつぶやき、意識は永遠に闇に落ちる。

 いったい、どんな力だったのかは人間には分からないだろう。



 この離れた地から、放たれた彼らの異能の力は———

 根こそぎ廃工場をこの世界から消し飛ばした。
 後に、核兵器さえ凌駕すると言われた、悪魔の頭脳とともに。












———某日本国某県某市、篠ノ之神社裏———

 友人と遊んでいた少女、織斑千冬はそのとき、起きた事をたった二つしか理解できなかった。
 爆音と暴風である。

 当時5歳でありながら、すでに自分の肉体コントロールが同年代の児童たちを遥かに凌駕していた彼女は、一緒に遊んでいた友人に覆いかぶさり、とっさにその余波からかばっていた。
 とは言っても彼女の知識では何が起こったのか理解出る訳も無く、内心では動揺凄まじく心臓はバクバクと鳴っていた。
 
 友人はこの神社の神主の娘で、篠ノ乃束と言う。
 束は神童と呼ばれる程の頭脳を有してはいるが、肉体は至って普通の五歳児並だった。

 頭脳が並ではない束と、身体能力が並ではない千冬。
 何かと浮きがちであった少女二人は、自然と交流を持つようになって行った。
 今では互いに無二の友である。
 肉体的に頑健なのは自分なのだから守らなければ、と言う義務感をしっかり持っている千冬であった。



「何が・・・起こったんだ?」
「えへへ〜、すごかったねえ、ちーちゃん」

 あたりを舞う粉塵を吸い込まないように袖で口を覆い、全く気に留めない束の口元も抑える。
 なんというか、のんきだなあ、怖くないのか? と考えてしまう千冬であった。

 やがて、粉塵が収まって来る。
「う・・・わ———」
 そこにあったのは直径三十メートル程のクレーターだった。
 神社裏で整備されていた木々は根こそぎなぎ倒され地肌を晒しており、中心に向かうに連れ、ギラギラと光沢を放っていた。
 さて、中心にはぐちゃぐちゃにスクラップと化した鉄屑の固まりと・・・。

———千冬はそれを認識した。
 年は自分と同じぐらいの、子供が踞っているのを。

「子供が居る!」
 千冬はクレーターを駆け下りようとして引っ張られた。
「危ないよ〜」
「止めろ束! あそこに子供が!」
 突撃しようとした千冬を束が両手で引っ張っていた。
 身体能力の差で、逆にずるずる引っ張られているが。

「でもね、ほらち〜ちゃん。中心に向けて光ってるよね、地面が高温で解けてガラスになってるんだよ、熱くて火傷しちゃうよ?」
「何を言っているんだ束? なんで地面がガラスになるんだ?」
 普通の五歳の意見である。
 ちょっと知識の差が出てしまったようである。
 だが、何故危ないのかは千冬も察した。その辺は同年代より聡明な千冬である。
 束が飛び抜けすぎているのだ。
 
「それこそ火傷する程熱いならなおさらだ! あの子が危ないだろ!」
「それこそどうでもいいのにな〜」
「良くない!」

 千冬に会うまで、知能の高さ故に隔絶されていたからなのだろうか。その点は推測するしか無いが、束は千冬以外に人としての興味を持とうともしなかった。
 何を言おうが完全に無視。
 いや、千冬以外、束の世界に居ない、と言った所か。
 両親さえ辛うじて認識する、と言った程度なのだ。
 後に、千冬に言われ、嫌われたくないと思った束は一応、人の話を聞く事だけはするようになったのだが。



「離せ、私は行く!」
 束を振り払って、まだ蒸気を上げるクレーターの中を千冬は突き進んで行った。

「あ〜あ、本当にどうでも良いのに。ち〜ちゃんは優しいなあ。でも」
 束はクレーターの中心にずんと、構える鉄屑を注視した。

「あっちはちょっと面白そうだな〜、あとでいじっちゃお★」 
 にこり、と天真爛漫に束は笑むのだった。



 その後、爆音を聞きつけた束の両親が神社裏の有様に悲鳴を上げ、さらにまだ熱引かぬクレーターに千冬が乗り込んで行っているのを見るや重ねて悲鳴を上げ、その中心の巨大な金属の塊になんだあれはと絶叫して、止めに千冬が助けようとしている、ここから見たら死体だよなあ、としか思えない程ぼろぼろの子供を見て、しばらく声が掠れて出なくなる程に絶叫する事になる。
 束はうるさいなあ、としか思っていない。
 ああ、千冬の心配だけはしているが。



 慌てて父がクレーターの中に入り、千冬とその子供を抱え上げた。
 さらさらとした、絹のような金髪を持った少年だった。
 無事な所を見つける方が大変な程全身くまなく大怪我をしており、彼は妻に救急車を呼ぶよう叫んだ。声は枯れ切っている。

 幸い、千冬は両掌の皮が水ぶくれになった———少年を担ごうとして地面に触れたからなのだが———他は、靴底のゴムが溶けたぐらいですんだ。

 やがて救急車に搬送され、千冬は火傷の治療の為同伴し、束は残った。
 危ないから止めるように言う母の言葉は完全に無視し、束は安全な場所までクレーターを降りて数秒観察、その鉄屑がなんなのか一発で見抜いた。
 胸に湧くのは好奇心。

 高き知能で大抵のものを理解できる少女にとって、未知とは最大の愉悦と言っても良い。
 大抵の事は大人でも匙を投げる書物を読みあさり、知識として参照できる彼女に取って、その鉄屑は理解できたが未知だった。

 何故なら、それは現行技術では絶対に作り上げる事は不可能であるのだから。






 少年の身元は不明だった。
 しかも明らかに国籍不明。
 すったもんだの紆余曲折の後、神社から最寄りの孤児院に引き取られる事が決まった。

 そして、少年とともに神社裏に出現した鉄塊だが。
 その日の夕刻、しばらくしたら来る警察になんと説明したら良いかと神社裏に来た神主———束の父が———神社裏に来た時すでに。

「ほっほ〜、なーるほど〜、こうなってるんだ〜これは凄いねっ! ふふふっ! これが分かるなんて束ちゃんはやっぱりすごい! まぁ、これを作った人もそこそこだけどね!」

 その神社の娘、束によって徹底的に解体されていた。
 五本の指の隙間それぞれに異なる工具を挟み、猛烈な勢いで分解、解析しつくしきっていたのだ。
 彼は自分の娘の異常性が恐ろしくなった。
 あの子は本当に人間なのだろうか、と。

 もう用は無い、と自分の横を通り過ぎる娘は、自分の事を認識していなかった。
 あまりの事に呆然とし、それこそ警察になんと説明しようか、と彼が頭を抱えるのはしばし後の事である。






 そして、少年は辛うじて一命を取り留めた。
 それからしばらくして、意識を取り戻したらしい。
 驚くべき事に、言語も通じて会話も出来るそうなので、面会謝絶が取り下げられた。
 だが、取り調べは、子供という事の上に、認識の齟齬が大きく、進んでいないらしい。

「ねー、ち〜ちゃん、本当に行くの〜?」
「当然だ」

 その事を聞いた千冬は、見舞いに行く事にした。
 4年後、弟が生まれその愛情を一点集中するまでは、全方面に優しい少女だったのである。
 
 花束とバナナが土産である。代金は何故か束の両親に貰った。
 お見舞いに行く、束も何故か付いて行くと告げたらくれたのだ。
 申し訳なかったが、手ぶらで行くのもあれだと、素直に受け取る事にした。
 花屋での買い物は、篠ノ乃母同伴である。
 バナナは吸収が良くて弱った体にもいい、と束に聞いていた事もある。

 なんだかんだ言って、最後まで束も千冬に付いて来た。

 病室に入ると、包帯だらけの少年が居た。背もたれを上げて、座るようにベットに寝ていた。
 包帯が無くても、貧弱で弱そうな印象を受ける。
 人形のように奇麗な顔立ちと美しい金髪に、一瞬、千冬は呼吸も忘れて息を飲んだ。

「大丈夫か?」
 千冬の声に一瞬だけびくっと反応したが、すぐに少年は千冬へ笑みを浮かべた。
「———大丈夫ですよ、手も足も折れてるらしいですけど」
 確かに、四肢は全てギブスで覆われていた。

「・・・そうか。———って、こら束。何をしてる」
 少年のギブスに落書きしようとしている束の襟首を引っ張って戻す。
 視線を戻すと、少年はじっと千冬を———いや、持っている花束を見ていた。
 そうだ、土産を渡そう。と思う前に少年は口を開いた。

「あなたがその手に持っているのはなんですか? 奇麗で、いい匂いがしますけど?」
「———あぁ、これか、お見舞いの花束とバナナだ、丁度渡そうと思っていたんだ」
「おぉ〜、バナナだバナナ〜、腐りかけが一番美味しぃんだよね!!」
「束、お見舞いの品を食おうとするな」
「え〜」

 そこで少年は妙な表情を浮かべた。
 今まで動揺の笑顔に、感動が含まれた表情である。
「お花・・・・・・? 不思議な構造をしてますね」
 その物言いに、さすがの千冬も問いかける。

