エルサレム(CNN) イスラエルとシリアやレバノン、パレスチナ自治区との国境・境界付近で15日、反イスラエル・親パレスチナのデモ隊とイスラエル軍の衝突が続発し、少なくとも12人が死亡、数百人が負傷した。この日は、1948年のイスラエル建国時にパレスチナ人70万人以上が土地を追われて難民化した「ナクバ(大破局)」の記念日だった。
イスラエルのネタニヤフ首相は「暴力的なデモ」を非難し、「平和と静けさが早く戻ることを願うが、国境と主権は断固として守る」と述べた。
シリアからの報道によると、イスラエルが占領するゴラン高原で起きた衝突ではデモ参加者2人が死亡、170人が負傷した。イスラエル軍の報道官は「シリア側からフェンスを突破して侵入した数十人のデモ隊に威嚇射撃を行い、さらに治安施設を狙おうとしたメンバーを銃撃した結果、負傷者が出た」と説明。さらに「シリアの政権は国内のデモ弾圧から世界の目をそらすためにイスラエル国境で暴力を扇動している」と批判した。
これに対し、シリア国営メディアは外務省当局者の話として、同国はゴラン高原などで死傷者を出した「イスラエルの犯罪行為」を非難すると伝えた。
またレバノン国営メディアによると、同国のイスラエル国境付近で起きた衝突では少なくとも10人が死亡、112人が負傷した。イスラエル軍は、国境付近にはレバノン軍も展開し、デモ鎮圧のために実弾を使っていたと主張。死傷者を出したのがどちらの銃撃だったかは分からないとの立場を示した。イスラエル軍は声明で、シリア、レバノン両国からイスラエルへ向けられる暴力、挑発行為の責任は両国政府にあると述べた。
一方レバノンのハリリ首相は同日、デモ隊の「平和的運動」に対するイスラエル側の「人権侵害」と「殺人行為」を強く非難するとの声明を発表した。
さらにパレスチナ自治区ガザ境界のエレツ検問所で軍とデモ隊が衝突し、医療関係者によると少なくとも70人が負傷した。エルサレムとヨルダン川西岸の間の検問所付近でも大規模な衝突が起きた。デモ隊からの投石などに対し、イスラエル軍は催涙ガスやゴム弾で鎮圧を図った。