定期検査で停止中の九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開問題で、経済産業省原子力安全・保安院は16日、同町議会の原子力対策特別委員会(中山昭和委員長)で、玄海原発の緊急安全対策を認可した根拠などについて説明し、「再開は問題ない」との見解を伝えた。その上で防災対策重点地域(EPZ)については「(EPZ)10キロ圏内は、20キロになるか、30キロになるかは分からないが、大きく見直すことになろうと思う」と述べた。
玄海原発の運転再開に向け、国が「地元」で説明するのは初めて。九電は、地元の理解がなければ運転再開は困難との立場。保安院は今週中にも佐賀県庁を訪れ、古川康知事に玄海原発の安全性について説明を行う予定で、2、3号機の運転再開を認めるかどうか地元議論が本格化する。
委員会は全議員(定数12)で構成。この日は、保安院担当者のほか玄海原発の村島正康所長など九電関係者を招き、説明を受けた。
保安院の山本哲也・原子力発電検査課長は、九電が全電源喪失を想定してまとめた(1)高圧発電機車の配備(2)移動式ポンプ・ホースの配備-などの緊急安全対策について「津波による被害を最小限に抑え、運転中、停止中のものも運転再開は問題ないと考えた。福島と同じことが起きない体制は確認できた」と説明。現時点の知見では安全性が確保されていると強調した。また浜岡原発の全停止については「地震発生の可能性が切迫しているため」として、「例外的措置」との国の見解をあらためて示した。
現在、定期点検や事故などで発電を停止している原発は玄海原発2、3号機を含め全国で約30基。全国で半数を超える原発が停止している。
=2011/05/16付 西日本新聞夕刊=