「どうした、そんな顔して。まさか、花を見た事が無いのか? まぁ、それなら存分に見てくれ、あまり高い花は買えなかったのだがな」
 花束を少年に渡す。
 と言っても、両手がギブスなので腕で抱けるように。

「束、花瓶はあるか?」
「ん〜、わかんなーい。大丈夫! 三日ぐらいで腐っちゃうよ!」
「お前に聞いた私が馬鹿だった、看護士に聞いて———ん?」

 ナースステーションに向かおうとした千冬は、少年の様子が変わった事に訝しむ。
 少年はふるふると震えていた。
 そして、酷く恐縮した態度でまっすぐ千冬を見つめて来たのである。
「ありがとうございます!」
「あ、あぁ、そんなに気に入ってもらえたなら———」
 感動溢れんばかりの少年に千冬は面食らった。どもりながら言葉を紡いで行くと、言い切る前に少年は感動の言葉を繋げる。

「こんなに嬉しい贈り物は初めてです。あなたは、まるで天使のようです」
「んな、なぁっ———!」
 あまりにストレートな物言いに千冬の顔が真っ赤になる。
「ふふん、今更そんな事に気付くなんてまだまだだね! ち〜ちゃんは女神様みたいに輝いているんだよ!」
「お、おお、お前まで何を言っているんだ束!」
 何故か束が対抗して来た。
 もはや耳まで真っ赤になった千冬を尻目に、束は少年に千冬の魅力を語る。
 普段ののったりとした喋りではなく、まさしくマシンガントークで。
 これは見るものが見れば驚愕の光景だった。
 束が、千冬以外に語りかけているのである。内容は千冬の事だが。

「いい加減にしろ!」
「ち〜ちゃん!? ちょっとそれそのまむぅわ——————!!」
 羞恥がトップに達した千冬はバナナの房を一本毟ってそのまま束の口に突っ込んだ。
 当然、皮は剥いていない。
 それを少年はにこにこと笑顔で見つめていた。

「お前も、そんな恥ずかしい事を真顔で言うな!」
「そうですか? 思った事をそのまま言ったのですけど」
「それをやめろと言っている!」
 少年の口にもバナナを突っ込もうとして踏みとどまる。相手は怪我人だった。それを考慮できる程には物事を考えられる・・・はずだ、と自分に言い聞かせる彼女。

「そういえば、何を探していたのですか? さっき部屋から出ようとしていましたが」
「花瓶だ。花束をさすがにそのままにするわけにはいかないからな、」
「どんな用途に使うのですか? 形を教えてください」
 聞いて来てどうするのだ、と思ったが、素直に教える。なんだか、一般常識も随分知らなさそうだなあ、と思いながら。

「それでしたら、これを使ってください」
「これ?」
「これです」
 空きベットだった隣から花瓶を丁度持って来る。
「あぁ、これだ。これを花瓶って言う・・・は?」

 そうなんですか、これが花瓶ですね、教えてくれてありがとう御座います、と相変わらず畏まって腰の低い少年はベッドに寝そべったままだ。
 そりゃそうだ。彼は両足が骨折している。ベッドから動けない。
 では何が、今自分に花瓶を渡したのだ?

 なお、束は口から出したバナナを改めて皮を剥いて食べている。
 彼女では有り得ない。

「———な?」
 見つけた。見つけた後見つけなければ良かったと思ったが、見つけてしまった。
 ベッドの脇から、腕が生えていた。
 しかも機械製のマジックハンドである。
 ご丁寧に五本指で、精密動作もばっちりこなせそうだった。

 少年はそれを見上げ、にっこり笑いながら説明する。

「あぁ、両腕が使えないんで不便だったから、ベッドに腕を付けたんです。ついでに歩けないから頼んだ通り動くようにベッドを改造しましたし」

 何だそれは。

 あまりの事に千冬が思考停止していると、バナナを食べ終えた束がその腕を少し調べ。
「すごいよ、ち〜ちゃん。これは思考操作だねえ」
「はい。触れている肌の電位の差から思考を読み取らせているんです」
「ん〜ん〜、このへんはどうなってるのかなあ!」
 トンでも無い少年の発言を全く聞いていない束。さっきのは奇跡だったのか。相変わらずの束である。
 勝手に一人で解析している。ただ、上機嫌で鼻歌なんぞ歌っている。よっぽどこのベッドが気に入ったらしい。

「これ・・・お前が作ったのか?」
 両腕が折れているのに・・・いやそもそも、その年でどうやって? 材料は?
 次々と疑問が浮かんでは沈むあたり、千冬の頭脳も優秀である。
 
「はい。元々怪我する前にしていたお仕事と大して変わりませんし」
 そう言えば、と千冬は思う。
 彼はどうして神社の裏の爆発の中心で倒れていたのか

「どうしてあんな所で大怪我をしていたんだ?」
「さあ? お仕事をしていたらいきなり目の前が光って。気付いたらここで寝ていました」
「お仕事?」
 五歳の子供からは似つかわしくない言葉が出て来る。
「作っていました」
「何を?」
「ひこうき」
「・・・ひこうき?」

 何を言っているのか分からなくなった。
 ひこうきとは、まさか、飛行——————

「うん! あそこに一緒にゴミになってたあれだよね、ち〜ちゃん!」
 束が答える。返事をする気がないだけで、聞いてない訳ではないらしい。
 それで気付く。
 少年の側にあった鉄のかたまり。
 束が分解してしまったらしいそれを思い出す。

「あれを?」
「そう、軍事用重量爆撃機。長距離運行でばびゅーんと飛べるよ! 束ちゃんがぱぱ〜っと調べた分じゃ、お〜よそ地球の直径、その3分の2以内の距離なら無補給で何処へでもひとっ飛び! しかもこのマジックハンドと同じで思考操作だから誰でも機長になれちゃいます! えぇ〜、おっほん! 当便は〜単機で小さな島ならグロス単位で焦土に変える事ができます。半島だって余裕余裕! お客様達はせいぜい命乞いをしやがれーって、ぐらいすっごい代物だよ!」

「———国の偉い人がね是非とも必要だからって制作を頼んで来たんです」
 少年が独り言のように、特に誇るでも無くつぶやいた。
「最初は、簡単な玩具とかを作ってたんですよ。あとパズルとか・・・・・・皆面白がってくれたんですけど、だんだん化け物でも見るみたいに僕を見て・・・そのうち、僕に何かを望んでくれるのは、頼んでくれるのは軍の偉い人だけになりました」
 寂しそうに言うのだった。
 千冬はこのとき理解した。

 この少年は、束の同類だ。
 こんな幼い少年に軍が依頼する。
 異常事態だ。

 少年はきっと嘘をついていない。
 千冬は心に決めた。
 束と、この少年の力を無粋な破壊力になどせず、もっと素晴らしい事に生かしてくれるよう、自分が側に居てやろうと。
 一緒に遊ぶのだ。この、花や花瓶の存在すら知らなかった少年と。
 だから、手始めに仲良くなろうと思った。そのために必要な事を今まで忘れていた。

「私の名は織斑千冬だ、こいつの名は篠ノ乃束。人見知りする奴だが、悪い奴ではない。あなたは?」
 そうだ。名前の交換を忘れていた。
 何故忘れていたのだろう。そんな礼儀知らずになったつもりは無かった。
 そんな当たり前の事さえ忘れるような事が何かあっただろうか?
 考えても思いつかない。その思考は後に回す事にした。

———だが、彼女の決意は非常に困難な道である———

 少年は無邪気に微笑む。名を教えてもらった事に素直に感動しているのだ。
 きっと、自己紹介すらした事が無いのだろう。
 そう思うと、千冬は胸が痛くなった。

———何故ならば、彼は後に、生きた天災と称される束同様にDr.アトミックボムと称される事となる———
 
「僕、ゲボックと言います。フルネームでは、ゲボック・ギャクサッツです」

———別次元の頭脳を持った少年なのだから



[27648] 遭遇編 第 2話  幼少期、交流初期
Name: 九十欠◆82f89e93 ID:975a13eb
Date: 2011/05/15 04:56
 天才、と言うものはまず発想そのものからして常人とは違うものである。

 かの有名なアインシュタインが、相対性理論について考え出したきっかけは、エレベーターに乗った時、ふと。

―――このエレベーターが光の速度で動いたらどうなるのだろうか。

 と、いきなり妄想した事だったという逸話がある。
 常人ならば、そのエレベーターが登ればブレーキが効かずに建物の天井をぶち抜いて逝きっ放しロケットになるか、下れば地面に馬鹿でかい穴をあけるとしか考えないだろう。

 とまぁ、このように着目するところが一般人とは根本的に違うので、よくよく認識のズレというものが出てくる訳だ。

 この齟齬に対し、一切の無関心を貫いたのが篠ノ乃束であり。
 興味津々で突撃するもあまりの勢いで通り過ぎてしまうのがゲボック・ギャックサッツである。

 その結果、この二人の天才のお互いに対する認識は。

 束 → ゲボック = ちーちゃんと遊ぶのに邪魔(路上に落ちているレシートでも見るような目で見ている)
 ゲボック → 束 = 凄い人(傍から見ると懐いている)

