【オークランド＝ロサンゼルス支局杉山圭一郎】５月は１２試合を終え、松井はそのうち４試合でスタメンを外れた。「求められる活躍ができていないということ」と本人は冷静に受け止めるが、シーズン序盤で早くも厳しい局面を迎えている。

　打率はチーム打率を１厘上回る２割３分５厘。本塁打はジョシュ・ウィリンハムの６本とカート・スズキの４本に次ぐ３本。松井の成績は納得できる数字ではないが、打線の弱いアスレチックスにあって、際立って悪い訳でもない。

　例年夏場に調子を上げていくデータに照らし合わせれば、５月早々に出場機会が限られる現在の起用法は酷にもうつる。だが、ボブ・ゲレン監督は躊躇（ちゅうちょ）もなくベンチに置くのだから、松井に対する信頼失墜は明らかだ。

　「松井への期待が大きかっただけに、その反動も大きいのだろう」とはサンフランシスコ・クロニクル紙のスラッサー記者。決定的な点は「勝負強さ」が影を潜めていることだろう。５月２日のサヨナラ本塁打を除けば、目立った活躍はみせていない。

　１４日のホワイトソックス戦は最後まで出番がなかった松井。ベンチにも座らず、仲間とやや距離を置き、浮かない表情で戦況を見つめる姿にもどかしさと苦悩が垣間見えた。「焦りはない。大丈夫だよ」。今は我慢の時とこらえ、巻き返しを信じている。