「大相撲技量審査場所8日目」(15日、両国国技館)
ブラジル出身の魁聖が臥牙丸をすくい投げで破り、新入幕力士としては1980年九州場所の佐田の海以来となる初日からの8連勝で勝ち越しを決めた。好物は肉、嫌いな物は魚、趣味はテレビゲームという肉食系インドア男子が台風の目になっている。横綱白鵬も隠岐の海を下手出し投げで退け8連勝とした。1敗は大関把瑠都と平幕の栃ノ心。
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正統派四つ相撲の新星が輝きを増した。体重200キロの巨漢・臥牙丸をもろ差しで組み止めると、右からのすくい投げで転がした。魁聖は快挙を祝福する歓声を浴び、恥ずかしげに引き揚げた。
「うれしいです。自分の相撲を取ることだけを考えました」と滑らかな日本語で喜んだ。ファンからのサインや写真撮影の求めに笑顔で応じ、報道陣とは時に下ネタを交えて談笑する。そんな陽気なブラジリアンにも悩んだ時期があった。
06年秋場所で初土俵を踏み、10場所で幕下に上がったところで壁にぶつかった。08年秋場所から3場所連続で負け越し、三段目に逆戻り。「もう、ダメだあ」と折れかけた心を支えてくれたのが、尊敬する兄弟子・魁皇の一言だった。「考えすぎるとだめだ。楽しんでいけ」‐。
取組直前は相撲のことばかり考えていたが、好きな音楽を頭に浮かべて無心で土俵に立てるようになった。09年秋場所で自身初の幕下全勝を経験し、その後は順調に幕内までたどり着いた。
幕内勝ち越し第1号。今場所のNHKによるインタビューも第1号。快進撃の魁聖だが、真っ先に報告した魁皇に「強いな」と褒められたことが一番うれしかった。
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