 という図式で成り立つのだった。

 ゲボックは自分の頭脳が優れているとは思っていない。
 世の中には無尽蔵に自分の知らない事があると考え、自分にとって未知の事柄を知っている人を素直に尊敬し、感動するのである。
 尊敬される方も、悪い気はしないので教えるのだが、その人がそこまでにくるまでの努力だとか年月など全く意に介せず瞬く間に吸収し、未知な事が無くなるとまた尊敬できる人を探してフラフラと彷徨うのだ。

 詰まるところ、何が起こったのかといえば明白だった。ゲボックはこの世界で出会った束に釘付けとなったのだ。
 果てしなく湧き出るアイデアの泉、ゲボックはずっと、束を尊敬し続けていた。

 尊敬しているのは千冬に対しても同様だった。
 千冬は常人には理解できない二人の世界からいつも年相応の遊びの世界に二人を引っ張り出した。

 即興で情報圧縮言語を喋り出した束に、凄い凄いと即座に翻訳して返事するゲボック。
 無視されてもへこたれず話すゲボックに束は暗号化をかけて「しつこいなあ」と悪態をついて、それを解読してごめんなさいと謝るゲボック。

 そんな二人を周りの大人は気味の悪いものを見るような視線を向け、それに憤りを感じた千冬が「訳が分からん!」と殴りつけ、頭頂部をおさえる二人を公園まで無理やり引っ張って遊ぶのである。



 例えば。

「今日は、そうだな、砂場で城を作るか」
 何気に男前な千冬だった。
 この二人に限らず、ママゴトをすると母親役をやらせてもらえないのがささやかな悩みだったりする。
 姉ならばともかく、他に男子がいるのに父親役なんてやらされたらふてくされるのも仕方がないわけだが―――
 これがまた似合うから堪ったものではない。

「うーん、どんなお城にしましょうか」
 ゲボックは芸術的な行動が苦手である。
 積み木で遊ぶと寸分の狂いも無くジェンガも真っ青なバランスで積んだり並べたりするが、城を作ったりとかはしないのである。

「ハートの女王様のお城みたいなのがいいよね!」
 と言うのは束だ。
 彼女は不思議の国のアリスが大好きである。ウサギを見ると見かけに反した機動性で追いかける程に。

「とにかく大きな城がいいな」
 千冬の希望が出れば、暴走し出す二人がいる。

「それならば、強度を上げるためにハニカム構造にするといいですね」
「それじゃ女王は女王でも蜂の女王様のお城だよ! やっぱり二次元とも言えるトランプ兵をたくさん収容する為にフラクタルに積み上げなきゃ!」
「どれだけ増築しても違和感が無いようにするんですね。でも強度に不安があるので自作の補強剤で砂を固めないと」

「お前ら、城作りの相談だよな? これは」

「もちろんだよっ!」
「そのとおりですけど」
「そ、そうなのか?」
 千冬が腑に落ちないものを感じている間にも色んなものは加速する。

「翼をつけて見ましょうか」
「ふふんっ、そんなの前時代的だね!」
「分かりました。ではこの浮遊石を使いましょう」
「白兎のガードロボットも欲しいな! 空を飛んだりレーザーを撃ったりするんだよ!」
「地上に向けてプラズマ砲も撃てるといいと思いませんか?」
「おーい、おまえら・・・」
「なぁに?」
「なんですか」
「こう言う時だけ仲が良いな」
「?」
「タバちゃんは僕の話聞いてませんよ?」
「今まで明らかに会話してたよなぁっ!?」

 などなど。

「フユちゃんはどんなのがいいですか?」
「攻め込まれた時の為に自壊装置が欲しいな」
「おぉ~、んじゃ、このヌル爆雷で」
「格好いいですね、では僕からはこの超重力メギドで」
「あのなぁ・・・おい冗談だって、どうしてお前達は私の言葉を全肯定するんだ?」
「ちーちゃんだから」
「フユちゃんのお願いですから」
「だから何故だっ!?」



 その翌日。
 日本上空を周回していた某国のスパイ衛星は、衛星軌道上に突如として割り込んで来た城塞に激突したことで木っ端微塵となった。

 破壊される前に送信された映像を見た某国の人たちの反応と言うと―――
「これがラピ◯タ・・・」
「竜の巣から出てきたのか!!」
「いや違うって」
「◯ピュタは本当にあったんだ!!」
「違うつってるだろいいから黙れ!」
「ふははははっ見ろ―――人がゴミのようだ!!」
「そこのにわかオタクをつまみ出せ、ここはロボットが起動した時のセリフだろう!」
「「「貴様もかっ!!」」」
 (以上、分かりやすい様に翻訳しております)

―――とまぁ
 ご覧のとおり、砂の城は、最終的に天空の城へ進化したのである。
 空への打ち上げの号令は三人揃っての「「「バ◯ス」」」であり、前日見た地上波ロードショーに影響されたのは間違いない。
 この時ばかりは千冬もノッていた。
 国民的アニメの再現に興奮しない幼児はいない。
 千冬だってまだまだ子供なのだ。
 余談だが、千冬はドー◯のファンである。
 ますますキャラクターの成長チャートが順調に進むというものである。

 なお、主成分公園の砂である天空の城は撃破を目論む各国の基地を「神の雷」で次々と蒸発させ、直接落とそうとしたミサイルや戦闘機にいたってはウサミミ型レーダーを取り付けた起動兵器に迎撃され、尽くが撃破される大惨事を巻き起こす。

 処女航海を滅びの呪文で送られた天空の城は、敵なしとなるや悠々と地球の重力圏を離れ、浮遊石へのエネルギー供給が途切れた後、月面―――静かな海に不時着。
 ヘリウム3を採掘してエネルギー源とし、兎型自律メカがフラクタルに城を増築し続けているらしい。
 そして現在に至るも、『人類に敵対的な地球外起源種』もかくやの勢いで月と言う天体丸ごと建材扱いで、エンドレスに増築リフォームしっぱなしである。
 これで独自推進システムでも獲得したら彗星帝国の出来上がりだ。

 後に千冬が月を見ながら、己の黒歴史に頭を抱え、『時効・・・あれはもう時効だ』と呟いていたのを一夏少年が目撃している。



 とにかく、普通の感性で物事を捉え、何かと常識はずれな二人をを叱る千冬は必然的に二人を引っ張るようになる。
 ちょろちょろ動き回って騒動を起こす為、幼い日の千冬は姉気質が順調に育って行ったのは皮肉な話である。
 ゲボックにしても悪い事を教えてくれる千冬を尊敬していた。
 彼の住む孤児院ではゲボックは浮いてしまっていたので、彼はますます二人に依存して行く事となる。

 そんな三人の関係に変化が訪れたのは、束に妹が生まれた日の事である。

 その日は七夕なので、ゲボックと千冬は白紙の短冊とジュースを手に、公園でぼぅっとしていた。

「束は今病院か」
「そうみたいですね、家族が増えるってどんな気持ちなんでしょう」
「そうなってみないとなんともな・・・うちももうすぐ生まれるから、自然とわかるんじゃないか?」
「予定では十月でしたね。完成予定日までわかるなんて人間は凄いですね。でも、僕は前も一人でしたから、難しいです」
「ゲボック・・・」
「いいのですよフユちゃん。僕にはフユちゃんとタバちゃんがいるので寂しくないですよ? それに大好きな科学ができればそれで満足です」
「束はいい加減どうしたものか。出会ってもうすぐ四年・・・全然お前と打ち解けてくれないしな」
「僕が何か悪いのでしょうね。何かお願いしてくれればいいいのですけど」
「お前は別に悪くない・・・あいつもだいたい自分でなんでもできるしな。あぁ、一つだけ言わせろ、人の役に立ちたいからと言って、なんでもホイホイ聞くんじゃない。黙って従ってても仲良くなるとは限らん。だいたい、お前は本気で誰の頼みでも考えなしで実現させるからな。確実にシャレにならんことになるんだぞ?」



 一度、学校の肝試し大会で仕掛けを作ってくれと頼まれたゲボックがゾンビパウダーを精製してとんでもない事になった。
 生物化学室の標本が一斉にゾンビ化して地獄絵図を作り出したのである。
 幸い、人を襲わない親和的なうえに、趣味はボランティア。感染して増殖しないタイプだったので千冬無双で片付いた。篠ノ乃流を学んでいて良かったと心から感動した日である。
 ただ、取り囲んでスリラーを踊り歌い出すのでSAN値が凄まじい勢いで削れていくが。
 防腐剤滴るムーンウォークはその筋すら唸らせたらしい。

 致命的な被害者は一名。
 工作が得意だと聞き、ゲボックの度合いを知らずに『思いっきり笑いが止まらなくなるほどの恐怖で!』と頼んだ先生はゾンビ稼働をその身で体験した第一号となり、今でも病院で壁に向かって笑い続けているらしい。

 なお、骨格標本を一体逃がしてしまった。
 束によれば本物の女性の遺骨だったらしいと千冬でもゾッとする後日談もあったりする。



「フユちゃん・・・」
「なんだ?」
「子供ってどうやって作るんでしょう?」
「ぶほっ! ・・・いきなり何を言う!? ・・・ん? お前が分からないのは珍しいな、どうしたんだ?」
 ジュースが炭酸だったのがまずかった。思い切り放物線を描くように噴出した。
 努めて誤魔化す千冬は女の子である。
 成長の早い子は月のものがそろそろ来るので、男子よりその手の教育を早く受けるからだ。
 しかし、知識の極端なゲボックである。
「僕にはまだまだ分からない事は沢山あるんですよ? ただ、この件についてはみんな調べようとすると邪魔するんですよ。どうしたんでしょうか」
「ゲボックだからな」
 くす、と千冬は笑う。
 内心は動揺をしまくっているので流石のポーカーフェイスだった。

「フユちゃんの笑顔は相変わらずかわいいですねえ」
「だからそう言う事をお前は真顔で言うな!」
 照れには弱い千冬だった。
 これに鍛えられたせいで、後に弟が感じる千冬のツン度が比較的向上したらしい。
 ジュースを口に含みなおし、顔色を直そうとする。

「痛い!? どうして殴るんですかぁ―――?」
 頭を抑えてうずくまるゲボックを見下ろし、彼女は大いに悩む。
 まさか嘘八百を教えるわけにも行くまい。ゲボックの場合、それを実現化させる可能性がある。
 『木の股から子供が出てくる』なら森では人口爆発が起きるし、『キャベツから赤ん坊が出て』くれば収穫の際下手すれば畑がグロ真っ盛りの血畑となり、終いには赤子を浚うコウノトリが大増殖しそうな気がする。
 だが、今回は珍しくゲボックの質問である。なので返答を吟味し、真相をついてはいないが、嘘ではない言葉を用いて、誤魔化す事にする。

「そうだな、結婚すればできるんじゃないか?」
 有名なお父さんとお母さんが、のごまかしで使うネタだ。
 上の例でも出たが、木の股やコウノトリ、キャベツなどの類似ネタがある。

「それならフユちゃん、結婚してくれますか?」
「ブッふぉぉあああっ!? な、な、なな―――」
 切り返しを暴投したゲボックに千冬が再度噴き出した。結局まったく飲めずに終わる。
 そうなのだ、ゲボックとはこういう、良くも悪くも素直なやつなのである。

「―――な、なな、な、何をいきなり言い出すんだお前はっ!!」
「フユちゃんが家族になってくれるなら大歓迎だと思いまして。結婚すれば子供をどうやって作れるか研究できますし」
「するなっ! この馬鹿者がっ!」
 全力全開で隕石の如く、脳天に拳が炸裂。

「痛い痛い痛いっ! 何故だかいつに無く強力です! 何か自分が悪い事しましたか!? あぁぁぁぁぁっ!!」
 頭を抑えてゴロゴロ転がり出すゲボック。

「大体お前の様な未熟者が私と結婚しようなど十年早いわっ!」
 貧弱なゲボックがこの時ばかりはフルパワーの千冬鉄拳を受ければこうなるのも当然である。
 だから彼女は聞こえ無かった。

 十年ですか。

 短冊を握り締め、そう呟いたゲボックの声を。
 これを聞き逃す―――それがどんな事を意味するかも気づくわけも無く。



「しかしそうなると、タバちゃんの妹さんを見てみたいですね」
「確かにな。かわいいだろうしな」
「行きましょうか? 実物が一番標本として素晴らしいですし」
「行ってみたいが、間違っても束の妹をそんな目で見るな。本気で怖い。そもそも・・・あー、ちょっと待て。このあいだお前が作ったジェットチャリはゴメンだから―――と言っているそばから出すな」
「―――アダブッ! 痛いですよ、うぅ、それは残念です。フユちゃんと二人乗りとか夢だったんですけど」
「一漕ぎで新幹線のトップスピード追い抜く自転車なんぞに誰が乗るかっ!」
「でもフユちゃん乗りこなしましたよね? 空も飛べるから車の心配もないですし」
「どう考えてもただのミサイルだろそれは・・・」
 アーハーッと叫びながら神風しているゲボックを想像してげんなりする千冬。

「じゃあ、これで」
 そう言ってゲボックが取り出したのは輪になった紐だった。
 地面に円を描くように敷いてその中に千冬を招いて二人で入る。
「これでしっかり紐を掴んでください」
「ん?」
「よいしょっと・・・」
「なんだこれは?」

 二人でで輪になった紐に入って前後に並んで紐を持っている。
 完全無欠の電車ゴッコだった。

「おいゲボ―――」
「車掌は僕で、運転手も僕ですよ!」

 後にISの航空機動の要となるシステムPIC(パッシブ・イナーシャル・キャンセラー)をどうやってか実装したロープで二人は結局空を飛んだ。

 なお、その様をシルエットで見るとETの棒有名シーンが一番近いので参照していただきたい。



「あははははははっ! Marvelous! 見てくださいフユちゃん! 緯経座標を入力すれば目的地まで一直線ですよ!」
「待てゲボック、今一直線と言ったか!?」
「はいっ! そのとお―――ゲバァ! 痛いなぁなんでしょこ―――レヴァッ!」

 ぐっきょんがっきょん、信号機に激突して嫌な音がする。
 飛んでる高さが問題だったのだ。丁度道路標識が掲示されているぐらいの高さだったりするので―――以下、ゲボックの悲鳴生中継でお送りします。

「看板ですかこ(ガンッ)痛い痛い! 針葉樹はマズイですねって、これは―――電線でずバババババババババアアアアァ!! どうして都合よく首にから(ぎゅるん!)? 絞首刑張りでビビィッ!」
「・・・ゲボック、高さを設定したらどうだ?」
 千冬は無傷だった。優れた動体視力で見切って最小限の動きでよけ、またゲボックを楯にして凌いでいる。
 なんなのだろうかこの無敵小学生は。
 自身とて突っ込みどころ満載であるのに、一々突っ込むのを辞めた彼女が当たり前の提案をするが、電線を振り払ったゲボックは何故か笑いだしている。

「タバちゃん探知機に切り替えたのでタバちゃんのいる高さでしか飛びませんよ? あー痺れました」
「生き物は轢くなよ」

 地上に彼女がいたらどうするつもりだったのか。
 車とか建物等・・・まぁ、ゲボックだから死にはしないか。
 変な信頼が芽生えてる事に自分の常識も危ういかもしれぬと脳裏に浮かぶが、常識人として一応注意するのだった。

「馬鹿かお前はっ! ・・・しかし無駄に頑丈になったな」
「フユちゃんにいっつも叩かれてますしね。それに強くなって誇れるよう頑張って強化改造してますから」
「―――は?」
「それよりフユちゃん、病院がもう見えて来ましたよ、あぁ、赤ちゃん楽しみです!!」
 興奮するゲボックに対し、千冬は冷静に病院を指差して言う。

「本当に早いな、ところでゲボック、どうやって止まるんだ?」
「・・・ア」
「・・・分かった、私はここで降りさせて貰う」

 ため息とともに千冬は身を翻す。
 黒豹を思わせるしなやかな躍動を見せ、三階分はある高さから躊躇い無く飛び降りる。
 そのまま空中で身を捻ると病院脇の植木の枝を順次蹴りつけながら減速、片膝を着いた形に着地した。

「おぉーう、フユちゃん、綺麗で―――ぐびゃあ!!」
 見惚れていたゲボックが病院に激突したのは、最早突っ込むまでも無い―――

―――それが、鉄筋コンクリートの壁面をぶち抜くほどのもので無ければ、だが。

「ゲボック!? ―――今行く、ちょっと待て!」
 幸い、ここは病院だ。医者には事欠かない。
 産婦人科ではあるけれど。



「どうしようっかな?」
 そこにいたのは、いつもの自信に満ちた姿とは程遠い、酷く狼狽えた姿の束だった。

「おーう、タバちゃん見つけましたー。とおおぉっっ―――ても探しましたよ? 如何しました? 僕で良ければ力になりますよ」
 そこにやって来たのは空気読めない男の子、頭にコンクリのかけら乗っけたゲボックである。
 千冬とはまた違った意味で不死身っぷりを表しているが、まあゲボックだしで片がつく。
 病院中から、「何今の音?」「事故!?」「馬鹿、三階に何がぶつかるんだよ!」「まさかあの時の奴が!」「うぉあ、でっかい穴、なんだこりゃあ!」「院長、奴って何ですか!」「先代院長があれだけの犠牲を払ったのにもう・・・だと!?」「だからそれなんですか院長!!?」「この間のあそこの若頭にやっちゃった医療ミスの報復かなあ」などと、一部を除いてゲボックの突撃で大騒ぎになっていた。

 頭からダクダク血が流れているが、ゲボックは相も変わらずハイテンションのまま、立ちつくしている束の肩越しにそれを見た。

「おぎゃあっ―――!!!」
 そこで泣いていたのは赤子だった。
 この女の子こそが篠ノ乃箒、誕生後数時間の束の妹だった。
 新生児室なのか、新生児が沢山居た。
 普段なら必ず何人か看護師がつくのだが、ゲボックが起こした騒ぎで、ここにいるのは束だけだったのである。
 職務怠慢である。普通なら逆にここに居なければならないのに。

「どうして泣いているのですか?」
 ひょこひょこやってきて真面目に赤子の方に聞いている。
「・・・誰、かな?」
「ゲボックですよ」
「知らないなあ」
 束はゲボックの事など、名前さえ覚えていなかった。

「僕は知ってますよ。タバちゃんはとっても頭のいいフユちゃんのお友達ですね!」
「フユちゃんって、ちーちゃんの事? センスないねー。あと、束ちゃんが天才なのは当然だからね」
「当然です! それで、どうしてこの子は泣いているのでしょう」
「それは分からないよ、それで考えてたんだけど・・・お腹がすいたのかなあ」

 束は優秀だったが、他人に殆どといって良いほど興味が無い。
 例外は千冬だが、彼女が泣いたところなど一度たりとも束は見たことがないのだ。
 よって、人が何故泣くのか。さっぱり興味の無かった束には分からないのだ。

 かろうじて認識できる両親に妹を見てもらうように言われ、見ていたのだが泣き出した。
 両親としては、面倒を見る、では無く、もっと人に意識を向けて欲しかったのである。
 親の心子は何とやら。正直束は途方にくれているという非常に珍しい状況下にあった。
 普段の彼女ならまったく気にしないで居ただろう。だが『妹』は束にとってもまだ未知の存在である。学習するにもまだ時間が無く、興味を持つかも決めていない。

「フムフム。泣くのはストレスが溜まっているからでしょう。セロトニンが足りないんでしょうか? 笑わせるには内在性オピオイドを分泌してもらえばいいのですが」
「・・・それは自分で出すとはいえ麻薬だよ」
「おぉ! 今日はタバちゃんが四ターン連続で返事してくれます! とってもいい日です!! よぅし、痛くないこの無針注射で赤ちゃんにニコニコ笑ってもらいましょう!」
 単純にそれが嬉しくてテンションが上がるゲボック。

「おぎゃああああああああああああ――――――!!!」
 赤子にしてみればこれは怖い。まだ目も良く見えていないものだから大泣きする。
 逆効果も甚だしい。

「―――ぉおう!? どうしたんですか? どこか痛いんですか? 注射嫌なのかなぁ、痛くないのになぁ―――ま、いいですか。ふっふっふ、まぁ、でもですねタバちゃん。僕は知っているのですよ、僕の居る孤児院にもこの子ほどではないですが小さい子が居ますから。その子らはこうするとみんな笑うんですよ。えと、どうです? タバちゃんの妹ちゃん、高い高いです!」
 もし、このまま抱えあげれば、生まれたばかりで首の据わっていない赤子にどれだけダメージが来ただろうか。というか、変な注射されていたかもしれないし。
 この時、偶然か生存本能か。
 生まれたばかりの赤子とはいえ、箒は自らの命を守護する行動を取った。

「―――ダアッ!」
「メガあああぁぁ!」
 綺麗な金髪を振り回し、顔面を抱えて後ろに仰け反ってぶっ倒れる。
 元気よく振り上げた足が、箒を抱え上げようとしたゲボックの目を突いたのだ。
 生まれたばかりの赤子は本来、うようよとしか体が動かせないものだが、天を突き上げんばかりに伸びた爪先が立って居た。
 産まれて早々、受難多き人生に適応し始めているのかもしれない。
 逞しき、生命の神秘を垣間見た気分である。

「ぶぎゃぁ!」
 止めとばかりに先程の激突で出来た頭部の怪我を強打。血糊がぶばっ、とばかりに広がった。
 それきりぴくぴく痙攣するゲボック。
 不死身にも限界はあるらしい。

「だぁ、だぁ」
 ゲボックを撃退した箒は束の指を掴んで笑っていた。
 一体、いつの間に泣き止んだのだろか。

 束は箒とゲボックを無表情に何度か見比べ―――



 のっぺりとした束の無表情に、とある亀裂が奔る。
「あは、ははは、は、あはは、あはははははははっ!!!」
 それが何なのかは分からないが、束の何かを壊したのは確かだった。
「箒ちゃんすごーい! えと、君なんていうんだっけ面白いね、でも役立たずー! あはははははははっ!」

 迸る哄笑。何事か、とそれを頼りに入ってきた千冬が見たものは。
 泣く赤子と大笑いする束。そして痙攣するゲボックだった。
「・・・何があったんだ?」
「箒ちゃんが泣いててこの子が高い高いでメガー! だよ、おっかしいよね!」
「全然分からん」
 千冬の感想ももっともである。



 良くわからないのだが―――
 ゲボックは束の笑いのツボを酷く突くらしい。
 今まではゲボックの作ったガラクタを興味深そうに分解し、改良して作り直して居たぐらいだったのだが―――

「あ、おはようございますフユちゃん。今日もいい朝ですね」
「ちーちゃんおっはよー!」
 二人は良くつるむようになった。
 一度興味を向ければのめり込む束である。

「ところで・・・」
「なあにー? ちーちゃん」
「束はどうしてゲボックに乗っているんだ?」
「お馬さんだから」
「ちなみに僕は手と膝にナノマシンを塗って運んでもらってます。三段亀さんみたいですね」
 シャーッ! とアスファルトの上を滑っていくゲボック&束。無駄に超性能だった。
「むーっ、駄目だよゲボ君! お馬さんは蹄の音を立てて走るんだよ」
「分かりました。どかかっどかかっ」
「あははははっ! そこは口なの!?」
 そこ、笑うとこか?
 あと少しは怒れ、ゲボック。

「どうしました? フユちゃん」
「・・・いや、お互い合意の上なら別にいいんだが」
「フユちゃんも乗ります?」
「結構だ!」

「えー、・・・それなら、あんまりやる意味ないねー」
「そうですねー」
 束はあっさりゲボックから降りる。
 馬も人に戻って立ち上がる。

「・・・お前らは何がしたかったんだ?」
「フユちゃん、車で行きますか?」
「あるのか?」
「ありますよー」
 答えるゲボックを無視して束が呼ぶと、普通の車両がやってきた。

「ゲボックの孤児院の人の車か?」
「タバちゃんのフルスクラッチです! 必要に応じてウサ耳が出ます」
「は・・・ふる? ・・・耳?」
 車にウサ耳が必要な事態って何だ。

「まーまー、乗った乗った、乗るのだー」
 嫌な予感がしながらも束に押されて車両に乗り込む。
「・・・誰も乗ってないぞ?」
「そりゃタバちゃんのですから」
「説明になっとらんぞ」

 というか、どうやってここに来た?
 運転席に誰も居ない。
「いやー、AIは組まさせてもらいました」
「・・・ええ、つまり?」
「この車は僕とタバちゃんの合作です! 言うだけで勝手に行ってくれますよ?」
「・・・そーか、良かったな」
「これなら免許がなくても大丈夫ですね!」
「そもそも運転手が居ない! どうしてこうなったんだ?」
「うっふっふ、それはなんでしょーか! それじゃあ、うぃーきゃんふらーいだね!」
 束はあんまり会話しないで事態を次へ進めることとなる。

「「せーの、ぽちっとなー!」」
「話を聞け! うぉおおおおおおっ!?」

 ジェットを噴射して、車は空を飛んだ。ウサ耳は展開済みである。
「お前らどうして何でも飛ばそうとするんだ? おかしくないか!? 車である意味がなくなるだろう!」
「「?」」
「二人そろって「ごめんなさい何言ってるのか分かんない」風に首を傾げるな! なんだか私がおかしい様な気になるじゃないか! 私が変なのか?」
「大丈夫です、僕が一緒になってあげますから」
「ほう? この私に、上から『なってあげますから?』か?」
「ごめんなさい」
 おかげで正気に戻る。
 ゲボックは素直に土下座。躾がずいぶんと行き届いている証拠だった。
 まあ、態度は絶対に改めないのだが。

「それじゃあ、束ちゃんは先に行ってるねー?
 ドアを開けて、何故か背負っているカバンから火を噴いて飛んでいく束。
 反重力も出来るが、様式美らしい。
ゲボックと千冬はそれを見送る。千冬の脳裏をよぎるデジャヴが、一つの疑問となって投擲される。
「・・・ゲボック、これはどうやって着地する?」
「・・・ア」
「頭がいいのだからそこは学習しろ馬鹿者が!!!」



 冒頭で述べたとおり、人は優秀になるにつれ、認識が一般人と乖離していく。
 天才の極みとは絶対的な孤独。
 だが、ここでは都合が良すぎるほど都合よく、とある天才が二人そろった。
 孤独ではなく、互いに互いを研究対象としているのが友情といえるかは不明だが。
 進歩が進歩を呼ぶというのならば、この組み合わせは爆発的なそれを生み出すだろう。
 驚異的な革新は、世界に歪みを生む。時として取り返しのつかないような。
 だが、それによって危機に陥る事は何とか差し押さえられている状態だ――――――



「フユちゃん」
「・・・なんだ」
「置いて行かないでくださいよ」
「ええい、断る!」
「手厳しいです!」

「うふふー、どうしたのかな、二人とも。遅刻しちゃうよー?」

 シュバーと飛んで来て言いたいことを言ったらすぐ戻っていく束。わざわざ言いにきたらしい。

「束・・・あとで覚えてろ」
「まあまあまあまあ―――がんっ!?」
「少し黙れ」
「痛タタ・・・といいましてもここには確か脱出装置が」
「あるのか」
 思わず身を乗り出す千冬――――――がちん。
「ありますよー? 飛行機みたいに座席ごとばしゅーんって飛ぶんです」
「ところでゲボック、一つ聞きたいんだが」
「何ですか? フユちゃんの質問なら大歓迎です!」
「今私が押した、これは何だ?」
 それは、青い石だった。
 運転席の後頭部、ちょうどその後部座席あたりに半ばめり込んである。
「死ぬほど痛いよ(はーと)」と、束の字で親切にも注釈付きだった。

「これは自爆装置ですよ」
「わざわざ説明するな」
「痛い! 聞きたいっていったのに!」
「何でこんな押しやすいところに設置しているんだお前らは・・・!」
「科学とは爆発なんですよね? タバちゃん言ってましたよ」
「束ええええええっ!」
 どっかんと花咲く炎の花。
 その寸前に飛び出した千冬はまさにハリウッド主人公といったところである。
 ゲボックの襟首を掴んで脱出したのは彼女の最後の良心である。
 ぐえーとか言っているゲボックを気にしてはいけない。彼はこのぐらいではびくともしないのである。









―――世界は何とか保っている。そう、一人の少女の心労の引き換えに、であるのだが



[27648] 原作編 第 1話  えと、自己紹介【憑依未遂モノ】
Name: 九十欠◆82f89e93 ID:a6979411
Date: 2011/05/07 23:50
 神様なんてクソ食らえだ。
 人生は一度きりだ。転生なんて知った事じゃねえ。
 というか本当に神か? ただの化けもんじゃねえの!? んなことできるなんてイアイアとカフングルイとか妙な祈り捧げられてんじゃねえの!?

 そもそも―――
 この人生は、俺のものなんだっつうの。






 はて、唐突で申し訳ないが、いきなりぐだぐだ言われるのもあれなので、現在持っている知識で筋道建てて並べてみるとする。

 ここはやはり、詳しく述べるなら事の始まりは第2回モンド・グロッソの決勝戦当日に起きた織斑一夏誘拐事件だと思う。
 
 はっきり言って我がファーザーが護衛の一人でも一夏少年につけてりゃこんな事件は起こらなかったのだが、記憶容量が脳改造でペタバイトぶっちぎってる癖に一切一般常識関連項目が欠如し尽くしている我が父君にとって、そんな発想は無理だったのだ。
 千冬女史、せめて貴女が思いついて下さい、貴女だけが世界の救いです。

 少年を攫ったその目的とは、今ちらっと名前が出たけど千冬女史。フルネーム織斑千冬。
 現在世界最強の兵器、<インフィニット・ストラトス>・・・略してISでの戦闘試合。その世界最強を決める第1回モンド・グロッソを制覇した、名実共に史上最強のレディである彼女を、負けさせる事。

 まぁ、彼女は第2回大会においても決勝戦まで順調に勝ち進み、下馬評では彼女の2連覇は間違いないとまで言われていたものだから。
 そりゃそうさなあ、IS開発者である篠ノ乃束博士と、Dr.アトミッックボムが両脇固めてセコンドしてりゃあ、誰も敵わねえだろうよ。
 千冬女史本人の戦闘能力が人間離れしてるってのもあるけど。
 知ってるか? あの人生身で生物兵器薙ぎ払うんだぜ!?

 まぁ、前者は表向き行方不明だし、後者は表の世界には名前がそもそも知られてないし。ま、いいのか?

 で、ぶっちぎりで最強が居たりすると賭け事とかを裏で元締めてる人とか、パーツ作ってる企業とかのシェアとか? よく分からんけどそんな人達に不都合が出るとかで、兎にも角にも、彼女を不戦敗にしようとした訳だ。
 いや、まあ推測だけど。

 千冬女史はお父さん曰く、優しい人情味溢れる人らしい。非常に照れ屋で、そう真正面から言うと命に関わる、分かりにくいツンデレだそうです。やべーまじこえー。
 
 そんな訳で、弟の為にまっすぐ助けに向かって二連覇は逃したのでした。
 感動的な話である。
 そのとき、色々なドラマがあったのだが、当事者でない俺はここでの必要な事だけをのべる事とする。

 それは、誘拐されていた一夏少年が一発ぶん殴られた時の事だ。
 周囲で待機していたIS一勢起動して動力を上げたらしい。
 その様は、暴走族が威嚇の為にアクセル全開で吹かす様にも似ており。俺が思うにそれは警告だったんじゃなかろうか。
 ISにまで愛されてるって凄いよね、彼。

 そう言う訳で、世界的にはこの間有名になった、世界で唯一のISを起動させる事の出来る少年、織斑一夏の特性は裏の社会に何年も前にバレバレになっていたのである。
 しかも、まあ、起動できるかはまだ試してなかったんだけど、ほぼ確定事項。
 何せ、登録も何もしてないISを遠隔で反応させたようなものだから。
 その潜在能力は天蓋知らずってものでしょうなあ。



 元々、少年は返すつもりだったらしい。
 まあ、そうだよね、世界最強の戦闘能力と世界最狂最凶のW頭脳を本格的に敵に回したくないものだよ、誰だって。

 だが、このとき彼の細胞サンプルがとられてしまってね。
 彼の特性を兵器利用しようとした訳だ。
 よくある話って奴だね。

 最初は、そのままクローンを作ろうとしたらしい。
 なにせ、ISは男は起動できない。
 彼の何がISを動かしたり得るのか、それが分かれば凄い偉業と言う事。
 その因子を抽出できれば、男だってISを動かせるようになる時代がやって来る。
 でも、本物には怖いお目付役が付いているからまずは模造品をたくさん作って、それから実験しようと言う事だ。わぁい、人間って何処までも墜ちれるってことだねえ。

 だが駄目だった。
 ダディならともかく、一般科学技術如きでの男性の体細胞クローンは非常に弱い。
 元々男ってな、女の突然変異らしい。
 生物的に異形だから、二次成長を迎えて体が安定するまでは脆弱な生き物って事さ。
 途方も無い進歩の果てに、人類はやっと本来の女尊男卑に辿り着いたのだ・・・て何このフレーズ。
 邪馬台国とか地母神信仰の古い文明ではそうだったらしいけど、対等が一番だと思うよ、実際には有り得ないけどさ、皆がそれで良いって思ってるのが少なくとも良いと思う。

 あー、脱線したな。そんなだからまぁ、作っても死ぬ事死ぬ事。

 辛うじて成功したのはたった一体。
 でもそれだって失敗作でねえ。
 オリジナルの織斑一夏同様、遠隔でISと感応したり、起動させることができたんだけど・・・。
 初めての戦闘用起動実験終わったらその負荷に耐えられなくてぐずぐずに崩れちまったのだよ。
 おかげでクローン計画は凍結。
 だけど多額の資金をかけてこれじゃあ、って事で女性化クローンの製造に移ったわけだよ。
 何せ史上最強の千冬女史の弟で、元々桁外れのIS適正値の持ち主。
 期待もあるって訳さ。



 さて、以上の文面に実は俺が入ってたりする訳だ。
 まあ別にクイズでもなんでもないので種明かしすると、ぐずぐずになっちまった男性クローンが俺なんだよね。
 別にトラウマでもなんでもない。
 作りたてだったから感情ってのがまともじゃなくてね。
 淡々と情報を認識する事しか出来なかったよ。

 とりあえず体が何一つまともじゃなかったので、脳を取り出されて生命維持装置付きのシリンダーに生きた標本として突っ込まれた訳だ。
 本当なら生ゴミ行きだったんだけど、脳みそ取り出される前にIS遠隔感応しておいて助かったよ。
 特に意図してなかったけど偶然動かしたから、脳みそだけでも価値があるってことでクラゲオブジェとして生き残れたっつうこと。

 しかし、そうなっても情緒は育たないんだよね。
 何せ情報が入ってこない。
 人は色々な刺激を受けて人になって行くらしいけど、俺にはそのインプット装置が何一つ残っていなかった訳だ。
 何も見えない聞こえない、味も無ければ匂わない。
 一番大事な触覚なんて全くない。
 知ってるかい? 人間が取り入れる情報の八割は視覚だって言うけどさ。人間としてのベースが出来る時って視覚は殆ど無いぼやけた世界なんだわ。
 そこで色々なものに触れたり、言葉を聞いたりして個性を形作って行く。
 脳みそだけになっても、それは生き物ではなく、物体でしかないんだよ。

 そんな俺に救いが来たのは、うん。あれだ。妹との出会いだね。
 その妹は一夏少年の女性化クローン、その一人だったんだけどえーと、当時はマテリアル十三だったかな?
 彼女と彼女の持ってたISコア―――どっかから強奪したものらしい―――を介して俺は世界を見た訳だ。
 妹の五感を使って俺は世界を見ることができた。
 初め妹はびっくりしてた。そりゃそうだろう。世間に慣れてたら俺の事を幽霊かなにかだと思っても間違いない。
 俺も妹も情緒とか殆ど無かったからね。あの沈黙、今の俺じゃ耐えられねえ。

 それから、ISのネットワークを通じて俺達はコミュニケーションをとって行ったわけだ。
 なかなか苦労したし、色々なエピソードがあるけどここでは割愛させていただく。

 そんなるある日だ。
 
―――ん、なんだここは?
 
 頭の中で声がした。
 最初は、俺ら以外にISネットワークに介入した奴が居たのかと思ったさ。
 だが違った。
 そいつは正真正銘俺の脳内に突如として出現したのだ。
 はっはっは、脳しか無いけどね! と言う突っ込みは無しで頼む。

―――ん? 何だ俺

 それはこっちの台詞である。

―――なんだこりゃあああああああ!! なんで俺脳みそしか無いの!? Dr.ク○ンケに憑依したってか!? 冗談じゃねえ! あの神のやろう! なんてモノに転生させやがる!

 後に記憶を漁って分かったのだが、彼は全く異なる平行宇宙で死亡し『神』とか言う存在によって別の肉体に移されたそうなのだ。
 脳みそしか無かった俺が選ばれるとはなんとも哀れな男だが、こっちもまた地獄であった。
 そいつを意識した瞬間、凄まじい勢いで『自分』が塗りつぶされて行くのを自覚したわけですよ。
 ぶっちゃけ意識しか無い俺にとってはそれは生身の人間よりもいっそう恐怖を感じるもので、俺はISネットワークを通じて悲鳴を上げた。助けを求めたんだよね、ヘルプミーって!

 しかし、俺の抵抗は虚しく瞬く間に『俺』の個性が無くなって行く。もともと自我を構築する情報が足りなく、意志薄弱だった為か、さっぱり俺は無へと帰ろうとしていた。
 そんな、時だった。

―――誰だお前。お兄ちゃんに勝手に取り付くってな良い度胸だなあ、あぁ!?

 妹だった。誰よりも早く俺のSOSに気付き、俺の中の異物に対し精神攻撃を仕掛けたのである。さっぱり便利だ、ISネットワーク。
 でもドス効き過ぎだって。マジで怖えよマイシスター。
 やっぱ普段マフィア式戦闘訓練受けてると荒んで行くんじゃないかね。なんてこったい。
 つうか、ISネットワークに殺気乗せるって凄まじすぎるわ。危うく俺の精神が消し飛ばされる所だった。
 
 俺は薄れ行く意識の中。イドに沈み行く俺に手を伸ばす妹のヴィジョンを幻視した。
 兄馬鹿である事をぬかしても言おう。妹は、とても美しかった。
 だってあれだよ、いつも妹の目でしか見てないから妹自身が見れなかったんだよ。あの子鏡見ないし。

―――馬鹿な! この展開では・・・俺に勝てる道理が無い・・・だと!?
   何故だ! 俺が主役だ! 俺には数々のチートが・・・俺のハーレム・・・が―――

 てな感じで最後までよく分からん奴だったが、妹の精神力にすりつぶされ消滅し、俺は妹のおかげで存在を取り留めた。
 さて、そいつだが、数々の能力を【神】とやらに貰っていたらしい。
 なんか武器作るだとか、むにょーんってISの量子化みたいな門とか。
 極め付きはあれだ。『支配者の右腕』とか言うもの。
 どこぞの市長さんが持っているものとかで、触れたものに対して万能の力を行使するらしい・・・それだけの力を持って何がしたかったんだアイツは。

 まあ、俺は何も使えないのですよ。あくまで『アイツ』に与えられた能力だったらしい。
 ただ、俺の浅い人生が記された海馬に、奴の濃厚な記憶が産業廃棄物のように残された。
 まあ、影響は無いと思いたい。記憶と経験、個性は違うものだと、俺は思う。
 思わないとなんか汚染されそうで嫌すぎるんだよね。

 その記憶の殆どを占めるそれを参照すると、アイツは所謂『サブカルチャー』と言うものに通じていたらしい。
 ぶっちゃけよう、俺もはまった。
 なにせ俺は脳みそだぜ? 娯楽がねえ娯楽がねえ。
 何より、妹に物語を聞かせるにはもってこいだ。
 話題が尽きなくて何よりである。
 わくわくしながら聞いてくる妹は俺の宝だね、全く。

 しかし、こいつの知ってるサブカルチャーは結構偏っていて、なんか選びたくないものが八割を占めていた。特にその、女性関係の奴だ。
 見た瞬間絶対脳の血管何本か切れたね。絶対あれは妹には見せられない。

 まぁ、正直、妹の精神攻撃でこの記憶も障害を受けて穴だらけなんだよな。
 インフィニット・ストラトスって題名の奴なんて、タイトル以外霞がかかってるし。というか、それってISそのものじゃん。他のも虫食いみたいに所々知識が抜けているし。
 もう一つ、狂乱家族日記ってのもね。日記・・・日記!? よくわからん。
 


 そんな楽しい時間は、しかし終わりがやって来るのが諸行無常というもので・・・違ったかな、使い方。
 妹と引き離されたのである。
 涙ぐんでいるイメージが流れ込んで来たのは、俺にとって本当に屈辱の記憶である。
 俺には手も足も無い。まさしくDrクラ○ケだ。
 まあ、その知識も『アイツ』のものなんだけどね。あの亀凄いよね。俺はミケランジェロのようになりたいよ。

 俺は無力だった。
 遠隔感応できても、遠隔起動も遠隔操作も出来ないなら意味が無いじゃないか。

 俺の世界は、妹の専用ISコアを通じて広がっていたと言える。
 俺は再び闇の世界に墜ちた。






 これだけ自我が育つと、逆にこの闇では気が狂いそうになる。
 非常に不本意だが、それを救ったのは『アイツ』のサブカル記憶だった。
 まさしく何の情報も入らない常闇に引きこもり、俺はそのデータを鑑賞し、必死に発狂しないよう自分を維持し続けるしか無かった。
 何ていうか、この時代思い出すと語りにも余裕が無くなるよなあ。

 そして、どれだけの時間が経ったのだろうか。情報が無いとそれも判断できない。
 そんな闇の中に、カンペ用のボードのようなものが落ちて来た。
 それが転機だったんだ。



 ボードに意識を向けると、声が出て来た。
 正直、はぁ? である。
『もしモし? もしもーシ?』

 はっきり言おう。
 このとき俺が感じたのは
 
『うぜえ』

 の一言に尽きた。いや、本気で。

『もしモし? お機嫌イかがですか~? あっレぇ? おかシいなぁ~―――さっき調べた限りデは、精神活動ヲしている事をはッキり確認でキたンですけど』

 何と言うか、通常の音声に機械音が無理矢理デュエットしようと割り込んでいるような、妙に頭に引っかかる声。
 俺は脳しかないから全身に引っかかる声って言うのか? とりあえずあまりに鬱陶しくて放っておけないので返事する事にした。

『ちょっとうっさいよアンタ、ところで交信できるってことはISネットワークに接続できるのか?』
『オォ~う、やっト会話できるよウになりまシたね。小生はいっクんじゃないので、IS使えませンよ? いヤ、科学を駆使すれば科学的に出来なくもないンですけど、ソウすると絶交せンばかりに嫌われマすし』
『何に?』
『ISにでスよ』

 ん、すげえ納得。

『けど、そうしたらどうやって俺と会話してるんだ』
『脳内の循環液に照射しタ試験波や脳波を統合シて、意識みたイな形に整えて、解析しタそこにアる思考を、言語に翻訳していマす。逆に小生ノ思考はあなタの神経細胞を刺激する形二なるよう、保存液の振動伝達も計算してシリンダーに振動を与エています。キっちり翻訳して』

 何言ってるか全然分かんねえよ。
『まあ、脳に電極刺されてないってことが分かっただけでもマシか』

『脳に痛覚は無イでスからね。とイうか、そコから出したらドロッドロに溶けちゃいマすよ? その保存液、品質悪いデすから、その状態で脳が活動を継続できテいるのは奇跡デす!! Marvelous!! それは是非ともこの手で調べタい! こんナ適当極まりない処置をされテおきながら精神活動を継続しているナんてMarvelous!! ビィ~バァ!! 僕らはみんな生きテいる!!』

 いきなりそいつは興奮し始めた。
 長らく妹としかコミュニケーションをとっていなかった俺は正直訳がわからんかった。
 何だこいつ、よくわかんねえ。
 というより、俺はもうこの液体を漂い続けるしか無いらしい。取り出した途端、デロんは悲しすぎる。
 ははは、さらば現世、サヨナラばいびー、ホナさいならだ。

『素晴らシい―――データです。ところで何か不自由とかなイですか?』
『見て分からんのかボケ! 自由が微塵もねえよ! 文字通り手も足もねえんだからな!!』
『アハハハ!! 分かりマした!! お望みナら、小生が用意しまスよ!』
『え? でも俺この液体から出したら脳ミソ溶けるんじゃねえの?』
『大丈夫です! 小生はコういうモノですから!』
 ドモドモ、と、やたら頭を下げる腰の低いイメージを送りつけてきながら、俺が言ったときそいつは名刺の形をした、メッセージボードを俺のヴィジョンに落して来た。
 そこには。

―――天才科学者。

 これって職業なのか? と言う疑問もさておき。
 と、それに続いて。

―――Dr.ゲボック・ギャックサッツ

 と記されていたわけだ。
 自分の中のサブカル知識が一斉に警鐘を上げる。
 やべえ! こいつはやべえ! と。
 だが、同時に期待も持ち上がる。生まれたばかりのあの時は、感動というものが殆ど無かったが、人並みの神経を手に入れた俺は肉体を渇望していた。

『御心配ナく! 科学的に作った予備の脳髄に、科学的に魂の移動をこなシて、それを科学的に作った体に脳移植しテお薬をダバダバ飲んで、科学的に生ジた地獄の激痛と副作用に耐えながら科学的にリハビリをやり遂げればあなタは自由に動けるようにナります!』

 途中、すっげえ気になる一文があったが、肉体を手にいれられるなら、文句は無い。
『おっけぇ、乗ったぜ、天才科学者』
『アハハハ! よウし、これで思いっキり実験が出来まスね。幻覚とか見えるンですよ』
『ちょっと待てやコラああああああ!』






 こうして俺は自分の肉体を手に入れた訳だ。
 いやしかし、父さん・・・あぁ、ゲボックの養子ってことで戸籍を手に入れたんで俺はその天才科学者の息子と言う事になっている。
 正直、あの人の周辺はすげえ。
 何だかよく分からん生物兵器が普通にうようよしてるし、その中心で一人はっちゃけて理解できねえような実験繰り返してるパパ上様いるし。
 まあ、その辺はまた語るとしよう。

 そうそう、副作用はマジで地獄だった。
 あまりの痛みに気絶して、次の瞬間痛みで気絶から叩き起こされるんだよな。
 それを何度も何度も繰り返すと脳内麻薬がとんでもない量分泌されて幻覚を見始めるんだよ。
 天使の羽生やした妹が群れでやって来た時は思わず手を伸ばしちゃったりさ。
 途端に量産型エ○ァに貪られたエヴ○弐号機みたいにフルボッコにあって正気に戻ったよ。泣ける。

 いつか、妹と再会したいものである。これは真面目に本音だ。






 えーと、さてさて。
 俺は目の前にあるIS学園を見上げる。
 今日からここに通うのかぁ。

―――女として

 何でも、男として入ったら目立っちゃうでしょというものである。
 何でも、周囲の目は一夏お兄さんに集中させて行動しやすくするらしい。
 で、何させんだ親父? と聞いたら、『陰なガら冬ちゃんのお手伝いでスよ、内緒二ね』とか言われてペンチな右手でピースされた。
 蹴り倒した俺に正義はあると思う。

 それに、実際俺はISを動かせる訳だが、調べられたら一夏お兄さんとの関連性がばれるし、俺のクローン細胞から作られた脳に科学的に魂を移植した(魂に科学って合わなくね?)とはいえ、ぶっちゃけそれってつまり一夏お兄さんの孫クローンって事だし、何より俺は十割人工物の、ある意味合成人間型生物兵器だ。『じゃあ、シリーズに乗っテ斑の一番とかドぅでしょ?』とか型番も付けられている。
 ぱぱりんの生物兵器は、似たような性質ごとに、色と作った順番の数字を付けられて名前が付けられるが・・・よりのよってブチのいちばんって・・・色じゃねえだろ模様だろおい。まあ、ネタは分かるけどさあ。

 まあ、通常の検査じゃ絶対に引っかからんがね。
 それと言うのも、俺に入って来て妹に滅殺された奴の事を父に告げた事がある。
 なんだか、おっ父自身も身に覚えがあったらしく。二秒ぐらい真面目だったが、その後で俺の記憶にある。サブカル知識を知ったら再現しようと取りかかり始めやがった。
 魂を移動させる際、記憶のバックアップをとってやがったらしく、そっから他のも抽出。俺のプライバシーは!? 妹のとこ参照したらぶん殴って記憶消したけど。
 やばい、これはやばい。
 なんというか、生きたドラ○もんのポケットみたいな人である。
 篠ノ乃博士と共に何度も世界を危機に陥らせた狂科学者は伊達じゃない。
 叫びたい気分だ。助けてぇぇええええ千冬さああああんっ! てな感じに。

 そして、再現された能力が<偽りの仮面>と言う能力だ。
 俺となんか境遇似てる人造人間十二人姉妹の次女の能力で、あらゆる検査をかいくぐる程の完全な変身が出来るらしい。
 正直俺としては六女のモレ・インター的な能力が欲しかったのだが。
 だってあの人、マジで俺みたいな境遇の人三人もぶった斬ってたし。
 ところでビームも出せるのに、何で爪が必殺武器みたいになってるんだろうね。あのお姉さん。
 何よりそんな能力移植されたら死亡フラグが立つようで非常に嫌である。
 一方、あのジジィは六女の能力を自分に搭載してやがった。殺意が芽生えた瞬間だった。

「こレで、冬ちゃンのお風呂覗き放題です!!」
 と言って一週間外出したファーターはダンボールに血袋状態で無理矢理圧縮され、郵送という形で帰って来た。
 一瞬サイコかと思ったよ、世界を守って来たヒロインマジパねえ。

 とまあ、自己紹介はこの編で終わりにしておこう。
 正直俺の秘密を片っ端から語ったのはあれだ。秘密ってのを小出しで徐々に出すってのは嘘付いてるみたいでやなんだよねえ。なんかマスコットな孵卵器みたいじゃねえか。
 まあ。お仕事なら仕方ないけど。
 
 俺がそんな任務にむしろ進んで乗ったのは、正直俺自身がISに関わって行きたいからだ。IS学園ならその点、バッチ来いだろ?
 俺と妹が製造されたのは亡国機業とかいう老舗のテロ組織らしい。
 そこはしょっちゅう各国からISを強奪しようと画策しているようで。
 いつか、妹への足がかりを掴むなら関わって行くしかないからねえ。
 それならば、学園でここに対抗する為のコネを作っておくのもアリってわけですよ。

 正直、父君と束博士に頼めば一発で見つかりそうなんだがね。
 俺は幻視でしか妹の姿を見てない訳なのですよ。
 聞いた声も妹の耳で。つまり、客観的な声とは違う訳で。
 まあ、いつまでの親の臑かじってるのものあれだしね。親って程あの博士達も年食ってないし。
 下手言うと、く〜ちゃんに刺されるしね。死ねないから逆に苦しすぎるんだよ。
 
 ヒントは、織斑一夏の女性変換クローンであるという事。ま、俺の妹だからね。
 まぁ、頑張って行きましょう。 

 そうそう、自己紹介って言ってたくせに名前言ってなかったな。

 俺の名前はソウカ・ギャックサッツ。妹と、互いに贈り合った名だ。
 セロとエドワウみたいで素敵だろう?
 まあ、あんな感動的なだけで悲しい結末を迎えるつもりなんてさらさらないがね。
 フルで呼べば『そうか、虐殺』みたいな名前なんで、お呼びの際は出来ればファミリーネーム抜きで頼みます。
 あの名字って、見る人が見りゃ一発で分かるからなあ。






 ところで。
 なんであの天災科学者の事を『父』的に言おうとすると毎回違うのが出てくるんだ?
 言語機能バグってんじゃねえのかあ!
 あのお父タマめっ・・・てよりによってそんな呼び方すんじゃネエエエエエええええええええええええええ!!!!! 
 
 
 
 
 
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 やばい、取らなきゃ行けない資格試験の勉強あるのに一日潰して書いちまったああああ!
 こういう転生未遂ものって表記しないと駄目なんですかね
 
 所謂過去編では三人称、本編編ではソウカの一人称でお贈りするつもりです。
 ゲポックの大暴れをみたかった方には申し訳ないですが、この形式でやって行きたいと思います
 
 先程ちらっとみて感想が来ている事に感動してみたり。
 ありがとう御座いますっ! m(_ _)m Flying DOGEZA
 返事はこの後書こうと思います。
 ・・・試験の前日って猛烈に掃除したくなりますよね。そんな気持ちです。
 やばい! やべぇくらい本気でやばい!


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